電 力総研 水力あれこれ(紀伊半島)
とはずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
2022.02.08分割
2020.09.11作成
十津 川・紀の川綜合開発(その2)
1.概要 2.十津川分 水・西吉野第一・第二発電所・猿谷ダム・紀の川用水 3 -1:大迫ダム・大滝ダム・3-2:津 風呂ダム[→開発篇]・吉野川分水   4.その他(吉 野・紀ノ川開発 紀伊丹生川)

3.3- 1[上流篇:上流開発・大迫ダム大滝ダム・ 太滝発電所]・3-2[樫尾取水口樫尾発電所・吉野取水口・津 風呂ダム高 見川吉野発電 所下渕頭首工(下市取水場・吉野川分水)

大滝ダム,大滝発電所の直下には直ぐに樫尾発電所がある。以下頁を変える。

樫 尾発電所大滝堰堤:取水口(239m) 雀の社会科見学帖

樫尾発電所取水口
大滝発電所直下に取水堰がある。そうとは知らずに写真撮ってたw


その後樫尾迄運んでいくのだがR169 沿いの音無川をサイホンで潜って交叉して行く。




樫尾発電所[水 力]
事業者:関電
運開:1923.7 改修:1997(運開後74年)
水路式・流込み式
認可最大出力:3,650kW 常時出力:1,520kW
最大使用水量:8.35m3/s
有効落差:53.90m
水車:3台 総出力3,810kW
発 電所・放水口・取水堰などありそうだがイマイチごちゃごちゃ
取 水堰182m,大滝発電所18m3/s
21.5
ほぼ同地点に吉野発電所の取水堰がある。立ち入り禁止区域に利水標識あり。
望遠でぎりぎり取水量が13.357m3/sと読み取れた。

脇の溝はどうやら樫尾発電所の余水吐らしい。サイフォン付近には滔々たる水を湛えていたがここでは水がちょろちょろ流れていたのみ。余水は出ないぴったり の取水らしい。


大滝発電所直下で取水してるのであるのに大滝発電所の最大使用水量の半分以下の使用水量である。
ピーク的な水量だと全部回収出来る高い発電性能ではコストに見合わないのは解っているものの倍増させたい。先に樫尾が出来てたので対応できなかったの だろうけど,1997年の改修時にも手を付けられなかったなら残念。少しは増やしたりしたのかね?
→基本的に増やして行きたい派ではあるが,此処では敢えてそのまま放置を選択したい。
理由としては津風呂湖の項で下の吉野発電所(13.357m3/s)が今は取水している高見川の水量 (123.4km2分)を津風呂湖に入れて発電したいのでそれをした場合に吉野発電所の可能取水量が減ってしまうのである。ピーク用に大滝発電所 が放流した水を,ワンテンポかツーテンポ遅れてにはなるが(樫尾が取り損ねた水がぐるっと山を迂回して吉野発電所に届いてからになるので。。)取水して発 電に回したいと思う。

吉野発電所吉 野川取水堰堤(仮称)[場 所][DB
 (主要取水設備) 型式             取水堰
  (主要取水設備) 材質             コンクリート
  (主要取水設備) 高さ     (m)       8.78
  (主要取水設備) 堤頂長     (m)       36.50
  (制水門) 型式             ローラ・ゲート
  (制水門) 門数     (門)       1
  (制水門) 径間(口径)     (m)       4.60
  (制水門) 高さ     (m)       4.06

その吉野発電所の取水口である。
遠望で見難くて恐縮であるがただっ広い川原にある。遠くには樫尾発電所もある。出来れば貯留量を持った堰を建設してピーク対策をしてみたいところである。

[DB]に寄ると
>近年こそ取水えん堤上流部に治水用の大滝ダムが建設され洪水被害が低減されていますが,この大滝ダム建設のきっかけとなった1959年の伊勢湾台 風では大打撃を受け,えん堤地点は右岸取付部の地山が侵食されたことで復旧はえん堤長を約40 m 延長し元々のえん堤長の約 2 倍の長さとなっています。
とのことで,ただっぴろいのは伊達ではなく伊勢湾台風の災害時に山腹が削られて川巾が広く

此処から水路トンネルを混ぜつつ川沿い・道沿いに水は下っていく。

読書発電所に付随する柿其水路橋(>>tw) に似た水路橋発見!こいつで喜佐谷を乗り越える。
21.5

関西電力(株) 吉野発電所[水 力]DB] [DB
運開: 1923.01(1905(M38)に吉野水力電気(株)が水利権を申請,結局宇治川電気(株)の手により運開[1661 kW]・出力増強:1940年[2330 kW]
水路式・流込式
最大出力(常時): 2,700kW(950kW)
最大使用水量: 13.35m3/s
有効落差:   24.20m
水車:立軸フランシス 3台・  総出力(定格) 2,820kW
水路:導水路(無圧トンネル、開渠、暗渠、水路橋)4,211.0m/水圧鉄管(管胴):27.47m/放水路: 7.3m
取水: 吉野川(紀の川)[取水堰堤](樫尾発電所直下・183.24m)・他 1!?(取水堰2[経産省]とある・・)
放水: 吉 野川(紀の川)(156.02m)

樫 尾PS
からの増加分5m3/sは高見川流入分か?
有効落差も小さい小ぶりな発電所である。

所か脇に興味深いものを見付けた。
先程の樫尾発電所の余水吐に似た水路である

柵があって閉じられているが,その奥よく見ると流筏路ゲートとある!

サイフォンをどうやって通り抜けたかは謎であるが(筏も天井にぶつかりながらもサイフォンを通り抜けるのか!?),どうやら樫尾発電所の取水口から連続し て五社の水路トンネルを抜け,余水吐の様な筏流を駆け下り,此処で吉野川に再放流されたらしい。
探してみると写真発見!
奈 良県の画像アーカイブ,吉野・神宮・吉野川落 筏路・吉野発電所第二水路だっ!

さて,吉野発電所の項でも以下の高見川の津風呂導水・発電構想(妄 想)に関して先取りで対策を検討する。
高見川の流域は結構広い(取水予定域は123.4km2もある)のでここから の取水量が無くなると吉野 発電所が収益を維持出来るレベルで13.35m3/s確保出来るかは不透明である。
この水路橋で乗り越す喜佐谷と隣の谷でも取水しても良いかも。取水レベルは183m付近。0.7m3/s程度は追加出来そう。但し吉野川以外に後1箇所取 水口があるようなので多分ここから既に取水している。

とは言え吉野の利水量は樫尾+5m3/s程度なのでまあなんとかなりそう。例えば樫尾取水口・[構想]高見川取水口以下で吉野取水口以上の領域だけで 33.65km2ある。
これに大滝発電所からの 樫尾取水量以上使うピーク水量等を積み上げて行けば尖頭電力が必要な時に多少のタイムラグが発生するも発電出来て失う分程度は積み増し出来るだ ろう。



津風呂ダム[便覧][場 所][→開発篇]     
流域面積    160.7 kmē
湛水面積    150.0 ha
総貯水容量    2,565万m3
有効貯水容量    2,460万m3
着手/竣工     1952/1962

下で触れる高見川から導水したい。
150ha=1.5km2=150万m2なので1m嵩上げすると単純計算で150万m3貯水量を増やせる。引原ダムみたいに堰堤を増強して2m程水位上げ て貯水量も増やしこの分は発電に使いたい。湛水面積も一寸拡がるだろうし2,800万m3位は行けるかも。
名称
有効貯水量
目的
常時満水位
その他備考
大迫ダム[便覧 2,670万m3 AWP EL 398.00m 114.8km2
大滝ダム[便覧 7,600万m3 FNWIP EL321.00m 258km2
津風呂ダム[便覧 2,460万m3(→2,760万m3) AW(+P)
EL 236.00m 160.7 km2(+123.4km2[と]→283.4km2)
合 計
1億2,730万m3



2m上がることでこ の辺結構水が迫ってきてるので嵩上げが必要っぽい。

~ 高見川~         

津風呂湖の水は発電には未利用の様である。高 見川(238.4m)(東吉野村131.65km2の大部分123.4km2程が流域面積となる。)辺りから津風呂湖へ導水して津風呂湖の水利用 に余裕を持たせて発電に使いた い。[→開発篇]

ただ高見川流域には水発は皆無だったものの昔あった発電所が復活してしまった。。ただ規模は小さく水力開発を邪魔する程の水は使って無さそう。更に上流の 水を使って発電も可能っぽい

[廃止]筑波峯 (つくばね)発電所[wiki
運開:1914(吉野水力電気(株)1912設立) 廃止:1963(関西電力(株))
出力:45kW
取水:日裏川
放水:日裏川

東吉野水力発電(株) つくばね発電所[東吉野水電] [村観光協会][wiki] [セキュリテ
運開:2017(2014会社設立)
出力:82kW
使用水量:0.1m3/s
有効落差:105m
水車:クロスフロー※チェコ共和国シンク社製の水車発電機。出力 82kW
取水:日裏川(400m付近か?)
放水:日裏川(EL.284m 付近か?)

>2013年(平成25年)、地元有志者らが村の活性化を目指し、「つくばね発電所」の復活プロジェクトを開始。
>その後、「東吉野村小水力利用推進協議会」と「株式会社CWS(ならコープグループ)」の共同出資により「東吉野水力発電株式会社」を設立。金融 機関からの借入と市民ファンドにより資金を調達し、つくばね発電所を復活させました。



下渕頭首工(131.0)           
最大 9.91m3/s +1.07=10.98m3 十津川・紀ノ川綜合開発  3.5m3/s
http://maps.gsi.go.jp/#16/34.383378/135.782282/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
ここから奈良盆地へ送水する。[→奈良盆地


>吉野川から分水路を通じて奈良盆地に水が供給されるのは水田の時期の6月から9月まで。[産 経


下市取水場[奈良県
同じ場所反対側にも何やらある。
これも亦,何と川岸とは反対側のなら盆地(くんなか)へ水を送る施設であった。上が潅漑(農業用水)と上水道に対してこちらは水道水のみの様である。「拡 張事業で建設された下市取水場から」[奈 良県]という表現もあるので後から拡張・増強によって取水・浄水能力を強化したものと思われる。

沈砂池     6池 6,306m3

出典:奈良県

この後,上水道用水は御所浄水場に送られて奈良県内に給水される。

この辺と纏めると吉野川(紀の川)上流は国中(くんなか・奈良盆地)に導水され大和川へ流れ,川原樋川の水は丹生川に導水されて紀の川沿岸 を潤し,元々多雨地帯の新宮川(天ノ川・熊野川・十津川)は川原樋川の水を取られるだけだけど多雨地帯だし過疎地帯だしなんとかなってるって構図の様だ。 結経大規模な自 然改造,開発してるんだねえ。。

[吉野川下流開発]
ここ,凄いのが眠ってそうな気がする!
例えばここ。

4.3kmの導水管で有効落差30m程が取れそうである。木曽川みたいに滔々と流れる流れ全部使う気持ちで。てか取水口付近で如何に平時の雨を貯めておけ るかが課題。
貯めて置いてゆっくり使いたい。

後は水量だが,こんな資料を拾った。
紀の川 Kino R.  近畿地方整備局 Kinki R.B.
http://www.japanriver.or.jp/river_law/kasenzu/kasenzu_gaiyou/kinki_r/065kino.htm

流出特性 (統計期間の平均値)
FLOW REGIME (AVERAGE THROUGH THE STATISTICAL PERIOD)
観測所名
Name of station
豊水流量
95days(25%)flow
平水流量
185days(50%)flow
低水流量 8)
275days(75%)flow
船戸第二
Funatodaini
53.78 m3/s 30.92 m3/s 17.96 m3/s
船戸は此 処ら(貴志川との合流後)の様だ。

まあ五条辺りだと河川維持流量残して20m3/s位が順当って感じであろうか。

[仮称]五条発電所
出力:4,900kW[+4.9MW]
有効落差:30m
使用水量:20m3/s

発電量はこれでは大したことないなぁ。。
上流で降る雨をしっかり貯められるかどうかに掛かっていそう。。