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地熱発電(安比・松尾八幡平問題)

地熱資源が豊富で既に地熱発電が八幡平市内には2箇所程計画されている。
地域
場所
定格出力
事業主体

松尾八幡平
岩手県八幡平市
7.0※
岩手地熱(株)
(日本重化学工業と地熱エンジニアリング、JFEエンジニアリングが出資して2011年に設立された企業。2013年5月には三井石油化学が新たに出資した)

 2万~5万キロワット(20~50MW)の地熱資源が存在していることが判明 ※系統電力不足で取り敢えず7千キロワット。
地熱資源開発調査事業費助成金交付事業としては 平成24(2012)年度からの採択案件であり、平成25年度においては、構造試錐井(1本)の掘削などを実施する。平成26(2014)年度地熱資源開発調査事業費助成金交付事業(新規採択)
2015年事業化目指す>>317 >>882
安比 岩手県八幡平市
三菱マテリアル. 地熱事業から撤退する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査坑の活用を調整中>>390


このうち安比にはNEDOが掘った調査井戸があって効率的に開発が可能である。経産省の資料(ここ。何の審議会or調査会の資料かは現時点で不明)では開発が既に進む山葵沢・秋ノ宮地域と安比地域の概要が記載されている。

既に日本の開発中の大規模地熱で一番の進捗度の山葵沢は取り敢えず稼働に突き進めば良いとして,問題はこの安比・松尾地域である。

既にNEDOの孔(あ)けた調査井があるのでそれが利用可能とのこと。(使ってない今はちゃんと塞いでいるの?)
どうやらAP-2,4,6ってのがその調査井の名前で,タービン入口圧力0.6~0.7,90%蒸気流量が発電に使う適切な量の様である。。

安比既存井生産能力
タービン
入口圧力
MPa(a)
分離圧力
MPa(a)
坑口圧力
MPa(a)
AP-2
蒸気流量
(t/H)
AP-4
蒸気流量
(t/H)
AP-6
蒸気流量
(t/H)
合計
蒸気流量
(t/H)
90%
蒸気流量
(t/H)
その他・備考
0.50
0.55
0.60
49.3
47.3
27.9
124.5
112.0

0.60
0.65
0.70
48.8
46.7
27.5
123.0
110.7

0.70
0.75
0.80
48.3
46.1
27.2
121.6
109.4

0.80
0.85
0.90
47.9
45.5
26.8
120.2
108.1

0.90
0.95
1.00
47.4
44.8
26.5
118.7
106.8

*AP-2,4はNEDO報告書から抜粋、AP-6は特性試験結果より計算
*運転開始初期には熱水は噴出しない(シミュレーションでは5年後に熱水噴出)
●既存井で11~13MWの発電が可能(還元井は新規掘削必要)
●貯留層能力:20MWで30年間発電を維持することが可能

コスト試算結果
NEDO報告書(H15、15年平均、送電設備含む)
(単位:円/kWh)
7.5MW
10MW
20MW
シングルフラッシュ
11.2
9.9
7.6
水媒体バイナリー
12.2
10.6
9.1
系統連系場所
竜ヶ森配電塔
竜ヶ森配電塔 柏台変電所
良好な結果である。

必要となる送電線は発電規模に応じて変電所・配電所に繋ぐ必要がある。それが3行目系統連系場所である。
ここに問題があったのである。

発電規模
連系接続箇所
送電線容量
総延長
10MW未満 竜ヶ森配電塔接続 33kV配電線 15.5km
10MW以上 柏台変電所接続 66kV送電線 19.5km


東北電力の当該地域の連系制約マッピング(出典はこちら)は以下の通り。北岩手変電所から北盛岡変電所までの66kV送電線に制約が発生している他,その送電線へフィーダーする66kVの好摩変電所~柏台変電所
,柏台変電所から竜ヶ森変電所の33kVの送電線に連系制約が発生しているのが判る。



北海道や東北のの豊富な風力や太陽光を蓄電池を利用して平滑化しつつ(この辺参照),北本連系を増強して(図2)東北に,東北の電気を関東に持って行く(図3)のが震災後の東日本(50Hz地帯)の基本構造であり,更には東電の余剰電力で既存の原発比重の高さに苦しむ関電や九電を救済(図4) と云う日本全体のマクロの電力供給構図の中で,この部分になんらかの措置が必要なのは明らかであろう。北岩手から北盛岡の強化が日本国土軸の中で行われれ ば安比から好摩迄,竜が森経由での33kV線を増強すれば良いであろう。なんなら沼宮内まで直結しても良いかもしれないし上北変電所から安代・柏台を経て 北盛岡までもう1本高圧電線引いてもいいな♪

北海道から東北へ風力発電の電気を送り,更に玉突きで東北から東電へ電気を送る計画がある。この計画にこの松尾八幡平地区の地熱発電分の上乗せは限界的な追加費用で行けるであろう。
是非実現して欲しい所である。

図3
この辺も参照