スペイン |
ポルトガル |
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全電源設備容量 | 風力発電設備容量 | 設備容量総量 | 水力発電+小水力 | コジェネ | 風力 | |
2010年 |
97.65GW[1] | 18.9GW(19.7GW[2]) | 18.1GW[1] | 4.6GW+0.4GW=5.0GW[1] | 1.7GW[1] | 3.9GW[1] |
2016年 |
23.07GW[2] (発電量:47.7GWh |
5.7GW[3] | 4.8GW[3] | |||
将来 |
日経エレクトロニクス 7月11日号,pp.19-22,2011 World Report from Spain 「風力発電大国」の実像 ~その背景に電力系統制御への挑戦~ http://windeng.t.u-tokyo.ac.jp/ishihara/posters/nikkei110711.pdf 石原孟 東京大学 大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 教授 スペインは国際連系が非常に弱い。にもかかわらず、2010年まで2068万kWの風力発電が導入されている。 風力発電の特性を考慮した電力系統の制御システムを用意したことも、大きな役割を果たした。風力発電出力予報の実施と、その予報に基づく風力発電所の出力抑制と電力調整によって、安定した電力系統の運用を実現した。 スペインとフランスとの間の連系線の容量は、輸入が130万kW、輸出が50万kWであり、モロッコとの連系線の容量は輸入で60万kWと輸出で90万kWである(図2)4), 注2)。 ![]() 図2 フランスとアフリカとも電力を融通 注2) ここで言う連系線の容量は物理的な制約 に加え、各国の電力系統の安定性を考慮し て季節別にヨーロッパ電力系統運用者ネ ットワークが決めたものであり、図中の数字は 2010 年から 2011 年冬季の値である。 発電設備の規模や外部との連系が弱い点で、スペイン、および同国と交流連系線で結ばれているポルトガルの電力系統は、日本の東京電力と東北電力のそれによく似ている。 スペインは風力発電適地と電力消費地域が一致していないという問題も抱えている。適地は、東部から北西のガリシア地方に偏在しているのに対して、電力需要はマドリッド、バルセロナといった大都市に集中している(図3)。この点でも、東日本の電力系統とよく似ている。 ![]() 図3 風力発電の適地と電力需要の高い地域 こうした点から、スペイン/ポルトガルの電力系統は、東日本の電力系統と同様、風力発電の大量導入に不利である。ところが、スペインの風力発電の設備容量は、東日本の89万kWの23倍もある。 この一見矛盾していると思える状況は、スペインが 2006 年から取り組んで来た「新しい挑戦」によって実現した。 新制御技術で6000万kWが視野に スペインにおける風力発電の導入は、今後も続く見通しだ。ただし、事業者にとっては、風力発電所の出力抑制(Power Curtailment)の頻度が、採算性に直結する重要な問題になる。特に、風力賦存量の高いガリシア地域とカスティーリャ・イ・レオン地域では、電力 系統の容量が相対的に低いため、発電出力抑制が行われる可能性も高い注6)。 REE社はこの問題を解決するために、「低電圧ライドスルー対策」†を含め、スペインの電力系統のピークおよびオフピーク時の風力最大許容発電電力を決めるための過渡安定解析†を行い、有効電力および無効電力の許容値を決定している2)。 従来は、風力発電所の系統連系点で10%以上の電圧変動が生じた場合には、瞬時に風力発電所を系統から解列†させる方式が取られていた9)。しかし、この方式では、大量の風力発電が連系された場合に、1ヶ所の系統事故に伴う電圧降下が瞬時にスペイン全土に波及してしまう。 日経エレクトロニクス 7月11日号,pp.19-22,2011 そこで、2008年以降の新規の風力発電所には、電圧低下中も電力系統から解列せず、風力発電所の運転を継続させるための低電圧ライドスルー対策を付加す ることが義務付けられた。既設の風力発電設備に対しても、2012年を目処に対策を施すこととなっている。REE社は、こうした対策を行うことにより、風 力発電の設備容量は6000万kWまで系統連系可能であるとの試算を行っている。 |
再生可能エネルギーの大幅導入に成功したスペイン ―その背景に「気象予測」を活用した独自の挑戦あり― https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2012/2012_10_0967.pdf 小 西 雅 子 連系線の容量は小さく, 2011年度の電力の融通量は年間需要電力量の2.4%にしかならない(REE 2011a). 首都マドリードの郊外にスペインにおける唯一の系統運用会社である REEがあり,2006年に再生可能エネルギーを安定的に運用するために, 再生可能エネルギー専門の中央制御センターControl Centre for Renewable Energies(以下CECRE)を設置した(REE 2011b). 2007年から, スペインでは, 設備容量が10MW を超えるすべての発電設備は CECREによって直接制御されることになった ドイツの再生可能エネルギー研究機関 ISET(Institut fuer Solare Energieversorgungstechnik)の調査では, ドイツの風力発電では, 1時間ごとに見ると1つの風力発電所だけでは60%もの変動がありうるが, 合計350MW 以上の風力設備容量になると, 変動は20%以下になる. 北欧4カ国をカバーする北欧電力専門家協議会(NORDEL)によると, 北欧4か国全体でみると再生可能エネルギーの出力変動は10%以下になるという(Zervos 2009). スペインにおいても風力発電設備容量が増加するにつれて, 出力は平滑化し, 安定してきている |
「連系線」にまつわる誤解と神話 2014年5月29日 安田陽 関西大学システム理工学部准教授 https://www.renewable-ei.org/column/column_20140529.php 日本の電力系統を見ると、「連系線が少ないのでこれ以上風力や太陽光は入りづらい」と言われている北海道でも、実はスペインのもつ連系線容量比率よりも大 きいことがわかる。西日本の60Hz地域に至っては、欧州諸国よりも遥かに豊富な連系線を持っていることがわかる。「日本は連系線が少ないから」というの は、実際の統計データからは全くの誤解であることが明らかとなる。日本は現在、連系線が足りないという状態では決してなく、仮に連系線が足りなくなったと しても、欧州諸国の事例に見るとおり再生可能エネルギーを大量導入するための「柔軟性」は他の手段で補うことも十分可能だからである。 |
ポルトガルが偉業達成!再生可能エネルギーによる発電量が 国の電力消費量を初めて上回る! 2018/04/11 17:12 https://caramelbuzz.com/4087/ 2018年3月、ポルトガルで「再生可能エネルギーによる電力生産量」が「国の電力消費量」を上回ったことがニュースになっています。 月単位での生産量が消費を上回るのは初めてのこと。ポルトガルの送電事業者RENによれば、3月の電力総消費に対する再生可能エネルギーによる生産量は103%。2014年に記録した最高記録99.2を大幅に上回りました。 主なエネルギー源は「風」と「水」。どちらも供給が安定しないため、再生可能エネルギーのみで消費をカバーできた「時間」は70時間x2回の計140時間だけ。需要と供給の「山と谷」に対応することが、今後の課題のようです。 |