信 濃 川・千曲 川 阿賀野川 魚 野川 水力あれこれ
22.5.21再構成 22.1.31独立 20.10.30運開

魚野川圏域佐梨川

魚野川破間川(黒又川)・佐梨川只見川(上流)

目次
第Ⅰ部 現況
第Ⅱ部 奥只見綜合開発計画 
第Ⅲ部 揚水発電計画
第Ⅳ部 増強案(+69.9MW)

第Ⅰ部 現況

~佐梨川~
小出付近

白洲次郎が開発権をふんだくって行った(というか東電がふんだくって行くのを全力で沮止した,が正確か?)我らが奥只見ダム・発電所への入口(奥只見シルバーラ イン)のある谷筋である。
奥只見ダムへ引水とかされてないか慎重に見たが大丈夫そうだ。

先ずは頭首工があって,その上にはイマイチな発電所が一箇所ある。最大使用水量3.34m3/sで出力が720kWの小規模の癖になんと調整池方式らし い。なんとまあ生意気なw

小出郷第一号頭首工(佐梨川頭首工)[風 景(スウトビュウ)地 理院(150m)水土里
取水量:
流域面積:
取水位:

佐梨川右岸にある吉田堰、左岸にある上原堰、佐梨堰、佐梨本堰、佐梨本田堰、大河原堰等の取水井堰を一か所に統合し、一級河川佐梨川の上流から見て右側を右岸用水路(主に湯之谷地域)左側を左岸用水路(主に小出地域)といい、合わせて766.9haもの田んぼを潤しま す。

この谷筋には一箇所だけ発電所がある。頭首工の直ぐ上に放水口があるようだ。
1925年運開の古い発電所で1997年に設備改修を受けているが,流域面積80km2に対して使用水量が 3.34m3/s(流域・水量比4.2%)しかない使用水量の低い発電所である。
これでは立ち行かないので8%位で設計する。

東北電力(株) 湯之谷発電所[水 力
所在地:新潟県魚沼市葎沢
運開:1925.1  :設備改修:1997.4(運開後72年)
水路式・調整池式
認可最大出力:720kW     常時出力:640kW[88.9%]
最大使用水量:3.34m3/s[0.42] →流域面積80km2を念頭に置けば倍近く,6.4m3/s程度は行ける筈である。まあ倍取っても1400kW程度だからそんな投資しない方が良いけど。 もっと大きな絵を描きたい。
有効落差:26.59m(以前は26.78m)
水車:出力765kW×1台→765kW*2台or1500kWに置き換え?
導水路:総延長1251.9m(一部圧力トンネル)
流域面積:80.0km2
取水:佐 梨川(調整池)171.80m
放水:佐 梨川142.77m(発電所っぽい建物の前の川の標高は153mもある。放流はもっと下流か?)

【佐梨川原初増強私案】

湯之谷発電所はまあどうしようもないから抜本的に改造したいと考えつつ,この川のもっと巨大計画(後述)を見付ける 前,湯之谷 P/Sの取水ポイントの調整池(名前未詳)へ放水する発電所の建設を妄想していた。。
取水地点に迷ったが320m付近で取ること にする。
趣味を始めたばかりの私にはこんな無理矢理な案が精一杯であった。

[妄 想]佐梨川発電所
出力:4,400kW[+4.4MW]
水量:3.7m3/s
落差:144m
取水:湯 の沢佐 梨川(灰の又沢)折 立又沢一 枚小沢セ ンノ沢中 の又沢西 の又沢320m
放水:佐 梨川(調整池)171.80m
導水:10.54km (0.41)・サ イフォン(一箇所:芋川沢)→ぎり

流域:46.3km2→3.7m3/s

とまあこんな感じである。湯之谷発電所を態 々増強するならこんなのと一緒に併せてやれば良いと云う感じであった。


第Ⅱ部 奥只見綜合開発計画

しかし,その後,調べてみると寧ろ奥只見綜合開発に 絡んで可成り新潟県がごねて,こんな"分流案"の実現を迫ったいた様で ある。奥只見ダムからその年間貯水量の75%を用いて佐梨川の上流に落として,ここから更に⑥薮神PSへ落とす計画だった様である。
すげえぞ,冒頭で白洲がなんかしてないか疑った俺,やっぱ白洲がちょっかい出して新潟がこっち側に持って こようとした水を東北財界と結託して阿賀野川経由を死守したんだな!調べてみるとま あ新潟案は無理目ではあったみたいだが可成り揉めたようだ。
出典:仁 昌寺正一(1993)
これが出来ていれば,佐梨川に奥只見ダム(取水位740m!)から折立又川合流部付近とすると230mで一気に有効落差500m位の巨大発電所が出来てい たかも知れない♪
混合揚水だから水量は莫大だけど有効落差3倍ぐらいになるので下池が無いから何とも云えないけど560MWではなく1500MW位の巨大混合揚水発電所が 出来てたかも!?
仁昌寺(1993)に依ると③~⑦も発電所とのことであるが,黒台形が新設発電所と云う記述とも矛盾する。ダムというと貯水池との関係はどうなるんだとい う事になっていずれにせよなにやら不明確な図ではある。
いずれにせよ④が深道川と羽根川本沢の分岐付近とすると250m程度で⑤で発電して更に④で発電すると云う事はなさそうで④も⑤も⑥の薮神ダム湖畔 (EL133m程)で発電する為の取水堰の位置の様に思われる。もっと云うと③の黒又川も上条発電所の黒又ダムとすると取水位は250m程 度なので,全部250m程度で取水して薮神ダムに落とし込んで発電する発電所と看做す事が出来るかも知れない。

これを前提とすると黒又・破間方面は既に開発されてるので兎も角,佐梨川・羽根川から薮神へ送水して発電しても良さ そうである。

第Ⅲ部 揚水発電所

更に調べると揚水発電所の計画があったけど取り止めになったようだ。どんだけたくさんの揚水計画が日本にあったんだ。。(高倉・木曽中央・芦生永谷・金居 原・ 杉原etc再生エネの導入もまだまだ可能だな!)
ポテンシャルとして太陽光や風力発電の導入時に色々使えそうだな。

湯之谷揚水発電所計画の中止並びに
「佐梨川総合開発事業」からの撤退について
平成13年(2001年)9月5日
電源開発株 式会社

電源開発(株)は、湯之谷揚水発電所の建設に向けて諸準備を実施してまいりましたが、この度、本計画を中止せざるを得ないとの決定にいたりました。

湯之谷揚水発電所計画につきましては、約10年前の旺盛な電力需要の増勢を背景に、東地域電力2社(東北電力(株)、東京電力(株))におけるピーク需要 対応の広域電源として、新潟県湯之谷村と入広瀬村において、湯之谷揚水発電所180万キロワットを建設し、平成23年度の運転開始を目指し、これまで建設 に向けて諸準備を進めてきたところであります。

しかしながら、東地域電力2社の電力需要は、ここ数年の長引く景気低迷、省エネルギーの進展や負荷率平準化によるピーク需要の伸び悩み、並びにガス冷房や 自家発電の普及増等、需要構造の大きな変化もあり、ピーク需要の見通しを大幅に下方修正せざるを得なくなり、具体的な開発時期が見通せない状況となりまし た。また、電気事業をめぐる様々な経営環境の変化に加え、弊社においても民営化を控え一層の経営効率化を推進する必要がありますことから、東北電力 (株)、東京電力(株)2社と弊社の間において湯之谷揚水発電所計画の取扱いについて協議してまいりました結果、湯之谷揚水発電所計画を中止せざるを得な いとの結論にいたりました。

これに伴い、湯之谷揚水発電所計画は、新潟県が施行主体で進めております「佐梨川総合開発事業」を下池とする一体の計画であることから、本日、同事業から 撤退することについて、新潟県をはじめ湯之谷村及び入広瀬村並びに小出町に対し、申入れを行うこととしております。

 湯之谷揚水発電計画及び佐梨川発電計画

1.本計画の特徴
    湯之谷揚水:東地域2社(東京、東北)に電力供給する大規模広域電源。
    佐梨川水力:下池ダムに付加した一般水力。東北に電力供給。
    新潟県の総合開発ダム(補助ダム)に共同事業者として発電参加。
    ・目的:洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道、消流雪用水、発電(揚水、自流)
    ・アロケ負担率:治水37.0%、水道 1.4%、克雪 0.1%、揚水61.2%、一般水力 0.3%

2.計画概要および地点概況
【計画概要】
    湯之谷揚水計画は、信濃川水系黒又川の支流である明神沢川上流部に上池を、信濃川水系魚野川の支流である佐梨 川上流部に下池(新潟県の総合開発ダム)を設 け、この間の有効落差 400.5mを利用し、最大使用水量 540立方メートル/sにより最大出力 180万キロワットの純揚水発電を行うものである。また、佐梨川発電 計画は下池の佐梨川ダムに発電参加するもので、有効落差88.5m、最大使用水量 6.0立方メートル/sにより最大出力 4,400キロワットの発電を行うものである。
    所在地:(上池)新潟県北魚沼郡入広瀬村  (下池)新潟県北魚沼郡湯之谷村

【地点概況】
    上部ダム地点は全域国有林であり、下部ダム地点はすべて民有地である。
    本計画区域の全域が「越後三山只見国定公園」の第2種特別地域内である。

湯 之谷揚水発電計画諸元
項 目 上 池 下 池 その他
河川名 明 神沢川
(黒又川の支流)
佐梨川
発電方式 ダム水路式、純揚水
流域面積
2.8km2 27.9km2 流域面積より上池はこ の辺(A),下池はこ の辺(B)と推定される。
調整池 上部ダム 下部ダム
有効貯水量 1,580万m3 2,340万m3 下池の一般発電用容量:760万m3?
発電計画
基準有効落差 400.5m (A)は730m,(B)は320m と比高は410m程ある。佐梨川ダムの方が10m程高くなりそう。
最大使用水量 540m3/s
最大出力 180万kW(1,800MW)
ピーク継続時間 8hr 1580万m3=540m3/s*8hr
明神沢に上ダム造るぐらいならいっそのこと奥只見湖を上池にすればいいのに。
奥只見湖を上池に結局建設はされなかった黒又川第三ダム湖を下池にして黒又川第四発電所を混合揚水 発電 所として建設する計画があったんだし。便覧に拠ると1971年着手だそうな。同じく分流案に気配が残っている破間 川ダムの着工が1973であったが,この頃迄は未だ分流案と本流案の 妥協の産物としての最終案(現行案=基本的には本流案)の中に分流案のプランの欠片を実現しようとする気運が残っていたのかも知れない。
上池名 標高 導水距離
明神沢川 780m付近? 5.6km程度
奥只見湖 満水位740m 8.5km以上
出力と導水距離と自由には運用出来ないマイナスが上池の建設費を上回るってことか。


この河川開発計画,揚水発電のみならず,一般発電も含むものだったようで,下池からは発電も 計画していた。
佐梨川発電計画諸元・発電計画
項  目 諸 元 その他
水 路(水圧管路) 共同設備 336.5m
発電専用設備 444.3m

有効落差 88.5m
最大使用水量 6.0m3/s
最大出力 4,400キロワット
年間可能発生電力量 1,690万キロワット時 稼働率43.8%

湯之谷発電所が設備改修 はあったもののイマイチなスペックで放置されてきたのはこの計画があったせいか?

[計画中止]佐梨川(さなしがわ)ダム [便 覧
新聞報道によれば、新潟県は2003(平成15)年1月22日、建設計画を中止する方針を固め、新年度予算に調査費の計上を見送ったという。
電源開発がダムを利用する湯之谷揚水発電所の建設中止を決定し たことに伴い、ダム建設の費用負担が困難になったため。
左岸所在    新潟県北魚沼郡湯之谷村大字宇津野 
河川    信濃川水系佐梨川
目的:洪水調節・農地防災
堤高/堤頂長:95m/380m →堤高は地盤からの長さなので地表からの高さでは無いそうだが95m。堤頂長が380mだから大体EL400mが天端付 近か?満水位は390m程?結構高くて,駒 の湯山荘が水没してしまう。
流域面積/湛水面積    27.9K㎡/ha
総貯水容量/有効貯水容量    29500千m3/23400千m3
ダム事業者    新潟県
着手/竣工    1972/

すげえ,俺 ww 佐梨ダムの流域面積 27km2(一寸狭いけど。。)ってことは殆ど俺 が想定した取水点がほぼダム建設 予定地やんww
此処は計画を復活させたい。

計画では使用水量が6.0m/3だったけど流域面積27km2ではそんなに水量は確保できひんやろ。。(→ダム貯水池を利用した尖頭発電所という感じか? 逆調整池設けてその後は湯之谷発電所でまったり発電?)

ダム計画を知らずにダムの位置や発電量を的中させて喜んでた2020年秋の俺だが,佐梨川がもっとどでかい計画(ここここ参照)の一部に組 み込まれて いたことがあったと知るのは21年春迄待たねばならなかった。。その後出るわ出るわw(→第Ⅱ部で紹介 済)
この辺一帯は木曽川に比肩する電源地帯であるが構想倒れも色々あって,野尻川の乞 食岩ダム改め[と構 想]野尻川発電所とかお気に入りだし,黒又第三・第四の衣鉢を継ぐ黒又川第三構想も お 薦めだし,内川発電所・辰巳山発電所構想のぽしゃった伊南川もどう料理してやろうか構想中であ る。佐梨川も揚水と一般水力の発電を是非実現したい所。



基本この後は最終案の分流案的な流れで長岡近くの妙見迄持って行く感じである。詳しくはこ ちらで検討



芋川の巨大ダムは見えず,取水ぐらいしそうであるが,奥只見ダムから湯の谷第一(佐梨川),湯の谷第二(佐梨川),湯の谷第三(破間川・藪神ダム付近), 妙見(信濃川本流)と連ねる計画だった様である。

第Ⅳ部 開発篇 【現代的リバイバル】
黒俣開発も終わり施設が確定した現時点で昔の計画を復活させるとどう整合的に配置出来るかを考える。

[既設]奥只見ダム


[計画復活私案]新湯之谷発電所


[計画復活私案]湯之谷ダム


[計画復活私案]佐梨川発電所[→参考
出力:11,000kW[+11.0MW]
水量:6.0m3/s
落差:215m
取水:佐梨川[湯之谷ダム]380m
放水:佐梨川[薮神発電所(→以下で検討)]155m

~破間川~
現状交叉部にあるのは以下の3施設である。
古くからあるダム水路式の薮神30m3/s・8.8MW・H=35mに対して最近出来たダム式の薮神第二も30m3/s・4.5MW・H=17.85m。
落差はないので在来薮神発電所より出力は小さく,薮神が優先的に発電しつつ,余剰の水を薮神第二で使う運用だと思われるが,第二の稼働率,薮神の常時出力 の高さを見ても両者とも に可成りの稼働率を誇っている様だ。
恐らく水が流れている時は60m3/sは余裕で流れているのであろう。

[既設]東北電力(株) 藪神ダム [→破間川
堤高:23m、堤頂長:120m容量
総貯水容量:185.7万m3 有効貯水容量: 67.1万m3
流域面積:373.2 平方キロメートル 湛水面積: 0.21平方キロメートル
放水:薮神発電所30m3/s薮神第二発電所 30m3/s

[既設]第二藪神発電所[→破間川
ダム式・調整池式(未確認)
認可最大出力:4,500kW   常時:0kW?
年間発電量:18,250MWh/年見込  (稼働率46.3%)
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:17.85m
取水:破間川[藪神ダム]144.14m
放水:破間川128m程度?(有効落差より)

[既設]薮神発電所[→破間川
認可最大出力:8,800kW  常時出力:3,200kW[36.4%]
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:35.00m
水車:立軸フランシス水車×2台 総出力9280kW
導水路:主要導水路・延長4855.9m 断面積は18.9m2
取水:破間川[藪神ダム]144.14m
放水:破間川104.34m

[既設]藪神発電所・ダム合計
出力:13,300kW   常時:3.200kW?[24%]
水量:60.0m3/s[1.60]
流域/満水位/放水位 373.2km2/144.14m/第一103.34m・第二128m程度?

さて,ここでの目標は破間川の水に加えて更に芋川で取水(出来ればダム取水)しつつ妙見EL.38mで発電である。
この大量の水を有効活用するには①今の第二薮神の水を妙見に持ってきて優先的に発電しつつ,②今の薮神の水を尖頭ピーク的に小千谷辺りに持って行くのが良 さそう。優先と尖頭の役割が入れ替わる事になる。
そして③佐梨川と途中の河川から①か②へ導水となる。距離的に近い②への接続がいいだらう。
詰まり奥只見から妙見への古い計画はそのままの形では生きず途中で二つに分断されてしまう形であるけど,奥只見の代わりに大開発された破間川上流の黒又川 であるが,黒又から妙見迄一本の線で繋がるのである。


[私案]妙見発電所
出力:22.300kW[+22.3MW]
水量:35.0m3/s
落差:75m
導水:
取水:破間川[藪神第二発電所]・広神川・芋川 125m
放水:信濃川[妙見堰]38.0m

薮神PSには薮神Dの満水位に併せた以下の流域から取水して水量増強出来る。

これだと佐梨川の取水位が中途半端で佐梨川発電所との間に30m程の未利用落差が残ってしまう事になる。
佐梨川と羽根川から


[増強私案]藪神発電所
認可最大出力:12,300kW[+3.5MW]
最大使用水量:42.0m3/s[+12.0m3/s]
有効落差:35.00m
水車:立軸フランシス水車×2台 総出力9280kW+水車1台(新設)
導水路:主要導水路・延長4855.9m 断面積は18.9m2+新設(薮神発電所~佐梨川)
取水:破間川[藪神ダム]・小 黒川米 沢本沢羽 根川・佐梨川[佐梨川発電所(案)]144.14m
放水:破間川104.34m


魚沼PSの魚野川の取水域


魚沼PSと川口PSの導水路


[私案]魚沼発電所
出力:16,100kW[+16.1MW]
水量:70m3/s
落差:27m
流域:魚野川707.2km
導水:支水路:10.5km・本導水路6.7km 17.2km
取水:破間川[藪神発電所・佐梨川第二発電所]・魚野川 102m
導水:魚野川69m

[私案]越後川口発電所
出力:17,000kW[+17.0MW]
水量:100m3/s
落差:20m
導水:4.9km
取水:魚野川71m
放水:信濃川48m