竜東一貫水路は、天竜川左岸の伊奈山地西麓段丘上にあり、飯田市、松川
町、豊丘村、喬木村の4市町村にまたがる899haの受益地を潤している。 段丘は勾配があり、河川は深く、降った雨は落ちるように天竜川に流れてしまうため、かつては、農業用水をめぐって水争いが絶えない状況であった。一方、松 川町と中川村の境を流れる小渋川は、大雨が降るたびに洪水となり、昭和36年梅雨前線豪雨の災害を契機に天竜川基幹治水対策として小渋川総合開発計画が立 案され、洪水調整、発電、農業用水確保の役割を果たす小渋川ダム建設が着工された。 また、小渋川総合開発事業の一環として、昭和38年県営潅漑排水事業が採択され、昭和55年にかけて工事が行われたのが「竜東一貫水路」である。 |