電 力総研 水 力あれこれ 千代川
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.10.02運開

八東川の発電所(20.10.03)(22.2.5)(23.1.29)

(千代川合流)[河原市街]──[郡家市街]──[丹比市街](細見川)──(来見野川[])─[若桜市街]─(舂米川)─[舂米発電所(←舂米川:[茗 荷谷ダム])]──(吉川川)──(加地川)───(▲戸倉峠)

八東川は千代川 の支流の中でも一番開発が進んでいて(→水力.comさんの図を参照されたし),なかなか隙無く建設されてる上に,結構水量が少ない。。新規開発 に制約が掛かってしまいそうではある

おまけ 旧戸倉隧道の鳥取側
いきなりで失敬であるが,旧戸倉隧道の鳥取側である。兵庫側はこちら
八東川流域の最奥部に存在する。明治時代に山県有朋が姫路~鳥取の最短ルートとして無理矢理に開削したのが縁で今でも旧一級国道の証しである二桁国道の R29が今も通過している。
最もメインの交通路は江戸期以来の交通路である智頭急行や鳥取道の通る志度坂越えに回帰して,こちらはがらんとしてゐる。
その有朋のごり押しで"樵夫しか通わぬ国道"(出典:『廃道本』・とは総研は三 浦某や松本某をCMに起用して詭弁を弄して日本に税 金を納めようとしないアマゾンに徹底的に敵対して行くので非アマゾンからの購入を推奨)とされた明治期の国道もこの旧隧道の上を通っており,更には 戦時中に着工されるも未成の侭,抛棄された軍用隧道の跡もあるらしい。何時の日か探索してみたい。
20.10
横には旧戸倉トンネルの管理棟みたいなのもあるが,窓硝子は割れ肝試しに最適っぽいが勿論,良い子も田舎のヤンキーどもも不法侵入はしないと云うのがとは おじさんとの約束だよ!

西側に開けた明るい地形と云う事もあって廃管理棟があっても全然怖さみたいなものは感じない。現役扱いの旧天辻隧道とか戸倉兵庫側の恐怖感は湿気や日影の 影響も強い事が示唆される。
また醸造施設かなんかに転用されたそうで,一寸入口の封鎖がシャッター付きのものに更新されている。

閑話休題(それはさておき),早速取水口探しである。八東川周辺にはそれなりに水発が集積していて特に取水口が沢 山あってごちゃごちゃするので先ずは下図 で整理。


落 折川(八東川)
国道の傍にでんと在る。高速で坂を駆け下りていくと見逃してしまう。ロックシェッドを抜けた地点には要注意である。
最大取水量は1.209m3/sである様だ。ここで取水された水は舂米発電所(の上部水槽)に送られる。八東川と明記されているので,国土地理院図には落 折川(R29沿いの取水堰より上流に落折という聚落がある)と明記されているが法律上はこちらが八東川の本流とされているようである。
20.10




ハ サリ(羽佐利)
さて先程の落折取水口の直ぐ下の橋を絡めた急カーブに取り付く林道がある。
その荒れた林道を上がっていくと程なく美しいすだれの様な砂防ダムチックな堰堤が現れてよく見ると川原には取水溝が走っている。

その辺をうろうろしてみたが利水標識は見当たらなかった。。余水吐?の様子。余水吐は湿ってはいるものギリギリで溢れて無く,割りと規定量満量取水出来て る様であった。

土石流危険渓流らしい。また漢字表記も判明した。羽佐利川と書くらしい。京都の佐々里を思い出すが,何か「はさり」に謂われはあるのかな。。




久 曽木谷川

設備の更新か災害復旧かで真新しくなってたけどここも利水標が見当たらなかった。省令なんかで掲げよってなっとんちゃうん??

水量を自動で調整する設備

因みに堰堤そのものは古くて苔むしている。

地下水路に呑み込まれる前にも切り欠けがあってそこでも余水吐をするようだ。




~カジナミ川~



~大瀬谷川~





~加地川~

上流に孤立して発電所がある。一寸新しめの96年運開。どういう経緯があったのであろうか?

加地発電所[水 力
鳥取県企業局
運開:1996.8
水路式・流込式
認可最大出力:1,100kW   常時出力:92kW(8.4%)
最大使用水量:0.55m3/s (0.79)
有効落差:242.10m
導水路:総延長2154.3m
流域面積:6.9km2→小さっ!
取水:加地川(711.10m・こ の辺か?)
放水:加 地川(457.10m)

~若浪川~

入口からして獣の進入防止扉で閉じられてるようだw[ス トビュウ]まあこの手の扉は開いて入ってその後閉じておけば出入り自由なことも多いが,ここはどうなんだろうか!?


~吉川川~

岩屋堂付近から奥は八東川は名称が不確かになる。本流格はR29が辿る折 落川(地理院)と思われるが,全部纏めて加 地川[G]と書かれてたりする。。
それらに対して吉川川はR29から離れて行き,r72若桜下三河線が随伴する。どん詰まりは江浪峠であり,その向こうは岡山県との県境付近の兵庫県,千種 川源流となる。r72は兵庫県道となって千種町を経由して佐用へ下っていく。残念ながら県境付近は分断未通となっている。
兵庫県側のr72は手許のマップルでも地理院でも岡山県境の峰 越峠で県道指定が終わっている様に描かれており,ストビュウに拠ればr73の早 期開通の看板が立っている様だ。国道にでもならない限り開通は絶望的だしそれで良いと思うし,なんなら国道に指定されると開通させられてしまう風 潮もいい加減にして欲しい。人口減少社会,こんな道路は不要であり,水力発電の開発と絡めるとか風力発電の開発と絡めない限り予算を付けるべきではないだ ろう。日本は最早貧しい国なのだ。散々過疎地へ道路つけても過疎が解消した事例など殆どないであろう。

いずれにしても鳥取県側は大通峠[地 理院] 経由で兵庫県側に通り抜けられるようだ。兵庫県側は岡山県に入った若杉峠の峠下迄[地 理院] 行けるようだ。地理院は鳥取側からは徒 歩道の破線で県道そのものは江浪峠迄続いていて途切れている。

また吉川の聚落はそ こそこデカそうで,R29がこっちを経由したりする世界線もあり得たのかも知れない。


~根安川~

ス トビュウこ こら迄入っている。地 理院だと川が途切れた辺りに水管で渡ってる感じであるが,Gmapだ と川が一寸折れ真北から流れ出てる感じに描かれている。水路が描かれてることもある川の名前を調べる地図もこ こはあっさりである。



~舂米川~
下で見る様に舂米発電所の最大使用水量は4.00m3/sであるが,その全量はこの茗荷谷ダムか ら供給可能。
我々は戸倉から降りてきたし八東川の流域なので落折川・ハソリ沢以下で連続する八東川の支流の沢どもからの流れが八東川沿いにある舂米発電所の本流みたい に思って居たし,この頁の初稿を書いた時(20.12)は未だダムがメインで途中の沢は付け足しみたいなシステム(久々野・豊岡・水窪etc)をあんま見 知らなかった私は,舂米発電所のメインは途中の沢ども多数からこまめに取水する八東川沿いのルートである位に思ってたけど,舂米川から取水するこの茗荷谷 ダムから舂米発電所がメインのルートの様だ。以下で水の運用を検討。

今(22.2)では,本流筋は水量もメインなだけに兎角何万年の間に削られて標高が低いので八東川沿いは渓流沿いに取水し,支流ながら大きめの茗荷谷は中 流にどかんと貯水池を建設したんだな位迄には設計者の気持ちを読み取る事はできるようになった。

茗荷谷(みょうがだに)ダム[場 所]
堤高:40m
総貯水容量:61.2万m3    有効貯水容量:40.0万m3(貯留量400,025m3)
流域面積:50.4 km2(  直接:17.4km2 ・ 間接:33km2)→?
湛水面積: 5ha 満水位:EL.474m (地理院)
着手/竣工:1958/1960
送水:舂米発電所(4.00m3/s)
着手/竣工:1958/1960

突然東京都心部に迷い込んだかのような名前のダム。こちらは閑かな谷間にある…と云いたい所だが,近年は分断国道だった癖に高架道路のバイパスが湖畔でそ の存在を主張しては居る。
20.10
堰堤裏側

湖畔を通ってたしょぼい国道はめっちゃええバイパスを湖上を跨ぐ位置に建設してしまった(こんなの↓)ので,これを前向きに捉えるなら旧道の水没を心配す る事無く,ダム を嵩上げして貯水量増やして行ける様になったし行くしか無い。


導水の可能性としては一筋北側の宮の谷川くらいか。4.2km2程。その脇の支流も併せ て5.8km2程度である。導水距離は1.2km程度と近傍なのでコスト的な問題はないだろう。

水 力.comさんに拠ると
>茗荷谷ダム右岸天端脇から、堤体上流側及び宮の谷川注水路の流れ込みです。もしかしたら、宮の谷川の隣に在る沢からも渓流取水を行っているかも知 れません。
とのこと。既に実現しているのかも!?

先程の堰堤裏側写真をよく見ると。。

ただの沢水の流れ込みにも見える(笑)
ス トビュウだとこれ。さあこれはなんだ!?




舂米(つくよね)発電所[水 力][DB
鳥取県企業局
運開:1960.12
ダム水路式・貯水池式
認可最大出力:7900kW      常時出力: 800kW
最大使用水量:4.00m3/s
有効落差:242.16m
導水路:総延長13600.6m
    取水位標高:481.30m
    放水位標高:228.43m
  流域面積:50.6km2
河川
    取水:(取水位:481.30m)
  舂米川導水路:宮の谷川(こ の辺?)→舂米川[茗荷谷ダム](477m[地図読みで])(4.00m3/s)発 電所
  八東川導水路:ハサリ川落折川(1.209m3/s)久曽木谷川カ ジナミ川大 瀬谷川若 浪川根 安川→発電所
    放水:発電所→八東川(228.43m)

舂米PSの最大使用量は4.00m3/sだと!?
茗荷谷ダムの最大使用水量が4.00m3/sなんだけど。。
他の沢からの取水が出来てる時はその分だけダム湖の使用を止めとく運用スタイル??

実際に見たハサリ川・落折川・久曽木谷川のどの沢も潤沢に取水出来てたしもっとアグレッシブに行ってもいいのではないか?
但し落折川の取水口には利水標があったけどハサリ川にも久曽木谷にも見当たらなかった。天ノ川辺りには完備されてたのに。。
因みに戸倉峠の向こう側の音水川に も見当たらなかった。

と思ってよく見ると流域面積舂米茗荷谷が可怪しい。0.2km2程ずれてるのは(DBの誤記かなんかであるとして)無 視するとして,茗荷谷の間接流域が33km2もあるというがそんなのダム周りには見当たらない。精々北側の 谷から取水する程度である。

で,この33km2であるが,どうも八東川導水路の面積では無いだろうか?直接流域の17.4km2ってのは舂米川の上流部がだいたいそんな位に見える。
となると疑問が生じて,可能性としては
①茗荷谷ダムには流れ込まない八東川流域の舂米発電所の流域をダ ム便覧が誤ってダムの間接流域に算入
②じつは八東川流域の取水は茗荷谷ダムに一旦送られるor茗荷谷 ダムから発電所への送水管は茗荷谷ダムへの送水も出来るように設計されている
のどちらかではないだろうか??

経験則から流域面積50km2で使用水量4.0m3/sは妥当である。②だったら結 構アツいけど,,八東川流域の取水堰の標高が妙に高 いのも気になるポイントになるかもしれない。降雨時且つ電気需要の閑散期は八東川流域から茗荷谷ダムへ流して,渇水期の尖頭期にはダムから 発電所に4m3/s流す運用なのかも。(もしかしたら八東川諸集水口から併せて4m3/s以上取水出来て発電しつつ茗荷谷ダムに貯める等の妙技(w)も可 能な仕組みに成ってたりするかも!?逆流は十和田湖なんかで実装さ れている。)

2020年9月よりM&C鳥取水力発電(株)[当 社が三峰川電力株式会社、株式会社チュウブ、美保テクノス株式会社(以下、「3社」)と設立した特別目的会社「M&C鳥取水力発電株式会社」(以 下、「SPC」):] に運営が移管されたらしい。国内初、民間事業者がコンセッション方式によるPFI事業として公営水力発電所の再整備・運営事業を開始[] とのことで,公営電力が地方自治体の投資余力の無さで続々と民間に売却されていく中,鳥取県は所有権は手放さずに投資を民間に委託する方策を採ったらし い。手を挙げ落札したのは中電(静岡県民の俺としては当然中電=中部電力である)と三峰川電力@丸紅を主体とする企業連合である。


鳥取県営舂米水力発電所の運営を開始~国内初、民間事業者がコンセッション方式によるPFI事業として公営水力発電所の再整備・運営事業を開始~
https://www.chuden.co.jp/publicity/press/1201896_3273.html
2020年08月27日
中部電力株式会社

当社が三峰川電力株式会社、株式会社チュウブ、美保テクノス株式会社(以下、「3社」)と設立した特別目的会社「M&C鳥取水力発電株式会社」 (以下、「SPC」)は、2020年9月1日から、鳥取県が所有する舂米水力発電所の運営を開始します。

鳥取県は、2019年3月に、運転開始後50年以上経過した県営4水力発電所の再整備および再整備後の発電所に運営権を設定して20年間運営を行う再整 備・運営等事業(以下、「本事業」)を募集しました。当社は、本事業に3社とコンソーシアムを形成して応募し、2020年3月に優先交渉権を得ました。

その後、2020年5月にSPCを設立し、2020年7月にSPCが鳥取県と特定事業契約を締結しました。本事業は、水力発電施設のコンセッション方式 (注1)によるPFI事業(注2)として国内初の事例となります。

SPCは、4水力発電所のうち、既に鳥取県にて再整備が完了し現在運転 中の舂米水力発電所について、2020年9月1日から運営を開始するとともに、その他3発電所は2021年度から再整備を実施し、再整備完了後順次運営を 開始します。

当社は、中部地方において197ヶ所(2020年7月末時点)の水力発電所と38基のダムを保有しており、長きに亘り安全な運用を続けるとともに、数多く の水力発電所の再整備等の実績があります。これらの知見を活かし、SPCによる安全な再整備・運営事業の実施に貢献してまいります。

(注1)施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式

(注2)民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法

【鳥取県営4水力発電所の概要】

発 電所名

所 在地

運 転開始時期

発 電出力

再 整備開始時期
(予定)

運 営開始時期
(予定)

舂米

八頭郡若桜町内

1960年12月

7,890kW

鳥取県にて実施済

2020年9月

小鹿第一

東伯郡三朝町内

1957年10月

3,690kW

2021年

2024年

小鹿第二

東伯郡三朝町内

1958年4月

4,990kW

2021年

2023年

日野川第一

日野郡日野町内

1968年1月

4,300kW

2022年

2024年


【特別目的会社の概要】

商号

M&C鳥取水力発電株式会社

出資者(出資比率)

中部電力株式会社(47.2%)、
三峰川電力株式会社(丸紅株式会社100%子会社)(47.2%)、
株式会社チュウブ(2.8%)、美保テクノス株式会社(2.8%)

所在地

鳥取県東伯郡琴浦町逢束1061番地6

設立

2020年5月15日

代表者

代表取締役 伊藤 直樹






謎は残るがMC鳥取水力の運営が軌道に乗った時に詳細なシステム図を載っけてくれることに期待。というか発電所にもっと近づいて看板等を探すのが先か?

いずれにせよ未だ遠望しかしてないのも事実である。

ではその遠望からの有効落差228.43mの勇姿をごらんあれ♪
20.10
国道から遠くにあるし毎度遠景から度肝を抜かれるこの水圧鉄管の直滑降の眺めで良しとしてしまうが放流口は一寸下の方にあって距離を稼いで居るようだ。建 屋ともどもじっくり観察に行かねばならない。

息子が(雪の)戸倉峠を気に入ってしまいなんども通りながらまだ放水点には行けてないが,建屋は23.1に接近してみてきた。
すぐ前まで除雪はされてるが構内は雪に埋もれていた。何かあった際にはここまでクルマで駆けつけて後は必要な所だけ雪掻きして作業するって感じなのかな。
23.1


(舂 米川・八東川合流点・舂米発電所放流口・230m)

水はこの後,若桜町の中心市街地を流れて町外れで八東発電所に取水される。

(若桜市街)

そしてその若桜の街外れというか真ん中付近というかで来見野川と八東川が合流する。


~来見野川~

23.1末。すっかり戸倉峠が気に入った息子のリクエストで何回目かの戸倉越え。勿論それだけで終われる訳も無く,今回も雪中発電所巡りを組み込み決行。
前回22.2上旬に引き続いての真っ白な風景であった。来見野川へはr103若桜湯村温泉線が同伴して遡る。湯村温泉とは扇ノ山を跨いだ向こう側,兵庫県 側である。
地味に越県県道ではあるが例に漏れず分断県道である。入口付近には諸鹿口というバス停があった。二回目23.1に来た時はこの入口付近の除雪で出来た雪山 で子供らが橇遊びをしていた。



赤松橋を渡るとすぐに聚落。ぽつぽつとある家の切れ目の向こう側に発電所がみえた。

中国電力(株)  来見野発電所(赤松発電所)[中電] [水 力]   
発電所位置     八頭郡 若桜町
水系河川名     千代川水系来見野川・細見川
発電開始     昭和10年9月(1935)
形式     水路式・流込式
認可最大出力:3,000kW   常時出力: 240kW[8%] ←常時少ない。。
使用水量     2.78m3/s(来見野川・細見川)[0.695]
落差     131.82m
導水路:総延長4642.7m、主要導水路 幅1.40m×高1.78m、延長4580.9m 
流域面積:40.01km2
取水:来見野川[来見野川取水ダム](354.10m)、 細見川(丹比PS直下)[352m]
放水:来見野川(207.71m)


来見野発電所(赤松発電所と2007年版『県別マップル鳥取県』には記載されている(多分地元での通称・米川発電所にも立地名の黒見発電所,神通川の大久保発電所にも同じく塩の発電所とかちょくちょくあ る。此処は米川発電所とちがって一応来見野川沿いだけど地名としては赤松)ので冒頭の地図にはそう書き込んでしまった。。)

22.2に来た際には雪深いので発電所だけ遠くから眺めて帰って来た。
次は取水ダム迄と更に下流の細見川上流迄貪欲に取水の手を伸ばす来見野川発電所の全貌を貪欲に調べに行き たい。と思ってたが次ぎに来訪した23.1には発電所すら気付かずに通り過ぎてしまった。
この日は日帰りで千代川の発電所をなるべく罔羅的に,でも軽く,見るぞと思っており先を急いでしまった。
22.2
なんかの絵の様に撮れたのではないかと思ってるけど現地では気付かなかったけど左端にもなにか鉄管らしきものが見える。余水吐でもあるのかもしれない。

引退間際の愛車初代FIT。左だったかのステアリングは荷重がかかるとバギバゴ変な音がするし,この一寸後からABSの警告灯が点きっぱなしになってし まった。
よく走る良いクルマだったけど流石に1月に購入を決断して6月予定で納車待ちであった(実際は4月に来た。)
22.2

この発電所のある辺りは赤松と云うらしい。
22.2は折り返した雪の道を23.1は登っていく。赤松の聚落を抜けると人家はなくなり森になり,暫く行くと来見野(くるみの)。更に人家が途切れて進 んでいくと取水堰があった。

来見野発電所来見野川取水堰(仮称)
23.1
雪で閉ざされた向こうに標識が見えるので雪を掻き分けて接近す♪

そしてこの日最大の収穫!それぞれの川に最大取水量が設定されていて両者 の合計量が発電量の最大使用水量となっているようだ。

用瀬発電所取 水堰でも見かけたような説明板があった。

維持流量に関しては以下の様に書かれていた:
期間 維持流量
基準水位
4月10日~9月15日 0.12m3/s
2.10m
9月16日~5月9日
0.05m3/s
2.04m

この取水堰の一寸奥に県道の入口に諸鹿口とあった諸鹿の聚落があるようで,県道も除雪されてたが引き返してきた。この先で未成区間となるが,その手前,諸 鹿の聚落の直後からス トビュウだと災害通行止めになっているようだ。

此処での取水量は2.224m3/s,調べて見ると流域面積は24.0km2とまあまあの取水量である。



さて八東川の河下りに戻る。

(八頭川・来見野川合流)

[八東発電所取水口](193m)が ある筈である。

国道沿いからそれらしい堰が見えた。
22.2
と思うんだけど。。
雪に埋もれて発電所を示すようなものは何もなかった。
脇にある建屋の様子。国交省若桜無線中継所とある…?

帰宅後というか1年後,もう一度通りがかった後の帰宅後。調べて見たら,私が見たのはこれ(地 理院) で,取水堰はこちら(地 理院) であった…orz。再訪しなくては。。(1年後の再訪時には未だ気付かず。)




~細見川~

丹比から北上して岩美へ向かうr37岩美八東線であるが,道は南北方向であるが,川は東西方向に流れるので,川に从(したが)って遡上していくが或程度進 むと川と離別し何度も峠を越えていく。
このr37が丹比の聚落でR28から岐(わか)れて先ず遡る(正確には八東ではなく岩美が起点のようだが)のが細見川である。その細見川の上流には丹比発 電所がありその放流水は一筋上流の来見野川の水と一緒に来見野発電所に送られて発電に使われる。
その丹比発電所と来見野発電所の細野川取水堰であるが,山越えする県道(主要地方道であるr37)から分岐して川沿いに直進した場所にあり,そのまま扇之 山林道を経て扇之山方面へ通じている。林道なので通じてないかも知れないけど,その向こう側には岸田川発電所なんかもある。それて山を下ると再びr37と 合流して姫路という聚落にも通じているようだ。R28で姫路から来るだけに,姫路の看板を見るとなんでこっちが姫路やねんと思うが,そういう地名のようで ある。本家の播州姫路と関係があるのかどうなのかは不明。
いずれにしても色々(地域的にも歴史的にも)奥深そうな場所である。

23.1末に戸倉を攻めた後に来見野川を遡上して取水堰迄取り付いた我々は勇躍次の目的地として丹比発電所を選んだのだが,残念ながら冬期通行止めで進入 は雪に阻まれることと相成った。
23.1[場 所

あと8.5km進めばふる里の森なるものがあるらしい(キャンプ場の ようだ)が,発電所はそんなに奥では無い。冬期は取水・発電しないのか,異常時には歩いて向かうのか。その辺が知りたい所である。
雪のない時期の再訪を誓って,急遽計画を変更,r37沿いに袋川方面を目指すことにした。袋川には新しいダムと発電所,支流の上地川には発電所があるので ある。

来見野発電所取水堰
取水量:0.556m3/s

丹比発電所[水 力]
八東町電化農業協同組合
運開:1958.8
水路式・流込式
認可最大出力:175kW
最大使用水量:0.25m3/s[0.22]
有効落差:95.10m
流域面積:11.40km2
取水:細見川(464m)
放水:細見川(来見野川取水口直上・365m)


丹比発電所取水堰




(細見川・八東川合流)

八東発 電所[水力]
中国電力株式会社
所在地:鳥取県八頭郡八頭町日田
運開:1930.11[山陽水力電氣株式会社?]
水路式・流込式
認可最大出力:2,700kW 常時出力:500kW[18.5%]
最大使用水量:6.02m3/s[0.28]
有効落差:55.02m
流域面積:215.00km2
取水:八東川194.22m
放水:八東川134.11m

発電所建屋。水が駆け下りる山と放流される川の間の道路より。
22.2
水圧鉄管。そこそこ太い♪ 水量は6.0m3/sと流域面積215km2に比べて物足りないのだけど。。


(八東発電所放水口134.11m・竹市発電所取水口135.00m・136m)   橋の上から
22.2
近づいてみる。八東発電所と放水口。

基本的にはそのまま対岸の竹市発電所の取水口から取水されると思うのだが,堰の下側にも放水口があるようだ(→と思ったら魚 道らしい。)。

また折角,八東PSの為に沈砂した水を川の水と混ぜるのはアホらしいので更に蓋渠でもあるのかも知れない(→そ れらしいものはあんま見えないけど。。)。


竹市発電所[水 力]
中国電力(株)
運開:1957.5
水路式流込み式
認可最大出力:5,500kW    常時出力:660kW[12%]
最大使用水量:12.00m3/s (50.4%)
有効落差:56.00m
流域面積:238.0km2
取水:八東川135.00m[八東発電所]
放水:八東川71.16m



(大江川合流)
[船岡市街]

~私都川~

私都(きさいち)川発電所[鳥 取県
最大出力 152kW
発電所型式 水路式
水車型式 フランシス水車横軸単輪単流渦巻型
発電開始年月日 2018(H30)年12月2日
河川名 私都川
位置 八頭郡八頭町明辺 [地 理院


[郡家市街]

(私都川合流・EL=27m)

(千代川合流・[出 合橋付近・EL=19m])

八東川の発電所群はこの竹市で終わり。
ただ敢えて造るなら竹市発電所の放水口(72m)でそのまま受水,なるべく下流で放水という事になるだろう。

12.1kmで千 代川14.5mで放水出来る。途中,私 都(きさいち・大阪には私市がある。私=「きさ」なのか?)で も取水出来る。

竹市の水量が上の水量に引きずられてやや低い。もっと大胆に取水出来そうである。例えば近隣の本流千代川の用瀬発電所簡易な取水堰で215.0km2に対して20m3/s取水出来て いる。流域取水比は93%にも上る。

おなじ比率を適応すると33m3/sは行ける。

[私案]鳥取南発電所
出力:14,300~27.000kW
水量:17.5~33.0m3/s
落差:54m
導水:12.1km
流域:330.5km2
取水:八東川[竹市発電所]・私都川72m
放水:千代川14m

ちょっと遠い。大江川をサイフォンその他で渡河する必要があるが河原で発電するプランが以下。私都川での取水が出来ないので285km2となる。 25m3/sは硬いのでは無いか?

[私案]河原発電所
出力:10,000kW
水量:17.5m3/s
落差:48m
導水:10.0km
流域:285.0km2
取水:八東川[竹市発電所]・私都川72m
放水:千代川20m

更には,ほぼ同じ放水量の用瀬発電所が千代川にある。追加で11.5kmの導水で更に佐 治川用 瀬発電所・千代川赤 波川大 江川・東大江川(仮称)・見 槻(みづき)川からも導水出来る。しめて178.4km2。これは千代川の項で 検討する。ここでは保留。。

3.上流部開発

さて,冒頭の地図でも見たように,5箇所程発電所があるのに丹比発電所と来見野発電所を除いて連檐していない。

舂米PS放流口EL228mで取水して,八東PS取水口EL195mで取水するとしても落差は30m程しか取れない。しかも八東PSの流域面積比の最大使 用水量指数は30%弱と可成り低め(それにも係わらず常時・最大比も20%弱と低めで水量の乏しさを示唆するのであるけど…)。
例えば今適当に舂米PS放水口で10~20m3/s取水するとして八東PS取水口で発電すると発電力は2,500~5,000kWである。20m3/s程 取水しないと話しにならない感じではある。調べて見ると舂米PS放水口地点での八東川の流 域面積は142km2ある。
15m3/s取水出来るとしても3,750kWか。もう少し欲しい。
この際,既設八東PSをスルーする形で舂米PS放水口 EL.228mで取水して八東PS放水口付近EL.134.11mで発電すれば良い。図にすると以下の様になる。

有効落差を85m程取れるとして15m3/sで発電すると10,800kW(10.8MW)級の発電所を建設出来そう♪
この場合,既設八東PSの取水域は215km2から142km2を引いた73km2となる。現行の使用水量6.02m3/sにピッタリの水量ではないか!
これはなかなかいい感じである。

[新設案]新八東発電所(若しくは八東発電所2号機)
水路式・流込式
最大出力:10,000kW[+10.0MW]
最大使用水量:15.0m3/s
有効落差:85m
取水:八東川228.43m[舂米PS連檐]
放水:八東川134.11m[八東PS付近・竹市PS連檐]

[既設の諸元変更]八東発電所(若しくは八東発電所1号機)
水路式・流込式
認可最大出力:2,700kW 常時出力:170kW[推 定・6.3%](500kW[18.5%]からは下がるであろう。。比率的には170kW程度?)
最大使用水量:6.02m3/s[0.82←0.28]
有効落差:55.02m
流域面積:73km2(直接)(←215.00km2)
取水:八東川194.22m
放水:八東川134.11m[竹市PS連檐]

新八東の15m3/sの内,4.0m3/s分,2.6MW分は茗荷谷Dからの調整力電源として使えるのも魅力であろう♪

出来れば八東川本流の岩屋辺りにもダムが欲しいかな~。岩谷堂辺りから上流は八東川は加治川となるらしい()