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とはずがたり掲示板 ( 利 水スレ )
大井川水系井川・奥泉発電所関 連設備
(川口脇野田大井川奥 泉・井川畑薙等最奥部寸又川)

先ずはダムを持ち調整や貯水可能な発電所の一覧である。

大井川の調整力を持つ発電所とダム群
発電所名 水車
出力(MW) 水量(m3/s)

ダム名 河川名 有効貯水量
(万立米)
最大 常時 最大 常時

赤石 1 40.5 0.0 28.00 0.00?

赤石 赤石沢(大井川源流) 120.0
■畑薙第一(混合揚水) 2 86.0 1.4 100.0 1.63?

畑薙第一 大井川源流 8,000
■畑薙第二 2 85.0 14.7 60.00 12.12

畑薙第二 大井川源流 360.0











井川 2 62.0 13.0 80.00 ??

井川 大井川源流 1億205
奥泉 2 92.0 35.6 60.00 29.44

奥泉(井川逆調整池) 大井川源流 60.0
湯山 2 22.2 3.4 18.92 3.43

千頭 寸又川 434.9
大間 1 16.5 0.38 23.10 ??

大間 寸又川 74.1
大井川 3 68.2 28.8 72.53 28.89

寸又川・ 大井川 寸又川・ 大井川源流 合計102.5(=52.2+50.3)
久野脇 2 32.0 13.0 78.00 29.68

境川 境川(大井川支流) 34.3
川口 2 58.0 19.3 90.00 30.53

笹間川 笹間川(大井川支流) 168
合 計 ①476.4 ②128.18





1億1558.8
調整力 ④348.22 (①-②)





基本的に南アルプスに降った水は畑薙第一と井川の両ダム合計2億m3で一旦貯めて安定化する模様。実際井川は7月と9月の一年で最も雨量のある月を除いて ほぼ放流していない。大井川上流の雨を受け止めきっていると云えよう。

井川湖1億205万立米を起点に井川,奥泉,大井川,久野脇,川口と増強するのが良さそうと云うのが前 回迄の結論。
とはいえ,川口迄流してもそのまま放水してしまう必要があるので勿体ないのである。ここは抜きんでた貯水量を誇る井川ダム・井川湖(や長島ダム・接岨湖) に受け止めて貰う為に赤石と畑薙第二で考えると良さそう。混合揚水なので一般水力発電もするので畑薙第一も加えてみた。
湯山も比較的大きいとは云え上流に調整池を持ったダムがないのが残念。畑薙第二ダムも貯水量は多いけど畑薙第一発電所の揚水用の部分もあるのには注意した い。

井川ダム[水力.com]
1957年竣工
総貯水量:1億1,242.3万立米(竣工時:1億5000万立米)
有効貯水量:1億0205.0万立米(竣工時:1億2,500万立米)
流域面積:459.3km2 / 湛水面積:378.9ha /湛水延長:10,268m
取水位:665.40m(満水位) 最低水位:620.4m


此処に駐車して湖周の遊歩道を歩くと廃止された井川線の堂平貨物駅跡迄歩けそうであった。今後の課題である。
というか井川線の井川駅は豊鉄田口線の田口駅みたいな聚落から離れた谷底みたいな所にあった。堂平の方が便利では無いか?復活して旅客営業すべき。とはい え旅客鉄道としての
役目は軽微で殆ど観光鉄道なのでこれでいいのか。。

井川発電所[水力.com][静 岡県][農 水省
1957年運開
ダム式・貯水池式
出力:認可最大:62.0MW・ 常時:13.0MW
最大使用水量:80.00m3/s →水力.comに常時の記載無し。農水省に維持流量の記載無し。使用水量が発電量に比例するなら常時16.7m3/s 程度放流で維持流量の設定なしか?
有効落差:92.70m
水車:立軸フランシス水車 33,000kW×2台
設備利用率:44.9%
出典:静岡県
井川発電所の最大使用流量は80.00m3/sであり,下流の奥泉発電所の利用水量の60.00m3/sを凌駕する。
電力会社にとって貴重な生産資源という資産である水を無駄遣いする事は許されないので80.00m3/sで発電に利用できるのは下の奥泉ダムが満量になる までであろう。
一方常時使用水量は奥泉が29.44m3/sに対して井川は不明ながら発電量から判断するに16.7m3/s程度の様である。差の一定部分は関の沢川堰 堤、栗代川堰堤からの取水であろうが両支流の堰堤だけで差12.74m3/sの全ては取れそうにない。
奥泉ダムの水量が低下したら井川発電所で発電して水を送り込む運用をしているのかも知れぬが,井川では発電には使用しない常時水量を奥泉では利用している のかも知れぬ。

奥泉ダム(井川ダム逆調整池)[水 力.com]
1955年竣工
総貯水量:315.0万立米 有効貯水量:60.0万立米
流域面積:464.6平米
取水量:60m3/s(奥泉発電所)
河川維持流量:0.48m3/s

新奥泉水力発電所
出力:290kW
使用水量:2.07m3/s


ダム等は谷底の方にあって道は遥か上を走っていて写真に納められたのはこれだけだった。此処から谷底へ下っていくのであろう。


21.8



~関の沢川~

関の沢川堰堤[農 水省
取水量:2.3m3/s(奥泉発電所)
維持流量:0.32m3/s
流域面積:
送水:奥泉発電所


長島ダム
割と近年竣工。大井川には珍しく発電には利用していない。
とはいえこんな風に無駄に豪快に放流しているので発電に利用すべきだ。
無駄と云えば国交省のダム事務所も無駄に立派であった(下の画像の右上の建物。タムとの比較で小さく見えるが結構でかくて立派。)

正面の橋を渡った所からの撮影
21.8


長島ダム発電所
出力
水量
落差


~栗代川~

栗代川堰堤[農 水省
取水量:2.2m3/s(奥泉発電所)
維持流量:0.3m3/s
流域面積:
送水:奥泉発電所

奥泉発電所[水 力.com][静岡県][農 水省
1956年運開2012年改修
ダム水路式・調整池式
出力:認可最大:92.0MW(改修前87.0MW)・常時:35.6MW(45.6MW)→常時出力も結構高い
最大使用水量:60.00m3/s・常時:29.44m3/s(改修前)
有効落差:173.82m(改修前は168.70m)
水車:水車×2台 計94,000kW
取水:大井川[奥泉ダム]、関の沢川堰堤栗代川堰堤575,50m
送水:大井川[大井川ダム]389.39m
設備利用率:65.7%[2015年実績]
出典:静 岡県
奥泉発電所遠景。目の前の水面は大井川ダムのダム湖であり手前の堰堤が大井川ダム
20.8
発電所とダム湖はアプト式区間を前に電化されて機関車の基地もあるアプトいちしろ駅の直ぐ脇にある。

そして吊り橋で繋がっているが大井川発電所と違って発電所の公開はしてないようで吊り橋は関係者以外通行禁止であった。旧線路橋かなんかみたいで渡ってみ たかった。。


この発電所以下,大井川脇野田川口と概ね30m3/s前後の常時流量である。
と云う事で奥泉の常時:29.44m3/s,大間の常時推計0.53m3/sで 概ね30m3/sにも合致する事になる♪

この辺で計算したように大井川筋で使えずに漏らしてしまう水は殆どない。井川・畑薙第 一の流域面積460km2に対する貯水量1億8000万m3で年間14億tの降雨量の内,12億5千万t程を使い切るのである。一方,寸又川側は巨大ダムが無く,240km2に560万m3程度なのである。これを長島ダム6,800万m3に流し込む事で大井川 並…とは行かないものの半分程度の240km2に対する7,360万m3となり,3.65m3/s 程度の常時水量が確保出来,大井川ダム以下常時流量の増加が可能となる。半分程度だとするなら本当は10m3/s程度は欲しいけどどうだろう か。。(常時発電量の定義や実態をはっきりさせる必要があるな。。)