電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
25.6.8御母衣 より分離

御母衣・六厩周辺の水力発電所開発妄想篇(→現況篇はこちら)

本頁の対象は御母衣ダム周辺である。御母衣ダム本体現況篇はこちら・下流はこちら参照

目次:尾上郷川・大黒谷川大白川御母衣第二発電所公文書館文書森茂川・六厩川(六厩川PS(案)[+6.8MW]森茂川PS(案)[+4.2MW])/御母衣ダム・御母衣発 電所/平瀬発電所・新平瀬PS(案)[+4.1MW]/荒谷発電所・鳩谷ダム

尾上郷も大白川も庄川右岸の高地からの水源であり,尾上郷発電と,御母衣第二発電所とわりときっちりと開発されたが,左岸は手つかずであった。
しかし左岸にも水源が無い訳では無い。但し右岸ほど標高が無い上に降水量もやや少なくて水力開発は遅れた様だ。
この辺も例によってよっきが山行がでレポしてるが,個人的にもかなり好きな回である。
昨今小水力促進の中で宗教団体が小水力発電を建設したりしたようだ(ヨッキが通過した当時は耕作だった のに)。

〜森茂川・六厩川〜        

廃道探索サイト『山行が』十和田八甲田山連絡道路(寸 又もそうだったけどなんで八甲田で変換出来ねえんだよ,ATOKは。)や塩那道路と並んでそのスケールに圧倒された印 象深い六 厩(むまい・むまや)攻略。
ヨッキは11年前(2020年に私はこれを書いている)の11月下旬に攻略している。
岩瀬秋町線 (御母衣湖右岸 道路)[山行が]2009.11.22
六厩川橋攻略作戦[山行が] 2009.11.24
当時,既に廃道化は進んでいて国土地理院には破線で描かれてた様だが,2020年の今,森茂も六厩も実 線[地理院]で描かれてる。。嘘だろ,おい。
まさかの復旧工事!?と思ったが少なくとも2018年の山レコでも酷い有様である。。

2018年07月15日(日) [日帰り]
六厩川橋まで廃林道歩き(1日目:森茂林道)[山レコ]


で,2020年にはすっかり利水マニアになっていた私は,ヨッキのレポを読み直してみると最早水源地帯としか見えずに垂涎しながら廃道風景を眺めてた訳だ が早速検討 してみる。

まず森 茂川870m(10m程嵩上げしたい)流域:

ヨッキが体験した崩れを思うに直ぐにこんなダム土砂で埋まってしまって貯留量という意味では大した意味を持たなくなってしまうかも知れないけど落差は消え ない。
これだけでは3.0MW程度と発電規模はちょいとパンチに欠ける。。更に六厩川からも取水(と)る。

軽い気持ちで始めたら存外に奥深い水域で吃驚。。
今 は新軽岡峠も旧道化しているR158の旧々道で 廃道のある軽 岡峠も東側は六厩流域だったのね。。これは上流でもう一回高低差付けて発電するレベル。
流域:45.4km2→水量:4.5m3/s

ただこれだと流域はそこそこ広くとれるがそれでも落差が足りぬ。導水距離を考えるともう一声欲しい。
途中の沢も計算に入れ,一寸手前のEL.844m付 近の狭窄部に堰堤建設してみる。


イメージとしてはこんな感じである。


[私案(A案)]六厩川発電所
出力:8,400kW[+8.4MW]
水量:9.0m3/s[1.06]
落差:110m
流域:54.3+30.2=84.5km2
導水:3.8km+3.1km(松茂支水路)=6.9km
取水:[←松 茂川]・大 原谷・六厩川[堰 堤844m] 870m
放水:庄川[御母衣ダム(六厩橋)]755m

なんとか基準をクリア♪

と此処で,衝撃の事実が!
その後この集落跡の土地所有権は転々としたが、今は高山に本山を置く 宗教団体「崇教○光」の所有になっており、その団体がこの土地を流れる川で水力発電の工事をはじめている。[隠居]

水力発電だと!?ヨッキが通った時も何か宗 教団体が畑を耕作してたけど,耕作から小水力へとランクアップしたらしい。

小水力発電所完成式
2019年06月03日
本日午前、清見町森茂に建設中であった「崇教 真光 第1小水力発電所」が完成し、完成式典が挙行されました。
森茂地内には、2ヶ所の小水発電所が建設されており、第2発電所は、 平成26年に運転開始しています。
既に完成し稼働している第2発電所と合わせて約670キロワット(約 500世帯分の電気使用量にあたる)の発電が可能となりました。
>[国島高山市長ブログ]

どうやら先行運開した第2小水力発電所はより上流の様だ。[OUTDOOR番外地
ということで第一の位置が我がとは計画と干渉しないかが気になるがこの画像を 見る限りはっきりとは解らないけどどうやら大丈夫らしい。ヨッキが8:48に越えた三の谷林道 分岐であるが,今は本線川は軽くロープで止められてるらしく(この頁の真ん中辺),森茂 集落跡の方へ誘導されるがそっち側に発電所はある様だ。我々の発電所計画とは直接バッティングはしなさそうで一安心。

発電所名
出 力
水量
落差
その他
崇教真光第一小水力発電所[場 所][ 670kW
472.1kW
1.13m3/s?
49.94m?[kissf5]
2019.6運開・森茂川支流三ノ谷?
崇教真光第二小水力発電所[場 所][ 199.5kW[kissf5]
0.39m3/s?
60.10m?[kissf5] 2014.10運開・森茂川支流?

先ずは真光がやってる水発と無関係且つ割と上流広めの六厩川上流を最初に開発構想してみる。
960m付近で取水して一気に御母衣ダムへ流し込んでみる。
導水距離は6km程。割と近くて効率的である。また200m・20km2の開発目安にギリギリでこれより上はあんま可能性無さそう。

こいつもちょいパンチが足りぬ。導水6kmで出力7.6MW程度。
2.3km延ばして三 谷川からも取ってみる。37.6km2。出力は5.0m3/s程度か。

こちらは却って効率が悪くなる。

[私案(B案)]六厩川発電所      
出力:7,600kW[+7.6MW]〜8,400kW
取水:4.5m3/s(〜5.0m3/s)
落差:200m
導水:6.0km(+2.3km)
流域:30.3km2
取水:大 蓑谷小 蓑谷六 厩川支 流960m
放水:庄川[御母衣ダム]755m



ワサビ谷には林鉄がはしってたようだ[→崖っぷち
また六厩林道は大原谷分岐を越えると廃道化との記述もあった。
>林道は六厩川に沿って延びている。ちなみにこの林道は途中で 大原谷林道との分岐を越えると廃道化していく。(2021年6月現在で崩落やがけ崩れが何カ所も起こっており私はそこで撤退した)そしてその先にあるのが 例の ”六厩川橋” である。






その侭だと導水距離が長くて無理そうである。
もしやるとしたら大原谷出合(→こ の辺EL.815m)だとちょいデカくなるのでこ の辺(EL.836m)の狭窄部にダムで満水位を上げて更に貯水量で水量もアップとかかな。一応強気で大原谷出合にダムで検討。

取り合えず壮絶な廃道地帯のここに六厩橋発電所と大原谷ダムの建設方法を考えて見る。(林道の復活など迄検討するのは寸又以来であるw)

森茂川取水口
ヨッキのレポだと此処の9:55付 近。此処迄は道は通じているので工事は可能である。
六厩川取水口
下の地図は御母衣ダム湖畔(=秘境)が上方向,下方向がR158沿いの六厩聚落(=現実世界)である
ヨッキのレポだと 真っ暗な中を六厩(現実世界)に戻るべく急いぐ中, 恰度20:43に渡ってる橋の辺りが取水口想定地点となる(ワサビ谷との分岐地点)。
少なくとも当時は現役だし,今もゲート迄は一般車も這入れる様なのでこの区間位の整備は楽ちんであろう。その先も大原谷林道を使って沢の取水口建設へのア クセ スルートにしていく感じか。
六厩橋に向かっての道はダム建設後沈んでしまう。六厩橋端に造るで在ろう発電所には水没している秋町隧道経由(庄川林道)がルート(ヨッキ:六厩橋→秋町隧道)となる かな。


発電所本体[こ の辺
さてこれへはどれから取り付くべきか。。勿論この発電所の想定地点,六厩川橋へは3ルートから道が通じていた。

六厩川橋─5.448km─六厩林道轍復活地点
六厩川橋─5.332km─森茂林道廃道化地点
六厩川橋─5.021km─御母衣湖右岸林道廃道化地点

印象だと岩瀬秋町線(御母衣湖右岸道路。庄川林道)が一番マシっぽかった(トンネルまでは割りとあっさり到達?)けどこうみると何処も5km以上で大差な いなw
で,印象通り秋町線が一番近くはある。
ただ秋町線はトンネルをもう一度直さないとあかんし。森茂の破潰ぶりは酷かったけど詳細なレポを残して貴重なヨッキも六厩川を通った時は真っ暗でよく解ら な い。森茂ほど酷くない?
いっそ此処は湖上からア プローチして建設とかどうだろう!?そんな船浮かべる手間考えたら道路造った方が安上がりかな?

ここまでして7.5MWである。寸又開発に血道を上げた私でも一寸ないかなぁと思ったりもする。

松茂側だけだと30km2程で,3.0m3/sで落差:110mだと2,800kWである。ちょい引き合わぬ。真光教の方々に第三,第四と小水力開発して て貰うのが良いのかな?六厩川・松茂川方面は上で検討したこちらの1箇所で 我慢すべきか。


御母衣ダム[wiki] [便覧][世 銀][→現況篇]   
電源開発(株)
目的:発電
堤高/堤頂長:131m/405m
流域面積/湛水面積     442.8km2 ( 直接:395.7km2 間接:47.1km2 ) /880ha
総貯水容量/有効貯水容量     3億7,000万m3/3億3,000万m3
着手/竣工     1957/1961

御母衣発電所[水力][→現況篇]     
電源開発(株)
運開:1961.1(160MW)・同5(215MW)
ダム水路式・貯水池式
認可最大出力:215,000kW 常時:49,500kW    平均年間発生電力量:約5億2千万kWh)
最大使用水量:130m3/s    常時:38.49m3/s
    最大出力時有効落差:192.10m    常時出力時有効落差:138.2 m
放水路:口径7.20m、延長8939.8m
流域面積:442.8km2
取水:庄川[御母衣ダム]760.00m
放水:庄川[鳩谷ダム]548.59m

湖面



関西電力(株) 平瀬発電所[水力]      
運開:1926(T15).11.26[大白川電力(株)]
水路式・流込式
    認可最大出力:11,000kW 常時出力:1,100kW[10%]
    最大使用水量:6.96m3/s (250立方尺) [2.14]
    有効落差:201.21m
    水車:横軸フランシス水車×3台 総出力13410kW
    導水路:総延長3855.8m
    放水路:総延長315.8m
    流域面積:77.1km2(上流の御母衣第二PS集水域44.7km2を含む・除くと32.4km2となる。ガッチリ水を取られる大白川ダム・白水ダムよ り上流を除くと45.2km2程度っぽい)
    取水:大白川826.00m
    放水:庄川EL599.1m(一 部は放水路途中から白川村小水力発電所へ)608.33m→平瀬PS放水位が608mで鳩谷ダム満水位が550.00mなので頑張ればもう一寸有効落差取 れそう。

戦前完成の中では庄川水系最奥部の平瀬発電所。250立尺の水で有効落差664尺使って1,100万瓦を叩き出す。考えて見ると尺貫法はメートル法に変 わったけどワット(瓦)という単位は戦前から変わって無いんだな〜。
御母衣が電発謹製なのに対して,ここからは関電のテリトリー。

山から落とした水はEL.608.33m程。なお鳩谷ダムの満水位550.00m迄 60m近い落差が存在する。
放水路の様子。

聚落内の国道の旧道と思しき道路に架かるこの橋も放水路橋と云う名であった。向こう側の古いアパートは旧社宅か?

画面背面にはなにやら中電の事務所もあった。


平瀬発電所放流水の約7m3/sの内の一部,2.3m3/sが小水力発電に利用されている。現地でどこにあるかよく解らなかった。

白川村 白川村小水力発電所「しらみずのチカラ」[水力] [岐 阜県クリーンエネルギー相談センター][ひろし
    平成17(2005)年7月1日:運用開始
水路式・流込式
    認可最大出力:150kW →温泉施設「しらみずの湯」へ供給
稼働率:80〜90%(83%・H18年度)
    最大使用水量:2.30立方メートル毎秒
    有効落差:8m
    水車:横軸マイクロチューブラ水車×1台
    取水:平瀬発電所
    放水:庄川


【平瀬 付近開発】    

2.3m3/sの水を小水力に取られてしまってるけど一旦仕切り直ししてこの平瀬発電所から放水される約7m3/s・ EL.606mと御母衣ダム以下 EL.606m以上で取水出来る水で電力開発を試みる。
小水力へは湯 谷川からの導水等で補填。御母衣ダムから鳩谷ダムの間の未利用水源が利用出来て5.0MW程の発電が期待出来そう。荒谷付近の右岸の寄り高度な流域からの発電も考えてはゐるのでそことはバッ ティングしそう だけど

取水域は39.5km2程になるので4m3/s超,平瀬PS放流水も6m3/s程ぐらい見込んで結局10m3/s程度は見込めるかな〜。


[私案]庄川第一発電所or保木脇発電所(1号機・低落差側)     
出力:4,200kW[+4.2MW]
水量:10m3/s
落差:50m
流域:一次:39.5km2
取水:庄川(大白川・金谷)・なお谷(野々俣谷)・平瀬発電所(6.96m3/s)・他 605m
放水:庄川[鳩谷ダム]550m

さて,荒谷Pは左岸水源の発電所である。上の計画に併せて同じく右岸でも考えられそうではある。ただこちらは面積が狭いか。。


[私案]庄川第一発電所or保木脇発電所(2号機・高落差側)
出力:5,800kW[+5.8MW]〜8,600kW[+8.6MW]
水量:2.0m3/s[1.69]〜3.0m3/s[2.54]
落差:340m
流域:11.8km2
導水:5.9km[0.98〜1.45]
取水:なお谷・支流・野々俣谷 895m
放水:庄川[鳩谷ダム]550m

水量面積比が1.7だとギリギリ距離が足りない上に低落差側とは流域が被 るが低落差側にとっては影響は軽微ではありそうだ。近所で比較的近年開発の荒谷PSの水量面積比2.79を参考に強気で3.0m3/s 取ってみると内部基準(w)はクリア♪

更には低落差側は新鳩谷建設の一環で御母衣からの補給を得た庄川発電所(案)と して計画 規模をマシマシした所♪
その庄川発電所を前提とすると無理に水量マシマシして長距離導水して発電する程のこともなさそう。寧ろ大牧発電所に導水する導水路に向けた方が良さそう。
ということで野々俣発電所として再編。


[私案]野々俣発電所
出力:4,800kW〜7,200kW[+7.2MW]
水量:2.0m3/s[1.69]〜3.0m3/s[2.54]
落差:282m
流域:11.8km2
導水:3.5km[1.37〜2.06]
取水:なお谷・支流・野々俣谷 895m
放水:野々俣谷[大牧発電所(案)]608m

こっちだと導水面積比は改善する。発電所を一箇所に纏めた方が減らせる固定費用はありそうだが,それと別々に作る事のプラマイ計算かな。。

計画が立ち消えになってしまった新鳩谷発電所の再計画と併せて再検討(→新鳩谷開 発)


〜荒谷川〜





御母衣ダム放水口[場 所

鳩谷ダム