電 力総研 水 力あれこれ ( 犀 川・梓川 )
と はずがたりな掲示板 ( 利 水スレ電 力スレ )
20.11.17運開

高瀬川潅漑用水系統

信濃川改め千曲川から分岐する犀川であるが,その発電上,観光上最有力な支流と云えば矢張り梓川であるが,ここ高瀬川もなかなかのものである。概ね安曇野から信濃大町の大糸線南側って所であ る。
穂高川なんかと似ていて恐らく扇状地となって農業用水が発達している。
下のような利水中心の利水図を描いてみた(→高瀬川東電系統)もののこれでは全然理解 が不十分であったのである。

とはいえ,富山県の諸平野ほど扇状地内で水力発電が発達しているとは云えない長野県である。ここも2箇所程あるのみ。連檐して次々と発電して行くには勾配 も水量も足りない感じか。

今,長 野県の高瀬川沿岸用水についてと云う頁でやっと全貌が明らかになった。行政の仕事とは斯くありたいものである。本項の対象となる農業用水小水力発 電は大町新堰と,町川の二箇所である(後 述)。


安曇野方面はこちら[→穂高川]に纏めた。前川用水路(この辺では堰(せぎ)とは云わない ようだ)が流入する乳川から分流して新堰が繋がっている様だ。

和田川用水路に接続(一部給水?)する昭和電工常盤発電所は導水路がそのまま扇状地を横断して東側に移り,農具川用水と交錯(取水なのか給水なのか不明) した後に犀川にある広津発電所の方へ伸びていく。

~篭川~


[新設構想♪]篭川堰堤
篭川は余り利用されていない。
此処から大町ダムに取水して水量を増強したい。大町ダムの標高880m付 近で取水することを想定する[→大町ダム]。
4.0m3/s程度は取れるのでは無いか。[→以下で見る様に発電所を建設して発電兼ねて導水するので現実には20km2弱となる上に,新堰もある。それ 程取水は期待出来そうに無い。]




大町新堰
https://www.nag-doren.or.jp/canallist/canallist-1314/
寛保3年(1743)、江戸幕府による新田開発の奨励を受 け、当時の大町村、借馬村、森村、木崎村、野口村の間に広がる「五ヶ 村原」と呼ばれた、広大な原野や山林において新田開発が計画されました。しかし、新田に導水する水問題が起こりました。
鹿島川から取水すると下流の受益水田で用水が不足することが懸念さ れたのです。これが深刻化し計画が中止となりました。
寛政4年(1792)、松本藩の命により再度、新田開発が計画されました。 用水確保の方法は、隣の 籠川からの取水とし、導水のために山の鞍部を50m掘割るなどの大工事が行われました。大町新堰が順調に導水し始めると、多数の農民が入っ て新田開発が始まり、今ではこの地域の重要な米どころとなっています。
この堰の水を利用し100m余りの落差で最大出力1000kW、年間約610万kW時(一般家庭約1800世帯分の年間電力需要に相当)を発電する小水力 発電の計画が、東京電力により進められています。

東京電力 大町新堰(しんせぎ)発電所[→全体図]国 交省][日経
運開:2012年
出力;1,000kW
発電電力量:約6.1GWh/年
水量:
落差:約120m(総落差?) 100m余り(有効落差?)
取水:篭川[大町新堰]
放水:大町新堰



【篭川電源開発】
大町新堰の取水堰の取水位は約1010m程の様である。扇 沢篭 川辺り1350mから取水して発電すると300m以上取れそうである。
1380mで白沢含め取ると20.1km2程取れた。なかなか。
一旦1090mで発電して大町新堰分を放水しつつ,更に879mの大町ダム端で発電してみる。(七倉もあり得る扇沢辺りの標高だが遠いので大町にしてみ た。)


[私案]篭川第一発電所
出力:7,900kW[+7.9MW]
水量:3.2m3/s[1.59]
落差:290m
面積:20.15km2
導水:4.7km(本導水路:3.7km・白沢支水路1.0km)
取水:篭 川扇 沢白 沢 1385m
放水:篭 川(白沢出合)[取水堰堤・篭川第二発電所]1090m


[私案]篭川第二発電所
出力:9,000kW[+9.0MW](10.7MW)
水量:5.3m3/s(6.3m3/s←七倉発電所開発をしない場合)
落差:200m
面積:46.4km
取水:篭川[篭川第一発電所]・黒沢・黒沢支流・二ノ沢・北葛沢1090m
放水:高瀬川[高瀬ダム]879m

北葛沢で七倉発電所(案)[→東電系統]と篭川(白沢出合)で大町新堰発電所(既設)への水量を配慮・対処する。


~農具川~

大町市( 設置管理者)   町川発電所[長 野県①][長 野県②][大 町市
所在地     大町市社字閏田
設置     2010年(平成22年) 運転開始 平成22年4月
最大出力     140kW
有効落差     16.2m
流量     1.0~1.1m3/s
取水/放水     町川用水路(高瀬川沿岸用水・農業用水路)

実施事業     設計:中小水力開発促進指導事業
工事:地域新エネルギー等導入促進事業
使用目的(電力供給先)     自家消費(大町市クリーンプラント)     余剰電力は中部電力(株)へ売電
水利権期間     高瀬川沿岸用水(町川用水路)に従属
水車型式 横軸フランシス型

大町市は平成17年2月に「大町市地域新エネルギービジョン」を策定し、新エネルギーの利用検討を進めてきました。
市では社地籍を流れる町川用水路において、河岸段丘の落差を利用した小水力発電事業を計画し、平成20年度から平成21年度に地域新エネルギー等導入促進 事業(NEDOの補助事業)を導入して、当時実施中であった町川用水路の改修に併せて小水力発電所を建設しました。
町川用水路を含む高瀬川沿岸用水は、長野県が水利権を所有する農業用水であると共に、昭和電工株式会社が発電用として取水施設や共用隧道等を管理してお り、既に取水口他で沈砂施設等も整備されていました。また冬期間の維持用水も1.0立方メートル/sあることから、年間を通して通水量が確保できる等、小 水力発電事業を実施する条件が整っていました。[長野県①]

町川発電所で発電した電力は、発電所と同時に設置した高圧配電線を経由して近隣の大町市クリーンプラント(し尿処理場)へ供給し、クリーンプラントの電力 量の9割弱を賄っています。また夜間に発電した電力は中部電力株式会社へ売電しています。[長野県②]

取水した全水量を、そのまま同じ町川用水路へ戻し、取水から放流までの間に受益地の水田がないため、農業関係者の理解を得ることができました。[大町市]
運転開始直後に、ひとつだけ、本当に苦労したことがあります。取水口には当初、絶えず乱流が発生し、そのため取水が安定せず、水位変化の制御が効かない状 況が続きました。そこで、市の優秀な技術陣が手作りで10分の1の模型を作り、何度も水利実験を繰り返した結果、水勢を抑える減勢スリットや整流柱などを 考案し組み合わせて配置することで見事解決し、おかげで安定した取水が可能になったのです。→工学系がよくやる模型作ってので実験,大事なんやねぇ。。