矢作川水系巴川
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21.1.忘作成
矢作川水系巴川(20.12/23.1訪問)

矢作川中流圏域が巴川のテリトリーである。発電所の配置はこんな感じ:

(矢作川合流)─(郡界川:岩津発電所)─白瀬発 電所足助発電所足助増強案(+10.2MW)─(足 助川分流)─(香嵐渓)─(大見川:賀茂発電所・東大見発電所)【大見川開発案(+9.0MW)盛岡発電所巴川発電所巴川堰堤──羽布ダム──(源流・巴川)[→豊川水系巴川

水利利用模式図
出典:国 交省

流域の概要
出典:愛知県

流域近傍の主要気象観測所
出典:愛知県¥ 「

直近30年の年間降水量と年平均気温

まあ,降水量は少なめ。奥矢作の稲武でやっと2500超である。
出典:愛知県

直近30年の月間降水量と月平均気温
出典:愛知県
巴川源流域 は山間部なので豊田よりは上だろうけど足助付近で1500mm,また冬は可成り小雨と いう感じである。巴川や神越川も上流部では1700mmを越えて羽布ダム辺りは2000mmに掛 かっている。
    出典:国 交省






~沿川風景~


上流から見て行く。
まずは此処,羽布ダムから。巴川上流のダムである。流域面積51.3km2。小水力発電が設けられて自家発電に(余剰電力の売電も?)使用されているよう だ。明治用 水の水源となっているようである。

羽布(はぶ)ダム[豊 田市羽布町(450m)][便覧][愛 知県]   
河川     矢作川水系巴川
目的:潅漑(A)
堤高/堤頂長: 62.5m/398.5m
流域面積/湛水面積     51.3km2 ( 全て直接流域 ) /107ha
総貯水容量/有効貯水容量: 1,936.3万m3/1,846.1万m3
ダム事業者     東海農政局
着手/竣工     …/1962
常時満水位:467.0m
最大使用水量:17.4m3/s

また最盛期には(代掻き期?)17.4m3/sも送水する様だ。それとも他の水源の故障時の為に多めに積んであるのかな?潅漑期にどの程度放水してゐるの か気になる所である。

小水力発電が設置された。年平均雨量が1500mなので水量係数50%程度,51.3km2に対して最大3m3/sとは悪くない。

羽布ダム小水力発電[小 水力協][小水力協][新エネ新聞
愛知県
流込式※ ※既に許可を受けた農業用水等を利用して発電を行う従属発電
出力:854kW 3,200MWh/年
落差:45m
水量:0.9~3.0m3/s
総事業費:9億8,700万円
運開:2016.10
着工:2013年度


【羽布ダム導水】

野原川・支流
流域面積:18.4km2 →1.2m3/s程度(341kW相当)
導水距離:2.8km


大桑川・杣沢
流域面積:16.3km2 →1.1m3/s程度(313kW相当)
導水距離:3.27km


[増強案]羽布(はぶ)ダム
河川     矢作川水系巴川
目的:潅漑(A)・不特定利水(N)・発電 (P)
堤高/堤頂長: 62.5m/398.5m
流域面積/湛水面積    86.0km2 (直接:51.3km2・間接: 34.7km2) /107ha
総貯水容量/有効貯水容量: 1,936.3万m3/1,846.1万m3
ダム事業者     東海農政局
常時満水位:467.0m
最大使用水量:17.4m3/s

水源は6割増に♪





巴川堰堤[場 所][名 称はGより
堤高:4.76m
取水量:2.80m3/s (0.24)→倍増は出来る。
流域面積:113.8km2
取水:巴川321.11m
送水:巴川発電所
20.12
貯めておくと云うよりは堰き止めて高低差を稼ぎ,残りはどんどん放流している感じ。冬なのに結構堰の上限迄水は貯まっていた。とはいえ越流タイプの堰でガ チで水を貯めに来てる感じでは無い。
20.12

一寸水が貯まっていて貯水池的になってるけど貯留量はないようだ。。

もう5m程堰を高くして一寸貯水してもええんちゃうか。
また上流の面積が114km2程有る。雨がそれ程多くは無いとは云え最低5.7m3/s程は取水出来るのでは無いか?まあ水車や導水管増強するのはペイし ないとしても,不特定利水的に水量が安定化するだけで下流の発電所群の発電量を向上させることが出来る。
雨量図よく見るとこの取水池辺りから1700mm位には見えるから6.5m3/s位は取れそうな感じがしなくもない。

さてその堰堤から水を受ける巴川発電所である。流域の名を背負う発電所であるが,本人?に気負いは全くない,変哲のない小発電所である。
もう一寸気負ってくれてええねんでw
それとも沿線最大都市の足助の名を背負った足助発電所共々2MW級と云う所に気概を感じとってあげるべき か?!


巴川発電所[水力] [DB]     
中部電力(株)
運開:1916(T5).2
水路式・流込式
認可最大出力:2,100kW  常時出力:1,100kW[52.4%]
最大使用水量:2.80m3/s[0.246] 常時水量:1.67m3/s[59.6%]
有効落差:89.54m
導水路:総延長4291.6m
水車:出力2130kW×1台(現状の発電水車効率:)
流域面積:113.8km2
取水:巴川(取水堰)321.11m・右 衛門殿川321.1mの此処は?(但し巴川取水堰と巴川発電所の水量はともに2.80m3/sで均衡している様で,DBに も資 料にも取水地点は1箇所とある。)
放水:巴川228.37m

①巴川取水堰では今の約倍以上5.7~6.5m3/s程度は取水出来そうである。
②巴川取水堰では今より4m程は取水位上げられそうである。貯留も出来そう。(直ぐ上手に平 瀬町という聚落[すとびゅう]があるのでそれが上限となる。)
③途中の右衛門殿川でも取水出来そうである。

折角なので貯水出来る様にして送水路も増強する。4kmの導水路増強で2.3~2.9MWの増強が可能そうである。
増加分がやや小さいけど採算は取れるのではないか?優先度はそれ程高くは無さそうだけど。。。


(仮称)盛岡発電所取水堰
流域面積:131.3km2
取水量:3.87m3/s
取水:巴川(224.58m)






巴川発電所の直下に取水施設がある。巴川P/Sで5.7m3/s使えるならここ盛岡は6.5m3/s程使えそうである。

盛岡発電所[水力
中部電力(株)
所在地:愛知県豊田市戸中町
運開:1908(M41).2
水路式・流込式
認可最大出力:1,200kW  常時出力: 590kW[49.2%]
最大使用水量:3.87m3/s[0.295]   常時水量:2.14m3/s[55.3%]
有効落差:36.51m
水車:横軸フランシス水車 出力1220kW×1台
導水路:総延長1715.4m
流域:131.3km2
取水:巴川224.58m
放水:巴川(足助発電所取水堰)181.38m

導水管を1.2km建設で0.8MW(0.66)増強出来る。

なんかデジカメの調子が悪くて露光が変だ。。

なんか空いてて水圧鉄管をもう1本建設する用意がある様にも見える!?

とはいえ規模は小さい。ひとまず下流含めて保留ということで。

仮称・足助発電所取水堰[場所]
取水:3.46m3/s
流域面積:136.3km2
取水位:181.80m(盛岡発電所)
送水:足助発電所



貯水量は無いようだが可能性は感じさせる大きさではあった。

~大見川・神越川~    

中部電力株式会社 東大見発電所[水力
所在地:愛知県豊田市東大見町
明治44(1911)年3月  :運用開始
水路式・流込式
認可最大出力:500kW  常時出力:470kW[94.0%]
最大使用水量:0.56m3/s[0.20]
有効落差:116.34m
水車:出力805kW×1台
導水路:総延長1483.4m
流域面積:27.8km2
取水:神越川368.44m
放水:神越川[賀茂発電所]248.44m

23.1
脇にはお約束の吊り橋と待ってましたの水利標識

利水標は下流の賀茂発電所の取水堰のもの

仮称・賀茂発電所神越川取水堰[場所]
取水:0.779m3/s(28立方尺毎秒)→取水口は二箇所在るがここの表示=最大使用水量である。

23.1
堰堤…かなりささやかな感じ。




仮称・賀茂発電所大見川取水堰


中部電力株式会社 賀茂発電所[水力
所在地:愛知県豊田市安実京町
大正 3(1914)年6月  :運用開始
水路式・流込式
認可最大出力:570kW 常時出力:410kW[71.9%]←可成り高め・取水量が少なすぎる。7倍ぐらいの規模感に出来そう。。わ ざわざカネ掛けるかどうかってのはあるけど。。
最大使用水量:0.779m3/s[0.17]
有効落差:92.90m
水車:出力601kW×1台
導水路:総延長2286.96m
流域面積:44.8km2
取水:神越川、大見川246.67m
放水:巴川150.56m

20.12


橋の上からの方がよく見えた。



【大見川開発】   

東大見・賀茂発電所の問題点は二つあって,一つは宏大な流域面積を活かさず極少量の使用水量に甘んじてい る所。もう一箇所は,孤立していて他の発電所と連繋できていない所である。
それらを一気に解決してみる。上流で取水して足助発電所の取水堰で放水して 発電するのである。


[私案]大見発電所
出力:9,000kW[+9.0MW]
水量:4.8m3/s
落差:220m
流域:38.0km2
導水:
取水:神 尾川大 見川(もうちょい下流にダム建設しても良いかも)・神 越川(もうちょい上流にして導水距離減らしても良いかも・東大見発電所等への配慮にも成る) 410m
放水:巴川(足助発電所取水堰)181.00m

既存の2発電所はそのまま小水力発電として残しておけば良い。廃止して仕舞っても構わんが。




足助発電所[水 力]   
中部電力(株)
所在地:愛知県豊田市岩神町
運開:1919(T8).10
認可最大出力:2,000kW  常時出力:670kW[33.5%]
最大使用水量:3.46m3/s(0.25) 常時水量1.25m3/s[36.1%]→上流の盛岡よりも常時水量が少ないとはどういうことやねん。水 道・潅漑その他の取水があるのか??そんなもん見当たらんぞ。慣行水利権か?
    有効落差:73.28m
    水車:出力2238kW×1台
    導水路:総延長2901.45m
    流域面積:136.3km2
    取水:巴川[盛岡発電所]181.80m
    放水:巴川103.96m

【足助増強案】 

水量が小さい・放流位が高い・取水場所が大見川系統の水を使う賀茂発電所の放水場所の手前と色々ちぐはぐな足助発電所 である。
足助川の水も使えていない。足助発電所と下の白瀬発電所の間の未利用落差もある。
差し当たり東大見・賀茂との非接合は(私案)大見発電所構想で解決でけた♪
次は足助の使用水量が小さい問題である。大見川・神越川からの水を含めて20m3/s近く使える事になる。まあ抑えて10m3/s程度にして白瀬堰堤に向 けて直送してみる。

[私案]新足助発電所
出力:10,200kW[+10.2MW]  常時:約1,000kW[9.8%]
水量:12.0m3/s[0.69]   常時:1.25m3/s[10.4%]→盛岡の常時 2.14+賀茂の常時0.696の和である2.836m3/s程度は欲しいねぇ。。23.6%になる。
落差:100m
流域面積:136.3km2+38.0km2(大見川)=174.3km2
取水:巴川[盛岡発電所・大見発電所]181.80m
放水:巴 川[白瀬堰堤]75m

これで大部現代的な発電所になる。またこのレベルで増強出来るとなると足助川の方からも取水してもっと増強出来る余地も出てくる。



中部電力株式会社 白瀬発電所[水力
所在地:愛知県豊田市幸海町
運開:1920.1
水路式・流込式
    認可最大出力:1,300kW      常時出力: 690kW[53.1%]←低水量時の水車効率高い??
    最大使用水量:5.564m3/s[0.22]   常時水量: 2.782m3/s[50.0%]←計った様に50%??
    有効落差:26.98m
    水車:横軸フランシス水車 出力1320kW×1台
    導水路:総延長3390.1m
    流域面積:256.0km2
    取水:巴川[白瀬堰堤]71.84m
    放水:巴川42.18m


~郡界川~

日影ダム



中部電力(株) 岩津発電所[水力
出力:140kW 常時:130kW
水量:0.37m3/s
落差:51.73m
流域:31.2km2
取水:郡界川
放水:郡界川


この後矢作川と合流するが,そこらで明治用水とも関係する(→矢作川[明治用水頭 首工])。
巴川からの取水は細川頭首工(矢作川細川第二頭首工との表記もあり)

細川頭首工[愛 知県
目的
役割
最大取水量
農業用水 豊田市・岡崎市・西尾市・安城市・碧南市・幸田町(矢作川第二)
田:5,508ha 畑:511ha 計:6,019ha
16.52m3/s 17.94m3/s
西尾市・幸田町(矢作川総合南部農水)
田:799ha 畑:255ha 計:1,054ha
1.42m3/s
上水道 岡崎市・西尾市・碧南市・幸田町(幸田浄水場) 1.23m3/s
1.63m3/s
岡崎市(仁木浄水場)   
0.40m3/s
合計
関係市町:豊田市・岡崎市・西尾市・安城市・碧南市・幸田町 19.57m3/s
農業用水・上水道の2つの目的を持っている施設です。

羽布ダムから始まった水の冒険も羽布ダムの目的である明治用水への取水で締めという事になる,

明治用水[愛 知県


上で見た羽布ダムは明治用水の為にあったようだ。
こちらの地図だと分かり易い。

三河小町


水の かんきょう学習館

明治用水頭首工(矢作川)--矢作川第二細川頭首工(巴川)---矢作川渡河--辺りが正式には明治用水ではないみたいなんだけどなんだろう。。

豊田市渡刈町HP