電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.11.18運開

只見川の水力発電(23.3宮下~只見訪問)

阿賀野川(中下流) 阿賀野川 (上流・大川) 只見川(下流) 只見川(上流) 只見川(支流) 日橋川・磐梯・猪苗代湖

新郷ダム─[開発案・高郷発電所】]─(阿賀野川合流)─[開発案・高郷堰堤】]─片門発電所片門ダム柳津発電所柳津ダム─(滝谷川)─宮下発電所宮下ダム─(沼沢湖)─上田発電所上田ダム─(野尻川)─本名発電所本名ダム─(伊南川発電所)─滝発電所滝ダム─(伊南川)─只見ダム


莫大な水量を誇る奥只見ダムが流れ込む只見川。阿賀野川水系である。支流系統はこちらに移動

戦前は今の東電のルーツの東京発電がツバ付けてたけど,戦後のどさくさで吉田側近の白洲次郎が東北電力の社長になって色々綱引きして只見川沿いの電源開発 を掻っ攫って行ったのは有名な話し。

奥只見の開発を巡って関東。福島,新潟と結構色々あったようだ。今も電発が送電線を引い てここらの電気を首都圏に送っている。

~阿賀野 川~[→阿賀野川

新郷(しんご う)ダム
総貯水容量:2,272.0万m3 有効貯水容量: 635.2万m3
満水位標高:161.75m[新郷・第二新郷取水位]
利水量:512m3/s(新郷・第二新郷)
流域面積:5,717km2

(阿賀野川合流)


<ここに開発余地あり。落差8m!笑>【→開発案・高郷発電所】


片門(かたかど)発電所[水 力][マニア『日立評 論』(1953)
東北電力(株)
着工/運開:1951.12/1953.8
ダム式・調整池式
認可最大出力:57,000kW(運開当時38,000kW)   常時出力:12,800kW[22.5%] (運開当時:6,500kW)
年間発電力量 189.1GWh(運開当時)
最大使用水量:345.00m3/s   常時:43m3/s(運開当時)
有効落差:19.29m   (運開時:最大19.34m 常時19.27m)
水車:3台 総出力67500kW
流域面積:2,765.0km2
取水:只見川[片門ダム]189.50m(地図だと187m程 に見える)
放水:只見川169.76m(地図でも179m程 にしか見えない)

片門ダム[水 力][マニア『日立評 論』(1953)
東北電力(株)
目的:発電
着工/竣工:1952/1953
堤高:29m、堤頂長:219.5m
総貯水容量:16,172,000立方メートル    有効貯水容量: 4,497,000立方メートル
満水位標高:189.50m
流域面積:2,765km2
湛水面積: 165.6ha
最大水深:22.0m
水量(m3/s): 豊水量224 平水量107 低水量64.7  渇水量43.4

地図上で169m はこの辺なんだけど周辺に特に排 水口っぽい施設などは見あたらない様だ。勿論,水中に押し出してるのかも知れないけどそれはそれで有効落差削りそう。。

探っていたら1953 年の『日立評論』が見つかった♪この図からみると地図の水位に近いのはH.W.L(計画高水水位)=176.6mであり,放水位は放水地点の底部 の高さであるらしい。取水位はNWL(基準取水位)と あって取水地点の最上部の高さなのにねえ。
発電力の計算するのに最後効率を掛けるけどまあこの辺のざっくりで出る誤差を掛けてるってことか。上の発電所の放水位が下のダムの取水位を上回ってたりす ることあるけどそういう事ねw



東北電力(株) 柳津発電所[水 力
着工/運開: 1951.12/1953.8
ダム式・調整池式
 認可最大出力:75,000kW(運開当時50,000kW)     常時出力:16,400kW[21.8%]
    平均年間発生電力量:318109MWH(3億1810万9千キロワット時)
最大使用水量:345.00立方メートル毎秒     常時使用水量: 79.12立方メートル毎秒
最大有効落差:25.39m     常時有効落差:24.37m
    水車:3台 総出力87000kW
    流域面積:2,700.0km2
    取水:只見川[柳津ダム]215.00m
    放水:只見川189.13m


柳津(やないづ)ダム[水 力
    昭和27(1952)年:着手
    昭和28(1953)年:竣工
    堤高:34m、堤頂長:216.7m
     総貯水容量:23,938,000立方メートル
    有効貯水容量: 5,801,000立方メートル
    満水位標高:215.00m
    低水位標高:212.00m
    流域面積:2700  平方キロメートル
    湛水面積:  2.068平方キロメートル

~滝谷川~

東北電力(株) 滝谷川発電所[水 力
運開:1920.8
水路式・流込式
認可最大出力:445kW      常時出力:190kW
最大使用水量:1.67立方メートル毎秒
有効落差:33.90m
水車:出力582kW×1台
導水路:総延長518.3m
流域面積:71.0km2
取水:滝谷川397.31m(此 処?398m)
放水:滝谷川361.20m(此 処?389m)

開発構想はこちら


東北電力(株) 宮下発電所[水 力
運開:日本発送電(株) 1941:着工 1946.12:運開
ダム水路式・調整池式
 認可最大出力:94,000kW(運開当時32,100kW)     常時出力:21,100kW[22.4%]
    最大使用水量:320,00m3/s[1.30]
    有効落差:34.75m
    水車:5台 総出力123000kW
    流域面積:2,467.0km2
    取水:只見川[宮下ダム]254.50m
    放水:只見川214.50m

発電所・ダム式が多いこの辺としては珍しくダム水路式で一寸離れた所にあった。
23.3
今回(23.3末)の訪問行では最後の目的地で,ここから川を離れR400で峠を越え西会津 ICへ抜けて帰宅の途に就いた。

宮下(みやした)ダム[水 力]    
東北電力(株)
目的:発電
    昭和16(1941)年:着手    昭和21(1946)年:竣工
    堤高:53m、堤頂長:168m
     総貯水容量:2,050.0万m3    有効貯水容量: 405.6万m3
    満水位標高:254.50m
    流域面積:2467  平方キロメートル
    湛水面積:  1.45平方キロメートル

宮下発電所への水供給及び揚水発電第二沼沢の 下池。

堤体・ズラッと並ぶ門の内。一カ所だけ放水していた


看板
23.3
湖面と取水設備

取水施設アップと只見線


水位の表示



http://www.suiryoku.com/gallery/fukusima/numazaw2/numazaw2.html
東北電力株式会社 第二沼沢発電所
昭和56(1981)年10月:一部運用開始
    昭和57(1982)年 5月:運用開始
揚水式水力(純揚水)・ダム式
    認可最大出力:460,000kW
    最大使用水量:250.00m3/s     最大揚水量:196.00m3/s
    有効落差:214.00m
    水車:2台 総出力472000kW
    導水路:総延長1230.5m
    流域面積:8.9平方キロメートル
    上部貯水池:沼沢湖475.00m
    下部貯水池):只見川[宮下ダム]254.50m
   
[廃止] 沼沢沼発電所
運開/廃止:1952.11/2002.9 東北電力(株)
出力:(43,700kW)
水量:24.2m3/s
落差:216m
導水:1,019m
上部貯水池:沼沢湖475.00m
下部貯水池):只見川[宮下ダム]254.50m

廃止当時の状態で現存し,とある。廃発電所が保存!?

勇躍踏み込む。…あれ?

看板

どうも,廃止時に建物などは撤去されて,撤去直後の時のままの状態で取ってあるということらしい。。
そういうの廃止当時のままとはいわへんやろヽ(`Д´)ノ

帰り橋の上から視認。



   沼沢湖(ぬまざわこ)[水 力
    [別名]沼沢沼(ぬまざわぬま)
    カルデラ湖
    貯留量:44,700,000立方メートル
    水深:96.0m
    通常時水位標高:475.00m
    湖面面積:3.00平方キロメートル

上田発電所(284m3/s使用)とダム(受水260m3/s)
23.3

東北電力(株) 上田(うわだ)発電所[水力]     
運開:1954.3
ダム式・調整池式
認可最大出力:63,900kW(運開当時42,600kW)      常時出力:16,100kW
最大使用水量:284.00m3/s
有効落差:26.30m
    水車:3台 総出力72000kW
    流域面積:2402.0平方キロメートル
    取水:只見川[上田ダム]281.50m
    放水:只見川254.80m

上田(うわだ)ダム[水力]        
昭和27(1952)年:着手    昭和29(1954)年:竣工
    堤高:34m、堤頂長:283.7m
     総貯水容量:2,050.0万m3
    有効貯水容量: 442.6万m3
    満水位標高:281.50m
    流域面積:2402  平方キロメートル
    湛水面積:  1.52平方キロメートル

後ろ姿
23.3

ダム天端と発電所銘板


看板…白洲次郎推しである。


ダム堤体と発電所建屋

利水標


下流の眺め


湖面の設備。なんだこれは?発電用の取水口とは方向が違う。。(発電所は背後である。)

拡大


会津川口駅

奥会津金山ごあんない


~野尻川~[→只見川支流

現地レポと開発検討はこちらで。今はダムも発電所も無いが,かつて開発計画が あった。まず,福島県は只見の綜合開発とは別に単独で野尻川に発電ダムを建設 する計画を練っていた様である。
>福島県が独自に提出した只見川支流野尻川に高さ70メートルのダ ムを建設して発電を行う「乞食岩発電所」案については、水力発電を行うには理想的だが補償問題が絶望的に大きいとしてこれもまた却下した。[wiki

更に日本発送電東北支店が最初に計画を立てた奥只見開発に於いても野尻川から上田(うわだ)ダム(EL=281.5m) では無く一つ上の本名ダム(EL=317m・)への導水が計画されていた様 だ。
しかも野尻川にはダムは建設せず本名ダム(V=1,347.2万m3)に貯める計画だったようである。
原典:『福島県史14巻 近代資料4』


本名ダム・発電所(受水320.6m3/s・使用260m3/s・貯留1,347.2万m3)

ダム天端を国道が利用しているダムとして知られていたが行った23.3の時点では既にバイパスが開通しており通過交通としての通り抜けは不可であった。天 端の対岸迄は行けた。
天端上の道路の写真が無いと云う失態!!また撮りに行くのか!?
天端の手前の写真

そこ(天端手前)からの川の眺め

そこ(天端手前)からの発電所と堤体

天端。例の看板

天端向こう側の洞門。逆光で見えないけど三角コーンが置いてあって封鎖されていた。

拡大。。

ダム脇から起点の林道


本名発電所[水力]      
東北電力(株) 
運開:1954.8
ダム式・調整池式
認可最大出力:78,000kW(運開当時50,000kW)    常時出力:18,300kW
最大使用水量:260.00m3/s
有効落差:34.90m
水車:総出力90000kW
取水:只見川[本名ダム]317.00m
放水:只見川[上田ダム]281.50m

本名(ほんな)ダム[水力] [wiki] [便覧][福島県]     
目的/型式    P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長   51.5m/200m
流域面積/湛水面積    2,142km2 ( 全て直接流域 ) /179ha
ダム事業者    東北電力(株)
総貯水容量:2,576.9万m3    有効貯水容量:1,347.2万m3 (いずれも建設当時・利水標でもこの値)
満水位標高:317.00m
取水:只見川[滝発電所(300m3/s)伊南川発電所(20.6m3/s)
導水:本名発電所(260m3/s)
着手/竣工     1952/1954

利水標


>「只見川筋水力開発計画概要」は、豪雪地帯で峡谷が多い急流河川である只 見川に目をつけ、水力発電所を目的に1947年(昭和22年)に発表したものである。只見川に階段状のダム式発電所を建設する計画で、これにより只見川・ 阿賀野川・伊南川・大津岐川の計23箇所にダムが設置されることとなった。wiki
>上田ダム同様、太平洋戦争終戦後、GHQとの敗戦処理の折衝を矢面に立っ て行った白洲次郎氏が東北電力初代会長時代、昭和29年に完成した、東北電力の発電専用のダムです。天端が旧国道252号線になっており、全国でも数少な い天端旧国道のダム。福島県

BPが開通し狭い天端の国道通行は廃止されていた。

本名ダム(V=1,347.2万m3)には上流の滝発電所(300m3/s)と伊南川発電所(20.6m3/s)から合 計約320m3/sの水が流れ込む が発電は260m3/sしか利用出来ない。下流の上田発電所すら284m3/sを利用出来る(上田ダムは V=442.6万m3)。利 用水量が小さく本名発電所は隘路である。(とはいえ前後と比較して比較的大きめの貯水量は持って居るとは云えるようだ。)本 名発電所の運開が1951で田子倉発電所の運開が1959,滝発電所が 1961と戦前(1938)からある伊南川発電所は兎も角,戦後東北電力が開発した暫く阿賀野川から続く連続する発電所の終点であった事も関係してるので あろうか?(運開時は50MWで現在は78MWなので増強はされたらしい。)まあ運用で巧 くやってはいるのであろうが。。ダムがカラから320.6m3/sの水が流れ込んで11.6h程は持つ計算になる。

上流と下流の使用水量の差分と貯水量の関係を見て見る:

使用水量比
貯水量
持続時間

▲75m3/s 1,030.0万m3 38.1h 満水迄
本名 ▲60.6m3/s 1,347.2万m3 61.8h
上田 24m3/s 442.6万m3 51.2h 空水?迄
宮下 36m3/s 406.6万m3 31.4h

ここで更に野尻川から導水とか伊南川発電所の大増強等の我が妄想が実現したとなると流石に増強しても良いのではない だろうか?? 水車の総出力が90000kWもあるので,300m3/s迄行ける。こうすれば伊南川発電所の増強もより効率的になりそうである。

[増強私案]本名発電所
ダム式・調整池式
認可最大出力:90,000kW[+12.0MW]
最大使用水量:300.00m3/s[+40m3/s]
有効落差:34.90m
水車:総出力90000kW
取水:只見川[本名ダム]317.00m
放水:只見川[上田ダム]281.50m


伊南川発電所[水力] [→伊南川
東北電力(株)
運開:1938.10[新潟電力(株)]
水路式・調整池式(こ れ?)
認可最大出力:19.400kW 常時出力:5,200kW
最大使用水量:20.60m3/s
有効落差:109.32m
    水車:出力25000kW×1台 
    導水路:総延長9671.9m、主要導水路 幅3.80m×高3.80m、延長9069.0m
    流域面積:826.7平方キロメートル
    取水:伊南川(この辺?)(432.30m)
    放水:只見川[本名ダム] (314.00m)



福島民報社が1964年に出した 『只見川 その自然と電源開発の歴史』を思い切って入手。詳細がわかるのでは無いかと期待してた本流案に付随しながら実現しなかった伊南川 や野尻川の電源開発が載ってなかったのは非常に残念だが,まあそれでも分流案と絡む政争の辺りは詳しく載っていた。
本流案に関しては変遷含め余り詳しくは載ってないが実現した各発電所に関しては経緯など載っている♪
本名以下の只見阿賀野連檐発電所群と田子倉以上の 巨大発電所群の間の未利用落差70mと無効放流(田子倉の水量と本名以下の使用水量の大きな差によって使い切れない水が出て来てしまう)を防ぐ為に滝発電 所が建設されたのだが,地質や立ち退きの多さの問題で結局46mの堰堤が造られた(に止まった)とのことである※。詰まり滝建設後も未利用落差が残ったと い う事である[→未利用落差に関してはその後只見発電所が造られることにな る]。

滝ダムはこの前の大水害で氾濫の一因となって(治水ダムではないので電発に責任は無いが土砂の浚渫を怠ったとの指弾はされた),只見線も潰滅的な被害を受 けたのだが,この時無理してでも治水込みの巨大多目的ダムを造ってお けば良かったのかも。新豊根的な感じで,田子倉なりと混合揚水なんか出来てもお洒落。
結局更に田子倉ダムの直下に只見ダム(奥只見Dとは別)を建設して逆調整の機能を果たすと共に同時に只見発電所も設けられて未利用落差も更に減ったが,只見PSの放水位370mと滝PS の取水位354mの間に16mの残り未利用落差が残っている。又この間で伊南川も合流するので水はある。後で利用を検討[→【只見発電所増強】]する。

※:『只見川』に寄ると分流案と本流案が鋭く対立していた時,電力の鬼,松永翁は"いまの滝発電所の地点に百六十メートルの高さに(ママ・高さの,ではな いか)ダムをつくり,背後の水が田子倉ダムに届くほどの大貯水池にしようという案だった。"とある。伊北の市街地を全て水没させてしまう事になるし流石 にただのぶち上げだったかのかも知れないけど,滝ダムと只見ダムで部分的に実現しているとも云へる。

~風来沢・霧来沢・滝沢川~
この辺395m付近から集水して本名ダム317mに落とすと67km2。7m3/sで発電して落差75mで4,400kW。
まあもう一寸欲しいがこまめに開発していきたい。


[私案]本名第二発電所or湯倉発電所
出力:4,400kW[+4.4MW]
水量:7.0m3/s
落差:75m
流域:67.2km+アルファ
導水:
取水:風来沢・霧来沢・金丸沢・押倉沢・大松沢・滝沢川
放水:只見川[本名ダム]316m





滝発電所[水力]       
 電源開発(株)
運開:1961.12
ダム式・調整池式
認可最大出力:92,000kW  常時出力:17,700kW
最大使用水量:300.00m3/s
有効落差:35.82m
水車:2台 総出力102000kW
取水:只見川[滝ダム]354.00m
放水:只見川[本名ダム]315.54m

滝(たき)ダム[水力
電源開発(株)  目的:発電
着手/竣工:1959/1961
堤高:46m、堤頂長:264m、
総貯水容量:2,700.0万m3   有効貯水容量:1,030.0万m3
満水位標高:354.00m
流域面積:1978.8km2   湛水面積:  230ha(2.30km2)
受水:只見川[只見発電所375.00m3/s]・伊南川など
送水:滝発電所300m3/s

嘗てダムの直ぐ脇を通っていた国道は滝トンネルで短絡されていた。
地図

追加水量は僅少だけど上田沢川から導水出来そう。

只子沢に架かる只子沢橋から滝トンネル方面を望む

旧道。スノーシェッド入って直ぐに立入禁止。。脇をすり抜けて関係車輌は通行してる感じかな,この雰囲気は。

反対側,下流部(上の地図中(A)点付近)からの滝ダム遠 景

拡大


こちらもこれ以上は近づけないようだった。こちらのAバリは道全体を塞いでる感じ。


[wiki]
2011年7月の新潟・福島豪雨により、只見線は小出 - 会津坂下間113.6kmが不通(被害状況は前述)となった。…今回の只見線橋梁流出等の原因となった洪水被害については、只見線とほぼ平行して流れる只 見川に、東北電力と電源開発が計10基のダムを建設したが、そのうちの一つ、滝ダムについては堆積する砂が貯水容量の38%(とは註:2,700万m3の 38%だとすると1,000万m3ということになり,無効貯水量1,670万m3の過半(60%超)が土砂で埋まっていると云う事になる。)に達してお り、各ダムの堆積砂による貯水容量の低下により、ダムからあふれた水が、只見川で洪水となり、被害を拡大させた事を所有者の電源開発が認めている。只見線 不通区間に位置する金山町の被災者150名でつくる「只見川ダム災害金山町被災者の会」は、只見川流域の安全対策を怠ったダム災害と訴え、只見線をダムの 堆積砂を運ぶ貨物線としても、活用してはどうかとの意見もある。


とのこと。勿論利水ダムで有り洪水調整機能は滝ダムには無いので罪は無いのであるけど,堆砂を取り除いて容量確保してそれを利水容量に転用すれば大雨の前 に水量を減らすなどして貯水できた可能性はある。
またダムの工事用貨物輸送路線として活躍した只見線が再び土砂輸送で活況を呈すなか良いことである。沿線のダムはどこも土砂で貯まってるだろうから可成り の輸送量が見込める。
とはいえ,こんな過疎地で無理矢理鉄道を維持する社会的コストも膨大なんだけどねえ。。なんか無理矢理JR東日本にカネ出して復活させるみたいだけど・・

滝ダムに関して③堆砂に関しては15万m3程撤去する他,それに併せ②利用水深5mの内,洪水が予想される場合に+3~4mの空き容量を確保する他,①上 流でも放水の運用で空き容量を造るようだ。

滝ダム域の水位低下に向けた諸施策<電源開発(株)>
①上流ダムの流量調整
(1) 措置内容
田子倉ダム 空き容量の確保満水位から △3m(標高510m→507m)
奥只見ダム 空き容量の確保満水位から △2m(標高750m→748m)
流量の遅らせ
 流入量に対し1時間遅らせ→3時間遅らせ操作へ
(2) 実施時期・期間平成24年6月から毎年6月21日から10月10日まで期間
(3) 効果平成23年7月豪雨(相当)で、田子倉ダムからの最大放流量が700㎥/s程度低減(約26%低減)蒲生川合流地点で約60cmの水位低下

②滝ダムの水位調整
(1) 措置内容
洪水の発生が予想される場合(局地予報で判断)…満水位から0.5mの空き容量確保から、満水位から3~4mまで低下させる措置
(2) 実施時期・期間平成27年6月から毎年6月21日から10月10日まで期間のうち洪水の発生が予想される場合
(3) 効果上流域では、出水初期に調整池の水位が低下しており、支川からの流入が容易下流域では、中小規模の出水に対し、より安全な運用が可能


③堆砂対策
(1) 措置内容今年度まで岸から5万㎥の堆砂処理を行ってきたが、平成29年度からは浚渫船を導入し、年間10万㎥の堆砂処理に着手。第8只見川橋りょうの対岸 に浚渫基地を設けてあり、出水時の排水位(洪水位)の低減効果の高い中流部(第8只見川橋りょう域を含む)を基本に実施予定。
(2) 措置効果出水時の排水位(洪水位)の上昇を抑制させ、滝ダムの設計洪水量(5,100㎥/s)を基本に、河川整備計画整備目標流量(5,400㎥/s)に 対して民家への浸水被害を防止。

福 島県

①は期間全体での措置らしい。発電量が減ってしまうなぁ。。まあ已む無しだが。
②は洪水期の洪水時のみの施策。3~4mも減らしたらまともに発電出来なくなりそうだしな・・・。

そもそも滝ダムは蒲生川・叶津川・伊南川・只見川上流が合流する地点。それなりに水が集中する場所であった。伊南川上流の開発(ダム建設)も勿論期待したいが,この辺にもダムを建設して多層的に 水害対策と電源開発を進めていきたい。


有効貯水量1030万m3とあり,湛水面積は0.23km2=23.0万m2で利用水深が5mなので貯水量は単純計算で1,150万m3となる筈だけど勿 論川縁など5m以下の箇所もあるので有効貯水量はそれより小さい1030万m3となる。この規模に対して15万m3の堆沙除去はまあ大したことない比率で はあるのか。。

~蒲生川・塩沢川~[→詳細

多分,伊南川上流の巨大ダムが出来ればここにダムなんか造らなくても治水(滝ダム のオーバーフロー防御)は出来ると思うんだけど・・
ここにもダム建設を検討してみた。



水が集中する滝ダムの救済に
伊南川発電所の導水3倍増(20.6m3/s→60m3/s)
叶津川の田子倉ダム導水(30.8km2・10m3/s程度・V=3億 7,000.0万m3)
伊南川上流大桃でのダム建設(V=1,270万m3・流域: 88~208.0km2[導水路の整備次第による])
伊南川と蒲生川の只見ダム導水(V=200万m3)
蒲生川での多目的ダム(PF)建設(V=1,400万m3・56.3km2)
と出揃った。

(只見[伊北]市街)

~伊南川~

伊南川発電所伊南川取水堰堤(仮称)[場所](→レポ)
23.3
開発はこっち参照



~叶津(かのうづ)川~[→詳細
長大な八十里越建設中である。



その2へ続く