図1 地熱発電の主要な調査・開発地点(北海道~北東北)。出典:日本地熱協会 |
2014年09
月24日 13時00分 更新 自然エネルギー: 全国に広がる地熱発電の開発計画、北海道から九州まで39カ所 http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/24/news031.html 地熱発電は国内の再生可能エネルギーの中で開発余地が最も大きく残っている。これまでは発電所の建設に対する規制が厳しかったが、徐々に緩和されて開発計 画が増えてきた。現時点で調査・開発段階にある地熱発電のプロジェクトは全国で39カ所に広がっている。 [石田雅也,スマートジャパン] 発電事業者を中心に構成する日本地熱協会が政府に報告したレポートによると、全国で進行中の主な地熱発電の調査・開発プロジェクトは39カ所に広がっ た。そのほかにも地元の理解を得ながら事業化を検討中のプロジェクトが20カ所以上で進んでいる。 最も活発な地域は北海道と青森・岩手・秋田の北東北3県である(図1)。北海道では調査・開発中のプロジェクトが9件、北東北では青森が3件、岩手が4 件、秋田が3件の合計10件にのぼる。 このうち環境影響評価を必要とする出力7500kW以上の大規模な地熱発電所の開発では2つのプロジェクトが先行している。1つは秋田県の湯沢市で開発 中の「山葵沢(わさびさわ)地熱発電所」で、2015年4月に着工する計画だ。4万2000kWの発電能力で2019年5月に運転開始を予定している(図 2)。 もう1つは岩手県の八幡平市にある安比(あっぴ)高原で掘削調査中のプロジェクトがあり、まもなく環境影響評価を開始する見込みだ。同じ八幡平市の別の 地域では環境影響評価を必要としない7000kW級の地熱発電所の建設計画も進んでいる。 一方、南東北から関東、中部・北陸では7カ所で地熱発電の調査・開発を実施中である(図3)。その中で最も早く発電を開始する見通しが立っているのは、福 島県の土湯温泉で建設中のバイナリー方式による地熱発電所である。発電能力は400kWと小規模だが、2015年7月に運転を開始する予定だ。 土湯温泉のプロジェクトは地元の温泉協同組合が中心になって進めているもので、政府による債務保証を受けて資金を調達した。地熱発電は他の再生可能エネ ルギーと比べて開発期間が長くかかり、コストが多額になる点が大きな課題になっている。そこで政府は2013年度から、補助金の交付や融資の債務保証など を通じて発電事業者の支援を開始した。 政府の債務保証を受けて建設中の地熱発電所は九州の大分県にもある。日本で最大の地熱発電所が稼働している九重町で、バイナリー方式による5000kW の発電設備が2015年3月に運転を開始する計画だ(図4)。 九州では大分県と熊本県にまたがる阿蘇くじゅう国立公園の周辺に開発計画が集中している。2つの県で進行中の調査・開発プロジェクトは10件もある(図 5)。従来は国立・国定公園の中に地熱発電所を建設することは厳しく規制してきたが、政府が2012年に規制を緩和して、環境保護の重要度が高くない地域 に限って条件付きで建設を認めるようになった。 規制緩和後に始まったプロジェクトは九州では今のところ大分県の1件だけだが、北海道では3件、東北では秋田県と福島県で2件ずつある。引き続き自然環 境の保全を図りながら全国各地で地熱開発プロジェクトが広がっていく見通しだ。 |
図3 地熱発電の主要な調査・開発地点(南東北~中部・北陸)。出典:日本地熱協会 |
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図5 地熱発電の主要な調査・開発地点(関西~九州)。出典:日本地熱協会 |
番号 |
地域 |
立地自治体 |
定格出力(MW) |
進捗度 |
事業実施者 |
想定年間 発電量 |
その他・備考 |
1 |
●武佐岳 |
北海道標津町 |
20 |
2 |
石油資源開発(株) 三菱マテリアル(株) 三菱ガス化学(株) |
>>730 地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては平成24年度からの採択案件であり、平成25年度においては、構造試錐井(1本)の掘削、動植物調査などに ついて実施する。平成26年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業。 |
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4 |
<◆>阿寒・フレベツ岳南 |
北海道釧路市 |
1 |
自然公園 石油資源開発・釧 路市は慎重姿勢。 |
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6 |
◆トムラウシ・大雪山 |
北海道新得町 |
電発 |
地元には反対運動も。 |
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7 |
<●>白水沢 | 北海道上川郡上川町 | 1 |
丸紅(株) | 大雪山国立公園内案件 >>962-966 ・2013年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査(文献調査、地質変質帯調査、景観現況調査等)を実施する。 平成26年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業 |
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8 |
●豊羽(定山渓) |
札幌市 |
40 |
2 |
JX日鉱日石金属(株) 豊羽鉱山(株) |
JX日鉱日石・定山渓>>191
>>583
日鉱金属→JX日鉱金属 ・地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては2012年度からの採択案件であり、平成25(2013)年度においては、さらに2本の構造試錐井の掘削 を実施し、地熱貯留層の広がりを確認する。 |
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9 |
●阿女鱒山 |
北海道赤井川村 |
2 |
○出光興産(株) 国際石油開発帝石(株) 三井石油開発(株) |
>>680
・ 地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては平成24(2012)年度からの採択案件であり、平成25年度においては、構造試錐井(1本)の掘削、植 物・鳥類調査、温泉モニタリング調査について実施する。 平成26年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業。 |
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20 |
●八甲田北西地域 | 青森県青森市 | 川崎重工業(株) 東日本旅客鉄道(株) (株)大林組 |
十和田八幡平国立公園内案件 2013年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査(地表踏査、重力調査等)を実施する。 平成26年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業。 |
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磐梯周辺 |
福島県耶麻郡磐梯町 猪苗代町、北塩原村 |
1 |
福島JV(○出光興産(株)・石油資源開
発(株)・三菱マテリアル(株)・国際石油開発帝石(株)・三井石油開発(株)・住友商事(株)・三菱商事(株)・三菱ガス化学(株)・地熱技術開発
(株)・日本重化学工業(株)) |
磐梯朝日国立公園内案件 >>474 出光・国際石油開発帝石・三菱マテリアル ・2013年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査(地質変質帯調査、源泉調査等)及び自然環境調査を実施する。 平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業(新規採択) |
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奥飛騨温泉郷 |
岐阜県 |
Max100 |
1 |
ミサワInt >>877 B:300kW→1500kW→別の方法(汽力?):7500kW(7.5MW)→10万kW(100MW) |
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平治岳北部地域 | 大分県 由布市、竹田市及九重町 |
九州電力(株) | 阿蘇くじゅう国立公園内案件。 ・2013年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査及び温泉モニタリング等を実施する。 |
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白水越 |
鹿児島県 |
1 |
日鉄鉱業 |
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木地山・下の岱 |
秋田県湯沢市 |
50 |
2 |
東北水力地熱 (株) | 栗駒国定公園内案件 ・地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては2012年度からの採択案件であり、2013年度においては、構造試錐井(1本)、モニタリング井(1 本)の掘削などを実施する。平成26年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業(新規採択) |
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美瑛 |
北海道 |
3' |
王子製紙・大林組 |
王子製紙社有林>>510 | |||
岩木山嶽(だけ)地域 |
青森県弘前市 |
3' |
○基礎地盤コンサルタンツ,JENホールディングス、大林組、川崎重工 業 | ・地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては平成24(2012)
年度からの採択案件であり、平成25(2013)年度においては400mの井戸を掘削し、地下の温度状況を確認する。 |
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小安(栗駒) |
秋田県湯沢市 |
2 |
>>339 出光○・帝石 >>587三 井石油開発 | 栗駒国定公園内案件 ・地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては平成24(2012)年度からの採択案件であり、平成25年度においては、構造試錐井(2本)の掘削、植 物・鳥類調査、温泉モニタリング調査などを実施する。 平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業 |
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松尾八幡平 |
岩手県八幡平市 |
7.0※ |
3’ |
岩手地熱(株) (日本重化学工業と地熱エンジニアリング、JFEエンジニアリングが出資して2011年に設立された企業。2013年5月には三井石油化学が新たに出資し た) |
2万~5万キロワット(20~50MW)の地熱資源が存在し
ていることが判明
※系統電力不足で取り敢えず7千キロワット。 地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては 平成24(2012)年度からの採択案件であり、平成25年度においては、構造試錐井(1本)の掘削などを実施する。平成26(2014)年度地熱資源開 発調査事業費助成金交付事業(新規採択) 2015年事業化目指す>>317 >>882 |
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21 |
●安比 |
岩手県八幡平市 |
3 |
三菱マテリアル.地熱事業から撤退する新エネルギー・産業技術総合開発
機構(NEDO)の調査坑の活用を調整中>>390 |
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23 |
●山葵沢 |
秋田県湯沢市 |
42.0 |
4 |
湯沢地熱(電発50%,三マテ30%,MGC20%) | >>176>>192>>386>>869
現在最も計画熟度が高い地熱開発計画。 |
番号 |
地域 |
立地自治体 |
定格出力 |
進捗度 |
年間発電量 (設備利用率) |
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【北海道】 |
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3 |
● |
北海道弟子屈町 |
60~80kW |
(株) 国書刊行会グループの(株)セイユウ | 毎
分500リットル、97℃の温泉水 発電後の温排水を2万~3万㎥のビニールハウスの温室用に使用、野菜栽培等の2次利用の計画も |
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5 |
●足寄町地域 | 北海道足寄郡足寄町 | エスエスコンサル(株) | 平成24年度からの採択案件であり、平成25年度においては、地下構造 を詳細に把握するための地表調査等を実施する。>>972 | |||
10 |
◆ |
北海道真狩村 |
平成26年度「地熱開発理解促進関連事業支援補助金」採択 地熱開発理解促進協議会準備委員会を開催 |
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11 |
◆ |
ニセコ町 蘭越町 |
鶴雅観光開発(株) 北電総合設計(株) |
平成26年度「地熱開発理解促進関連事業支援補助金」採択 具体的な地熱開発に向けて、温泉事業者を対象に発電設備メーカーや掘削事業者と意見交換する講座や小型バイナリー発電を導入した先進地調査等を実施し、バ イナリー発電の具体的な導入を目指す。 |
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12 |
●洞爺湖温泉地域 | 北海道虻田郡洞爺湖町 | 洞爺湖温泉利用協同組合 | ・支笏洞爺国立公園内案件 ・バイナリー発電事業を行うための、構造試錐井(1本)の掘削を行なう。 |
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15 |
● |
北海道奥尻町 |
500kW |
町内の事業者、団体、住民代表者等で構成するビジョン策定委員会を設
け、「奥尻町地熱資源利用ビジョン」を策定 こんな論文も→ 火山島として有名な奥尻島は、年間 1 億 7000 万 kWh の地熱エネルギー導入ポテンシャルがある。(そこで離島発電+直流送電) |
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16 |
●南茅部 | 北海道函館市 | 2M程度? |
オリックス(株) | 平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業(新規 採択) | ||
【東北】 |
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17 |
下風呂地域 |
青森県下北郡風間浦村 |
2M程度 |
最短で2016年 |
オリックス(株) |
平成25年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査(文献調査、地
形/地質調査、地化学調査等)を実施する。 平成25(2013)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業(新規採択) 平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業 >>967-968 |
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19 |
岩木山 |
青森県弘前市 |
平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業 現在行われている資源開発調査の状況から当該開発地点はバイナリー発電方式が相当との評価 地熱発電後の余剰熱について地域特性を活かした有効利用の検討や積雪寒冷地としてのモデ ル事業を作成するなど、熱水利用可能性調査を実施 |
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網張地域 | 岩手県岩手郡雫石町 | 地熱エンジニアリング(株) 雫石町 |
・十和田湖八幡平国立公園内案件。 ・網張元湯源泉の代替井からの余剰蒸気を活用し発電を検討。 ・平成25年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査及び温泉モニタリングを実施する。 |
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つなぎ温泉 |
岩手県盛岡市 |
○つなぎ源泉管理有限会社、岩手県盛岡市 | 平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業(新規 採択) | ||||
土湯B | 0.4→送電端0.35 | つちゆ温泉エナジー(株)((株)元気アップつちゆ 100%) |
株
式会社元気アップつちゆ の株主:湯遊つちゆ温泉協同組合90%、 NPO土湯温泉観光まちづくり協議会10%)地元温泉協同組合・福島県>>864 政府系金融機関債務保証 水冷式バイナリー方式(使用媒体:ペンタン)>>JOGMEC H27.7運転開始予定 |
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熱川温泉地域 |
静岡県東伊豆町 |
地域エネルギー開発 REDS湘南 |
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宇奈月温泉地域 | 富山県黒部市 | ジオエナジー株式会社 大高建設株式会社 |
・平成24年度からの採択案件であり、平成25年度においては、地表調 査(電磁探査、重力探査)を実施する。 | ||||
立山山麓地域 | 富山県富山市 | 大山観光開発株式会社 | ・平成25年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査及び温泉調査 を実施する。 | ||||
中尾地区 | 奥飛騨温泉郷 | 1.0→2.0 | 2015年の発電開始を目標 |
中尾地熱発電(東芝55%・オリックス45%) | >>676>>764>>725>>685 設置予定の地熱発電設備は、出力1,000~2,000kW(1~2MW)のコンパクトな東芝製発電設備「GeoportableTM(ジオポータブ ル)」で、据付工期が短いことなどが特長 |
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一重ヶ根地区 | 奥飛騨温泉郷 | 0.3~1.5 | >>877 | ||||
本宮地域 |
和歌山県田辺市 | 和歌山県社会研究所 紀峰産業 浦島観光ホテル山水館 川湯みどりや |
|||||
有福温泉地域 |
島根県 |
有福振興 |
|||||
小浜温泉 | 雲仙・島原 | 0.18開始予定 →0.21 |
2013.4稼働 |
(一社)小浜温泉エネルギー(2011設立)→(株)洸陽 電気 | 130万kWh/年 (70%程度) |
湧水1万5000トン・100℃超の温泉水が特徴→70%は使われず海 へ。 | |
小国 | 2.0 | わいた会・中央電力 | >>508>>866 | ||||
小国 | 0.15(+2.0) | 洸陽(こうよう)電機 | >>794 | ||||
小国(豊礼の湯) |
豊礼 |
||||||
石松農園(小国地域) | 熊本県阿蘇郡小国町 | 有限会社石松農園 | ・平成24年度からの採択案件であり、平成25年度においては、石松農 園が所有する温泉井における湧出量試験を実施し、発電規模の検討等を行う。 | ||||
別府温泉 | 0.05MWで開始→最大0.6MW迄 | 瀬戸内エナジー | ・650世帯に温泉を供給 1分間に800Lの温水→使い切れずに一部は棄てていた | ||||
別府温泉 | 0.5MW発電し0.4MW売電 | コスモテック | 15.7開始予定 121度以上の熱で発電できるバイナリシステムを導入。 | ||||
小平谷地域 | 大分県玖珠郡九重町 | 浦安電設株式会社 株式会社水分のさと |
・平成25年度は地下構造を詳細に把握するための地表調査(文献調査、 地質調査、電磁探査、地化学調査等)を実施する。 | ||||
野矢地域 | 大分県玖珠郡九重町 | 株式会社タカフジ | ・掘削調査に向けた地表調査(文献調査、電磁探査、地化学調査等)を実 施する。 | ||||
菅原B | 5.0→ 送電端4.0 | 西 日本環境エネルギー(株)(九電100%) | 九電系>>864
大分県 政府系金融機関債務保証
>>908-910 空 冷式バイナリー方式(使用媒体:ペンタン) |
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山川B | 0.25 | 九電+川重 | ・実証実験施設 |
番号 |
地域 |
立地自治体 |
定格出力 |
進捗度 |
事業実施者 |
想定年間 発電量 |
その他・備考 |
2 |
◆ |
北海道中標津町 |
|
中標津町 | 平成 26 年度地熱開発理解促進関連事業支援補助金の採択 農協や商工会等から構成される「中標津町地熱促進協議会(仮称)」を設立 |
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13 |
◆ |
北海道八雲町 |
八雲町 |
平成 26 年度地熱開発理解促進関連事業支援補助金の採択 八雲町熊石地域における地熱開発や熱水の活用に関する勉強会や先進地調査を実施 |
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14 |
◆ |
北海道鹿部町 |
㈱道銀地域総合研究所 鹿部地中熱事業化検討協議会 |
平成 26 年度地熱開発理解促進関連事業支援補助金に採択 漁師等から構成される「鹿部地中熱事業化検討協議会」を中心に検討 |
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18 |
◆燧岳 | 青森県むつ市 |
1 |
>>783
むつ市・弘前大北日本新エネ研 平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業 |
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28 |
◆ |
岩手県西和賀 町 | 西和賀町 | 平成 26 年度地熱開発理解促進関連事業支援補助金に採択 西和賀町と巣郷 温泉区域内の温泉の開発・供給を行う巣郷温泉 地区の旅館等で構成する巣郷温泉開発(株)が主体 |
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