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大井川水系久野脇発電所関連設備
大井川発電所(取水施設として) 榛原川堰堤 境川ダム 久野脇発電所 川口発電所 大井川用水

大井川発電所   
発電所建屋。此処の放流水の取水が久野脇発電所への送水の起点である。

写真では川原が目立っているが,発電所から下流方面は川も水を良く湛えていて,その淵の様に水の溜まった辺りに大井川発電所直下に取水口がある。
榛原川堰堤を途中に挟むがここから一気に境川ダムまで中流を駆け下り境川ダムに水は貯められる。
大井川発電所での利用水量は最大72.53m3/sで,話しが前後するがこの先(下流)の榛原川堰堤で最大2.0m3/s取水,久野脇PSで最大: 78.00m3/s使用である。差が5.47m3/sあるがこれの内訳が①大井川発電所付近での大井川からの取水と②境川からの取水となろう。榛 原川も境川もそんなに規模は変わらないから①②各2~3m3/s程度の取水となろうか。
「い のちの水大井川用水」でもここの取水量は明記されていない。なんとなくだが大井川発電所放流水72.35m3/sをそのまま取水して榛原川から 2.0m3/s追加して最大74.35m3/sとして適宜残る3.65m3/sは境川ダム(直接 流域:約12km2)の貯留水(有効貯水量V=34.3万m3)で補填しているのではないかと云う感じがする。印象に過ぎないけど。ここの取水の増強に関しては上流部貯水池の頁で多少検討した。
出典:関 東農政局(大 井川用水農業水利事業所)

榛原川堰堤        
最大取水量2.00m3/s
維持流量:0.07m3/s

  こんな所に榛原郡を名にし負う様な川の名前が現れる。今は島田に併呑され駿河になってしまった印象の強い川根や金谷だが,元々榛原は遠州の郡名で,一時期 大井川東岸も川根三町が併呑したので一寸遠州が大井川の東にも拡がった感じもしたけど栄枯盛衰である。ともあれ榛原は遠州側の地名なので川もちゃんと大井 川右岸にある。こんな地味な川が榛原の由来になったとは思えないがどういう経緯かな??
 現地ではたまたま見かけて入ってみていた。

川の水量はこんなものだった。まあ水量は降雨の有無によって大きく変動するから一瞬だけ見て判断するのは意味ないけど。


境川ダム[水 力.com][農 水省]   
  総貯水量:117.3万立米   有効貯水量:34.3万立米 (有効貯水量比:29.2%)
 取水量:78m3/s
 維持流量:0.04m3/s
  流域面積:823.7 平方キロメートル

支流域に作られたダム。大井川発電所の放流水を運び込み,久野脇発電所に送っている。


| 杉越しの酷い写真であるけど,ダムへの道が酷い急勾配で入口付近の空き地にはCTECの河川パトロール用と思しきバンも停まっていたし邪魔をしてはい けないと思って近寄らず国道上からの撮影となった。

久野脇発電所
遂にたまたま写り込んだ風の遠景写真w

さて,此処からは(現地の写真が無いのでw)写真では無く諸元(スペック)を元に解説・増強検討していく

大井川ダムも寸又川ダムもそれ程大きい訳では無いものの,まあ頑張っているようにも見える。
発電に使用した水がどちらのダム由来かを分けることが出来ないから正確には分からないけど使用水量16億トンに対して放水量は9億6千万トン。62%であ る。
例えば河川維持流量が5m3/sだとすると1カ月に1300万m3ぐらいは放流する必要があるが13百万m3を下回ってる月もあるからそんなに高くは無さ そうである。2m3とすると520万トン(5.2)だから下の表にある大井川ダムの下限に近い数字でこの辺が河川維持流量。それ以上がオーバーフローとい う事である。

大井川発電所 諸元[水力]       
運開:1936
認可最大出力:68200kW  常時出力:28800kW 稼働率:73.0%(2015年度)
最大使用水量:72.35立方メートル毎秒
常時使用水量:28.89立方メートル毎秒
有効落差:112.73m
出典:静 岡県


榛原川取水口
流域面積24.1km2に対して取水量2.0m3/s。まあまあだ。指数0.83%ってとこ。


思い出の長尾川。大井川との合流部で川遊びをしたとこである。

結構流量豊富だなと思ったけど15.7km2程度。榛原川はこんなものかと思い,こちらを豊富っぽく見えたのは取水がないせいか?それとも川に入って間近 で見るのと岸部で上から眺める感覚との差違か?
榛原川と同じ感覚だと1.3m.3/s位は取れそう。


境川
こちらは12.0km2。1m3/sが精々か。


境川ダム[水 力
中部電力(株)
目的:発電
着手/竣工:1939/1943
堤高:34.2m、堤頂長:83.8m
総貯水量:117.3万km2    有効貯水量: 34.3万m3
流域面積:823.7 平方キロメートル(直接:約12km2・間接:811.7km2)    湛水面積: 11ha

まあ小さいダムだ。戦前派だしな。久野脇の使用する78.00m3/sだと1時間10分ちょいで使い切ってしまう有効貯水量の様だ。大井川発電所の放流水 のサージタンクみたいな発電所であるw
大井川発電所が竣工した年に着手との事である。速やかに連檐化に着手したものであろう。

久野脇発電所諸元[水 力.com]    
 立軸フランシス水車×2台 総出力35,000kW(17.5*2か?)
  ダム水路式・調整池式
  出力:認可最大:32.0MW・常時:13.0MW・稼働率68.7%
 使用水量:最大:78.00m3/s・常時:29.68m3/s
  有効落差:48.60m
取水:大井川[大井川発電所]→榛原川→境川[境川ダム
放水:大井川[塩郷堰堤

出典:静岡県

経年の様子
出典:静 岡県
支流に作ったダムなのでほぼ放流はしないで大井川上流から受けた水を使い切ってる。平均の設備利用率も6割とそこそこである。

久野脇も水をほぼきっちち使い切っている。まあ流れ込むのが管理された大井川発電所からの放流水,途中取水の榛原川,そして小さな流域面積の境川であるか ら蓋し当然であろう。
稼働率は68.7%である。50%以上の出力をすると塩郷で水を捨てざるを得ないので50%以上になるべくならないように運用している筈である。
とは言え放水量がほぼ0に出来てるのでこれ以上は取水量の問題と云う事になる。(→と最初は思ってたけど最近は上流の動向に左右されずに川口が運用できる ようなシステムになってると解釈している。)

因みに大井川発電所で常時水量28.89m3/sで同じく久野脇が29.68m3/sであるということは榛原川と境川の合計常時取水量が概ね 0.79m3/sって感じなのであろう。流域面積比で割ってみると榛原川0.567m3/s,境川0.224m3/s程度の計算になる(こんな推論で合っ てるのか?)常時取水量は最大取水量の1/4程度って感じ?

塩郷堰堤[→川口
↓ 取水量:最大39.00m3/s(冬期渇水期3m3/s,その他4m3/sの放水義務付)
笹間川ダム[水 力.com]
↓ 総貯水量634万立米,有効貯水量168万立米。(有効貯水量比:29.5%)
川口発電所[水 力.com]
 立軸フランシス水車×2台 総出力60,600kW(30.3*2か?)
 出力:認可最大:58.0MW・常時:19.3MW・稼働率:69.1%(2015年度)
 使用水量:最大:90.00m3/s・常時:30.53m3/s。

常時30m3/s・20MW稼働している川口の調整力は60m3/sで40MWである。


[大井川下流の発電量増強についての結論的なも の]と云う事で大井川発電所の諸元と 比較すると大井川発電所の使用水量は16.1万m3。久野脇の利用水量が16.7万m3。ほぼ一致してるからほぼ大井川の水は取水している様にも見えるけ ど,まあ其処迄榛原川や境川で取れる水量が少なくは無いとなすると一定率は大井川発電所地点で河川維持に放水しているのかな。

また使用水量を境川や榛原川で取水出来る分を大井川発電所時点で放流している気配もある。となると(単に全使用量の半分寄越せや~みたいな粗雑な決め方で は無く)笹間川で取水出来 る分を考慮してフル稼働可能な39m3/sとなってる可能性も勿論ある。その間接的な証拠として大井川・久野脇・川口の設備稼働率はいずれも70%前後で 安定しているの である。

詰まり大井川から久野 脇,笹間川から川口へは基本的にそういう河川環境とギリギリの所で最大限運用されているように見える。となると後は,洪水時に流れ去る水量を貯める新規水源開発しか無い。現状で は井川を放たれると非発電目的の長島発電所はあるもののほぼ塩郷・笹間川経由川口発電所の最後迄貯水池はもう無いのである。やや大袈裟だけど後はほぼ一気 に流すしかないとも云えるのだ。

(水力発電の増強を太陽光や風力への調整力確保という観点から見ていた水力発電調査開始の20.8当時の俺は) 笹間川ダム調整池の水量を活かして短期変動的に1.5倍増出来ないかと云う提案を ささやかにさせて貰ったところであるが,この水源確保が大前提のようである。

久 野脇と川口の水車を2台→3台にする場合,久野脇の使用最大水量は117.00m3になる。今の水利権上,塩郷の取水堰からは最大39m3/sしか取れな いが,久野脇の放流分も塩郷で取水出来る様にしないと(詰まり久野脇の放水時に限り取水量を倍の78m3/sにしないと)両発電所の連携した発電力調整が 出来ないであろう。
と云う事で,必要な投資は(笹間川→川口の送水管と川口の水車の他)境川→久野脇の送水管,久野脇の水車,塩郷→笹間川の導水管増強となる。
また久野脇発電所へ送水する境川ダムの有効貯水量は,笹間川ダムの168万立米に対しても小ぶりな34.3万立米。フルに活用するにはその上流の大井川発電所の発電システムを見て見る必要が出てくるな・・。

(原子力に加えて石炭の廃止もアジェンダとして入ってきて水力発電の発電量そのものを増やす指向に(2カ月で)変わった20.10月時点の俺は寧ろ)最大 78m3/sで発電して大井川に放たれた水が最大でも半分の38m3/sしか塩郷で取水出来ない現状の1点が非常に気になる。大井川の流量維持に必要とい う 考え方なのであろうか?最奥部の降雨量は井川と畑薙第一にしっかり貯められて安定化している大井川である。久野脇の由来の79m3/s分は塩郷で取水出来 る様に しても良いのではないか?
勿論,上で推論した様に「(単に全使用量の半分寄越せや~みたいな粗雑な決め方では無く)笹間川で取水出来 る分を考慮してフル稼働可能な39m3/sとなってる可能性」も勿論あるけど,一貫した流れを断ち切るのは勿体ない。
逆に云うと大井川発電所(68.2MW)の水量増やせると玉突き的に久野脇(32MW)・川口(58MW)と合計158.2MWの発電量を増量出来ると云 う事になる。

 大井川の出力と水量
発電所名 水車
出力(MW) 水量(m3/s) 発電持続時間★2
河川名 ダム名★2
有効貯水量
(万立米)
受水時間★2
最大 常時 最大 常時


赤石 1 40.5 0.0 28.00 0.00? 8.2時間
赤石 赤石沢(大井川源流) 120.0 貯水なし
■畑薙第一(混合揚水) 2 86.0 1.4 100.0 1.63? 258.39時間(10.7日)
畑薙第一 大井川源流 8,000 ∞時間
■畑薙第二 2 85.0 14.7 60.00 12.12 16.66時間
畑薙第二 大井川源流 360.0 25時間











井川(→奥泉) 2 62.0 13.0 80.00 ?? 457時間(19日)
井川 大井川源流 1億205 ∞時間
奥泉(→大井川) 2 92.0 35.6 60.00 29.44 1.8時間
奥泉(井川逆調整池) 大井川源流 60.0 8.3時間







長島
大井川源流
6,800

湯山(→大間) 2 22.2 3.4 18.92 3.43
千頭 寸又川 434.9 貯水なし
大間(→寸又川) 1 16.5 0.38 23.10 ??
大間 寸又川 74.1 ∞時間
大井川(→境川) 3 68.2 28.8 72.53 28.89 3.9時間
寸又川・大井川 寸又川・大井川源流 合計102.5 26.9時間?
久野 脇 2 32.0 13.0 78.00 29.68
境川 境川(大井川支流) 34.3 2.84時間




39.00


塩郷
大井川
0.0?

川口 2 58.0 19.3 90.00 30.53 5.2時間
笹間川 笹間川(大井川支流) 168 ∞時間(塩郷分のみ)
合 計 ①476.4 ②128.18




1億1558.8
調整力 ④348.22 (①-②)