23.7.15独立
米川・矢筈川と米川(黒見)発電所(23.7訪問)
目次:泰阜ダム・米川発電所・矢筈側サイホン・米川取水堰・増強検討(+4.8MW)
米川発電所の取水元の米川は飯田線の金野(きんの)駅[地
理院]付近で天竜川に合流する河川であり,この先出てくる矢
筈川は同じく唐笠駅北側で合流する河川(三遠南信道や矢筈砂防ダムの矢
筈とは別物)である。
一帯は泰阜村から飯田市であり,その泰阜村に泰阜ダム[地
理院]はある(最寄り駅は金野より2,3駅豊橋寄りの門島駅である)。
●泰阜(やすおか)ダム[便覧][水力]
[→天竜川中部] ▲
着手/竣工:1931/1935
堤高:50.000m、堤頂長:142.950m
総貯水容量/有効貯水容量 1076.1万m3/155.3万m3
貯留量:1,10.8万立米(2000-12現在)
満水位:EL.355m
狭い敷地に膨大な水処理を扱う巨大な取水設備などが立地している。
天竜川本流にでんと立地する泰阜ダムであり,短いトンネルを多数連ねて天竜川にへばりつくように走る飯田線であるので当然ではあるが,脇には飯田線が走っ
ていて恰度トンネルから顔を出す僅かな区間と並行する。
線路が近い。大鉄(大井川鉄道)の井川線を想起させられる。
その最奥部から更に歩道が続いている。
どうも,この先約900mに米川発電所があり,途中から破線に変わるこの未舗装道が現状唯一の到達路になっているようである。
この道は竜東線[山行が]の一部なの
であろうか?発電所から先は破線すら描かれていない。ヨッキのレポを期待したい所で
ある(ゴチ強調でアピールw)。
またどうも飯田線の開通で寂れてしまった竜東線であるが,長野県道長野県道満島飯田線の再指定(復活)なんかも期待し
たい所でもある♪
中部電力株式会社 米川発電所(別称:黒見発電所)[水力]
[DB]
▲
運開:1940.2[日本発送電(株)]
水路式・流込式
認可最大出力:3,200kW 常時出力: 570kW[17.8%]
最大使用水量:1.67m3/s[0.576]
有効落差:246.06m
水車:出力3450kW×1台
導水路:総延長4601.2m→上部水槽から米川取水堰迄の距離と概ね一致(後一カ所の取水口の為にそんなに長い支水路を延ばしている訳では無さそう)
流域面積:29.0km2
取水:米川[米川堰堤]
628.50m・他1(こ
の辺か?)
放水:天
竜川[泰阜ダム付近]365.00m
戦時中,日本発送電の手に拠る運開である。
落差が250m近くある。昨今の流れからは使用水量を3倍は言い過ぎにしても2.5倍ぐらいにはしても良さそう。
とはいえ雨の少ない地域で常時出力は最大の17.8%である。矢
筈川・矢
筈川支流・紅
葉川・鼬ヶ
沢川など取水点を増やして3倍増と行きたい。(それを検討したくて来た。また取水堰が1箇所未確認である。それも探りたい。)
さて,水力さ
んは発電所の写真は掲載されているので泰阜発電所から米川発電所迄歩いたらしいが(門島駅から2kmらしい),クルマ乗り回す私にそんな元気もなく(クル
マを堂々と停めておけるような広い場所もなく),発電所の写真はなく,代わりに水力さんがレポしてないサイフォンと取水堰をレポしていきたい。
矢筈サイホン ▲
さて泰阜ダム・発電所のある門島から米川の取水堰を目指そうとすると東側の天竜川の河岸段丘を登るか西側の河
岸段丘を登るかする必要がある。天竜川沿いの道は上の通りの窮状である。
西側の方が遠回りに見えるがナビはそちらのR151経由を指示してきており,腹も減ってきていてコンビニも国道沿いの方が有りそうで且つ先程は南宮から東側の段丘を下って門島へ取り付いて同じ道を走るのもつまらん
ということで西側ルートを選択した訳だが,その東側のr1現道から門島へ降りて行くr83下条米川飯田線との分岐部に立っていた看板(他でも見た様な気が
する)が下の写真である。
我らが米川発電所の部分を帰宅後よく見てみるとどうみても米川と書いていない。(マウスオーバーで赤枠内)
黒見発電所と書いてある様である。地名としては黒見というか,上部水槽がある場所は黒見から取り付くようなのでこの辺が米川流域で無い事もあって,地元で
は黒見(の)発電所というような通称で通っているっぽい。
ダムでは良くある(殿山ダムが合川ダムとか東上田ダムが小坂(おさか)ダムとか枚挙に暇がない。ダムが付属発電所立地場所の名前を冠されて地元民が違和感
を抱くケースが多い様だが,ここは逆に発電所に一寸離れた取水元の川名を付けて地元民が違和感を抱くケースか。)
矢筈川サイフォン[場
所]
正確には逆サイフォンだが水発趣味で谷を跨ぐ為に良く出てくるのは逆サイフォンであるので単にサイフォンと呼んでしまう。
銘板もわざわざ逆サイフォンとは云ってない。寧ろサイホンとフォンですらない。
さて,(折角だし?)この矢筈川から取水出来ないかなと思って調べて見ると狭い!更に南側の左京川からも引っ
張ってきて(L=3.8km)やっと5.8km2である。一
寸難
しいかな。。矢筈川のみだと700m程で接続出
来るが3.2km2し
かなくなる。
取水してないのも蓋(けだ)し当然か。…と思ったが,調べて見ると米川堰堤の流域面積は26.6km2程有
りそうで,米川発電所の取水口は2箇所で流域面積は29.km2で詰まり副取水口の流域面
積は2.4km2程程度。3.2km2の水源でも追っても良いかも知れない。
上の写真の水がざーざー流れてるイメージもまあ雨上がりって事で普段は僅少な
感じか。。一寸無理そうである。
さて,未だ見ぬ場所不明の取水口を含め米川は北北東寄りである。ここから稲
伏戸を通って法
全寺の方へ抜けようとする。途中,不明の取水口の擬定河川である米川の支流に沿うルートである。帰宅後纏めている今になってみると途中こ
こ迄進入[す
とびゅうに拠る入口の様子]を試みれば良かったが現地では思い浮かばなかった。。
兎に角この抜け道を辿ってみる。写真は稲伏戸への分
岐点の此処。この辺はあじさいがいっぱい植わっていて恰度咲いていた。
道は最初は快適であったが,橋(後述)を渡ると途端に怪しくなり始め,程なく水
道の取水施設?[地理院]が現れてす
とびゅうもここまでで引き返し)そこから道は未舗装になった。
写真右手に移ってる小川が米川の支流で取水堰がある可能性の高い川である。取水堰
擬定地からEL.70m程上がっているここら(EL696m)迄上がってくると大夫細い小川になってしまっているけど。。水道施設の手前の橋[こ
れ]は板栗屋橋[→Q]
というらしいがこの川の名が板栗谷川かどうかは微妙な所である。更に上流には米
底川1号橋[Q]もあるので米底川かも知れぬ。この名前なら何やら米川の支流っぽくもあるではないか。因みに振り仮名は「こめそこがわ」となって
いるが,この小さな川が米川合流直後に架かる端は米底橋であり,「よなぞこばし」となっている[Q]。
後もうちょいで通り抜けられそうなのに(マップルでは繋がっていた),先程の板栗谷橋を過ぎると顕著に道が悪くなり,この簡易水道か何かの施設を過ぎると
舗装も途切れ可成り怪しくなって来たので大人しく諦めて引き返して大回りをすることにした。
法全寺側の入口は恐
らくすとびゅうのこれ。まあ聚落へ入る事もなく県道をスルーしてしまったが一寸覗いてみても良かったかも。。
なおこの川(米底川?),川の名前地図にも載ってないし狭い2.4km2程度し
かなく,取水河川としては可成り物足りないし,此処では無さそうな気もしてきた。その後矢筈川の所でも述べたが,米川堰堤の流域面積を測って見ると26.6km2程有りそうで,米川発電所の取水口は2箇所で流域面積は29.km2で残る1箇所の副取水口の流域面積は推定
2.4km2程となり,な
んとどんびしゃ!ここが副取水口とであろうと取り合えず推定しておく。マウスオーバーで比較検討した矢筈川の上流の柿野沢から取水した場合を
図示。
1.9km2弱で小さい。
この川の上流,r83に架かるこの橋[地
理院・G]
からの眺め。橋の名は三ツ沢橋[→Q]
だそうなので川というか少なくともこの沢の名前は三ツ沢なのであろう。
寧ろ川の名前が登録されている矢筈川の支流の柿野沢川の方が取水に相応
しいかも。1.8km2とそちらも流域面積僅少であるが。。
さて,ぐるっと外縁部をr83は辿り,法全寺の聚落からは米川取水堰方向へ向けて下っていく。
道は雨上がりのせいではあろうが水量豊富な川に沿ってゐる。
谷沢川と云うそうで,百年ほど前に炭焼き業の青年二人が万古川からアマゴの稚魚を放流してこの川にも生育
するようになったのだとか。
外来種のリリースは禁止だと思うがまあ百年前なんで許されたのであろう。まあ元々住んでても可怪しくはないので大久野島のウサギほどの外来種って程ではな
いか。。禁漁区としたそうで,ウサギ同様,ここのアマゴも大事にされてるようだ。
さて愈(いよいよ)米川との対面である。場所はこ
この橋の上,上流方面。未だ谷沢川との合流前の水流である。雨上がりでそこそこ流れている。
同じく下流方面。
愈堰堤へのアプローチ。地
図から判断するに道は狭そうなのでクルマを置いていく。
歩き始めると先ずは先程の谷沢川の合流。樹々に隠れて見にくいけど。
えんてい(堰堤)・行き止まりという看板
更に中部電力の敷地境界を示すと思われる標柱が現れた。
ブレブレの写真で申し訳ないが巨大な岩も転がっていた。。
結構歩いた気もするが時間に直せば6,7分って所か。遂に堰堤に到着。
米川堰堤[場
所] ▲
取水量:1.67m3/s
流域面積:26.6km2
利水標もげっと。此処での取水量=最大使用水量である。
水は濁ってるけど自由越流タイプの堰は水を取水位以下に下げる事もなく,よく解らないが取水はしてる感じであった。
上の写真,敷地の脇が空いてるので堰
堤を
下から撮影しに入ってみた。
ラバー式のゲート様のものがある??(クリックで拡大) 可動する感じでもないから詳細不明である。。
この後,地理院では途切れてるこ
こ(クルマを停めた先)が綺麗な道で繋がっていたので通り抜けてr1へ更に三遠南信道を経由して阿知川へ向かった。
調べて見ると流域面積は26.6km2程。米川発電所の流域面積は29km2(多分小数第一位は丸めてある)なので2.4km2程度の小さい流域がもう一
カ所ありそうだ。一応上の米川支流の面積が完全にピッタリだな
w
【米川
発電所増強策】 結局,出力増強には小細工を効かせるより素直に米川からの取水量を増やしていくのが良さそうである。
米川発電所(別称:黒見発電所) ▲
水路式・流込式
認可最大出力:3,200kW→8,000kW[+0.3+4.5=4.8MW]
常時出力: 570kW[17.8%]
最大使用水量:1.67m3/s[0.576]→4.00m3/s[+2.33m3/s・1.38]
有効落差:246.06m
水車:出力3450kW×1台+4650kW×もう1台(増設)
導水路:総延長4601.2m→上部水槽から米川取水堰迄の距離と概ね一致(後一カ所の取水口の為にそんなに長い支水路を延ばしている訳では無さそう)
流域面積:29.0km2
取水:米川[米川堰堤]
628.50m・他1(こ
の辺か?)
放水:天
竜川[泰阜ダム付近]365.00m
取水量を4.0m3/sにして,既存の水車の使用水量を1.8m3/sに引き上げ3,400kWに,残りの2.2m3/sを最新の水車で4,600kWで
動かして合計8.0MWの発電所に出来る。
上流はこの時点で26.5km2しかないからこの上でもう一箇所電源開発を狙うのは無理そうである。
最後になるが,この辺,そこそこ雨の少ない地方っぽいので無理は禁物なのかも,,増強するなら気田川や遠山川が優先さ
れて然るべきか。
大日向砂防堰堤?[google]
[地
理院]
標高:816m