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揚水など調整力 蓄電新技術 蓄電池価格低下

ドイツの送電网


ドイツの送電罔に関する前提として古いが東電の資料(東京電力2003年)が参考に なる。これによると


• 4大電力会社が所有・運営 する基幹系統(38万V,22万 V) が、多点で連系されるメッ シュ状系統

電源は需要地近傍に80~ 100km間隔で立地。基幹送 電線ルートの最大潮流も約 100万kW程度

• 電源と需要の偏在により発 生する「特定方向への重潮 流」は発生していない模様。



◎ 電源立地可能箇所の偏在により、大規模・遠距離送電に対応する50万V多重ループ系統

◎ 50万V送電線1ルートあたりの潮流は300~500万kWと、欧米の2~3倍程度に達する状況

→ 系統制約は、線路の熱容量制約よりも系統安定度、電圧安定性で決まる傾向


またこの発電地と消費地の近接は独逸・デンマークの風力発電が低圧で連系することになり,高圧のスペインやポルトガルと対蹠的である。

この長距離送電の欠落が近年風力発電の隆盛で急に長距離送電が必要になって,日本人なら故郷の風景として馴染んでる高圧鉄塔が迷惑施設として忌避 されて電力ムラ村民がほら巧く行かんぞと囃し立てたと云う形になる。(最近は大人しくなったので巧く行きつつあるのかも知れない。)

いずれにせよ,再生可能エネ導入に対してドイツは南北幹線の建設という形で対応する事になるようだ。この本の個人的な注目ポイントは調整部分と ベースロー ドとの関係である。その時々でもっとも限界費用の安い電気がベースを形成してするのであるが,それは此迄出力が一定の原子力や石炭であった。風力や太陽光 の値段が下がってくるとその意味が変化して変動する再生エネが最安値で基底を構成しそれにガス火発等で調整するのがメインになって来るようだ。その際にガ ス火発等が損益分岐点を割り込んで調整力が不足する事態にもなりかねず,誰かにその調整義務を負わせるとなるとその費用を誰が負担するのかということにな る。

その概要は以下の様である。
エネ研IEEJ:2013年8月
ドイツの電力ネットワーク、大規模拡充計画が進行中
新エネルギー・国際協力支援ユニット新エネルギーグループ
https://eneken.ieej.or.jp/data/5110.pdf

ドイツ北部の風力発電は現地の需要を超える発電能力を有しているが、送電ネットワークの容量不足により、その余剰電力を南部の大需要地へ送電することが出 来ない。このためドイツ最北端に位置するSchleswig-Holstein州では風力発電の発電制限が行われている。
また、北部の余剰風力発電電力が近隣のポーランド、チェコ共和国、オーストリアを経由してドイツ南部へ流れこみ、これらの国々の電力系統に負荷を懸けるという問題も発生している。

問題の抜本的な解決をめざしてドイツの電力系統開発計画(Electricity Network Development Plan:NDP)が検討されてきた。

NDP 2012は既存の交流送電ネットワーク(全長17,500km)の増強と、4本の超高圧直流送電線の新設(4)から成る。前者は送電能力が不足している一 部のネットワークの強化・拡充(全長2,900km)と、数百kmの交流送電線ネットワークの新設から成る。後者はドイツ北部、および北海・バルト海の洋 上風力発電電力を、電力の大消費地である南部の工業地帯へ直接送電する長距離送電線で、NDP 2012の中心的プロジェクトとなっている。

NDP 2012で示された大規模電力ネットワーク拡充計画には200億ユーロが必要と見込まれている。本年末に建設許可申請を行う予定で、2022年の原子力発電の完全停止までに計画通り増強することが望まれている

(4)今回承認された超高圧直流送電線はCorridor A、Corridor C、Corridor D、Combined grid solutionと呼ばれている。

Corridor Aはエムス川河口に位置する北海の洋上風力発電の基地の町Emdenから、Dusseldorf郊外のOsterathを経てドイツ南西部Baden- Wurtemberg州の町Philippsburg (Stuttgartの北西70kmに位置する) に至る(全長660km)
PhilippsburgにはEnBW社の原子力発電所2基があるが、1基は既に停止され廃炉の予定である。残り1基は2019年運転停止の予定。

Corridor Cはエルベ川の河口近くの町BrusbuttelからBabaria州の町Grafenrheinfeldを経て、Baden-Wurtemberg州の町Grossgartachに至る。

Corridor DはSaxony- Anhalt州の町Bad LauchstadtからBabaria州の町 Meitingenに至る(全長450km)

Combined grid solutionはバルト海で建設されるスウェーデン、デンマーク、ドイツの洋上風力発電所を連結し、それぞれの国へ送電できるようにするもの。ドイツへは北東部のMechlenburg-Vorpommern州に繋がる。

Corridor Bは原案にはあったが緊急性に欠けるとしてNDP 2012では承認されなかった。

Corridor A、B、C、D、Combined grid solutionの総延長は2100km。


地名が沢山出てきてもさっぱり解らん。。
ググってみた。
こんな感じで南北に10GWの太いラインが引く予定のようである。で,欧州は広い,日本は狭いと皆思ってるけど,案外延長短いのも注目。

出典:Reserch Gate

出典:GRIST

上画の出典元には更には以下の様な野心的な記述がw
これを見ると解るがソーラーパネルと集光型はどっちも日本だと太陽光発電と呼んでる(後者は余り無いけど)けど別物という認識なんだな。

In approving these lines, Germany is taking the first step toward a much-discussed “supergrid” that will interconnect all of Europe:

If Germany moves forward with such HVDC lines, it could help pave the way for something much bigger, a “supergrid” of inter connected DC lines capable of transporting electricity on a continental scale, ferrying energy from North Sea turbines, dams in Scandinavia, or Mediterranean solar farms to wherever demand is greatest at that moment. The European Commission is counting on this sort of flexibility to meet its goal of an 80 percent renewable power supply by 2050. Corridor A could be the first step.

The New York Times has more on the European supergrid idea; see also Friends of the Supergrid.

And then there’s Desertec, the proposed intercontinental supergrid that would connect renewable sources from North Africa to Europe:

出典:GRIST



この計画であるが,反対で時間がかかるようではある。