とはずがたり電力総研 離島電力 海洋発電~総論篇~
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海洋発電潮流発電・波力発電・温度差発電
~各論篇~

【新潟県】粟島・【佐賀県】加部島・【長崎県椛島・【鹿児島県】口之島・【沖縄県】久米島

<粟島>

2014年11月05日 09時00分 更新
浮体式の潮流発電の実証試験を開始、新潟・粟島の北方海域で
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1411/05/news015.html


日本の未来の再生可能エネルギーとして期待がかかる海洋エネルギーの1つ、潮流発電の実証試験が新潟県の粟島沖で始まった。発電能力が最大で100Wの装 置を浮体に搭載して、10月30日と31日の2日間にわたって試験を実施した。発電性能や防水性などを検証して今後の改良に生かす。
[石田雅也,スマートジャパン]

図1 潮流発電の実証フィールド。出典:新潟県産業労働観光部

 新潟県北部の日本海にある粟島(あわしま)の沖合で、10月30日と31日に潮流発電の実証試験が初めて行われた(図1)。潮流発電は1日に2回の頻度 で発生する潮の満ち引きによる海水の流れで発電する方式で、今後の導入拡大が期待できる海洋再生可能エネルギーの1つである。

 新潟県と県内の民間企業で構成する「新潟県海洋エネルギー研究会」が日本大学の理工学部と共同で実施した。実証試験に使った発電装置は3メートル四方のスチール製の浮体に水車発電機を搭載したものである。

 水車発電機は長さが0.5メートルのアルミ製のブレード4枚を垂直に組み合わせた小型のプロトタイプである(図3)。低速の潮流でも発電が可能で、最大 で100W(ワット)の発電能力がある。潮流は満ち引きによって流れが反転するため、水車も双方向に回転する。2日間の実証試験で発電機の性能のほか、装 置の防水性や強度などを検証して、今後の改良につなげる。

図3 潮流発電に利用する水車発電機のイメージ(今回の実証試験では小型のプロトタイプを使用)。出典:新潟県産業労働観光部ほか
 実証試験には地元の粟島浦村と粟島浦漁業協同組合が協力した。粟島の内浦漁港で浮体式の潮流発電装置を漁船に固定して、曳航試験を実施してから実証フィールドの北方海域まで運んだ(図4)。島を挙げて潮流発電に取り組む体制ができている。

 粟島は政府が開発を促進する海洋再生可能エネルギーの実証フィールドとして、全国6地域のうちの1つに選ばれている。潮流発電のほかにも波力発電と浮体式洋上風力発電を含めて3種類の海洋エネルギーの導入に取り組む計画だ。その中で最初に潮流発電の実証試験を開始した。

<三井海洋開発+加部島>

三井海洋開発、風力と潮流で発電 機器開発し今秋実証実験
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD160LC_W3A510C1TJ1000/
2013/5/16付

 三井海洋開発は16日、風と潮の流れを組み合わせて発電する新型の浮体式発電機を開発し、今秋に佐賀県唐津市沖で実証実験を始めると発表した。風と潮の 流れを組み合わせた発電機は世界初。三井海洋開発は浮体式石油生産・貯蔵・積み出し装置(FPSO)の建造・運営で世界3強の一角を占める。浮体のノウハ ウを生かして再生可能エネルギーでも事業拡大を目指す。

 発電機は海に浮かびチェーンを使って海底に係留する。浮体の直径は約30メートルで海面から上に回転軸が垂直の風車、海底には巻き貝のような形で潮の流 れを受けて回る水車が付いている。風車の高さは47メートル、水車は水面から下に16メートルで、発電機の発電能力は500キロワット。潮流発電機と浮体 の開発には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受ける。

 三井海洋開発は8月末をめどに現場海域への設置を終え、今秋に発電を始める計画。2014年には九州電力の電力系統に接続して売電にも乗り出す。同社は佐賀県沖での実証実験の結果を踏まえ、漁業組合へのリース販売などの形式で事業化したい考えだ。

 海洋での再生可能エネルギーの開発では漁業者との合意形成が課題。浮体式の風力発電などでは係留のチェーンが底引き網漁業の邪魔になるといった問題が指 摘されるが、三井海洋開発は「底引き網漁ができない潮の流れの強い場所に設置する」(中村拓樹事業開発部長)とし漁業との共存を目指す方針だ。

2014年12月22日 07時00分 更新
最先端の海洋エネルギー発電設備が水没、佐賀県の加部島の沖合で
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1412/22/news025.html

政府が海洋エネルギーの実証フィールドに選定した佐賀県の沖合で進んでいた発電設備の設置工事が突如中断した。洋上の風力と海中の潮流の両方で発電できる画期的なシステムだが、12月18日に水没してしまった。事業者の三井海洋開発は水没した設備を回収して計画を練り直す。
[石田雅也,スマートジャパン]
   
図1 潮流・風力ハイブリッド発電の実施海域。出典:佐賀県農林水産商工本部

 佐賀県の最北端にあるイカで有名な呼子町(よぶこちょう)の沖合は玄界灘の潮流が速く、海洋エネルギーの宝庫でもある。九州本島と橋でつながる呼子町の 加部島(かべしま)の沖合1.2キロメートルの洋上で、日本で初めての浮体式による潮流・風力ハイブリッド発電システムの設置工事が進んでいた(図1)。

 ところが設置中の発電設備が12月18日(木)の早朝に水没してしまったため、工事は中断を余儀なくされた。

 このハイブリッド発電システムは三井海洋開発の「skwid(スクイッド)」で、10月から現地で工事を開始していた。浮体の上部に垂直軸で回転するダ リウス型の風車を備える一方、海中に入る下部には潮流の水圧で回転するサポニウス型の水車が付いている(図2)。全体では高さが69メートル、円形の浮体 部分は直径が29メートルの大きさで、重量は約1000トンに達する巨大な設備である。

図2 浮体式潮流・風力ハイブリッド発電システム「skwid」。出典:三井海洋開発

 風力と潮流の2つの再生可能エネルギーを利用することで、気象条件の変化にも対応しやすい点が特徴だ。天候の影響を受けにくい潮流のエネルギーで発電で きて、風車を起動するための電力を外部から供給する必要がない(図3)。国内で初めて加部島の沖合に設置して、2015年中に運転を開始する計画になって いた。政府が海洋エネルギーの実証フィールドに選定して支援する体制もできている。

図3 潮流・風力ハイブリッド発電の仕組みと性能。出典:三井海洋開発

 三井海洋開発によると、発電設備が水没した原因は12月19日の時点ではわかっていない。16日の午後から18日の早朝にかけては、異常に発達した低気 圧が日本全体を覆って天候が荒れていた。佐賀県の北部でも瞬間最大風速が毎秒20メートルを超える状況で、強風や高波の影響から発電設備の水没に至った可 能性が大きい。

 水没した発電設備は海底に沈んでいるため、損傷の状態などを確認したうえで陸上に引き上げる予定だ。その後に原因の調査を開始するが、調査の終了時期を含めて今後のスケジュールは未定である。

 この発電設備は本来であれば2013年10月から加部島の沖合で実証実験を開始する予定だったが、海上を輸送中にトラブルが発生して計画を延期した経緯 がある。今回が2度目のトラブルになるが、日本の海洋エネルギーの未来を切り開く先端的な取り組みであるだけに、対策を十分に検討したうえで計画の再開が 望まれる。

加部島沖、水没の複合発電装置引き上げへ
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/190007
2015年05月24日 10時04分

 海洋再生可能エネルギーの発電実証実験場となっている唐津市呼子町の加部島沖で、昨年12月に水没した潮流と風力の複合発電装置の引き上げ作業が本格的に始まった。今後、大型クレーン船で引き上げ、水没原因の調査を始める。

 22日朝、三井海洋開発(本社・東京)の大型クレーン船が現場海域に到着し、引き上げ作業に着手した。装置の陸揚げ後に原因を調べ、計画を続けるかどう か判断する。陸揚げ時期は未定という。同社担当者は「現場海域の気象状況を確認しながら安全第一に考え、作業を進めたい」と話す。

2015年06月19日
水没に負けない!佐賀県が海洋エネルギーの実証支援に本腰
実証フィールドへの観測装置導入や研究会立ち上げへ
http://newswitch.jp/p/1016

 佐賀県は海洋再生可能エネルギー産業支援のため、唐津市加部島沖に約4000万円をかけて気象・海象観測装置を設置する。国の海洋エネルギー実証フィー ルドに指定されている海域で、実験体制を整備して実証企業の誘致につなげる。また2015年度内に県内外の産学官と金融機関による「佐賀県海エネ産業クラ スター研究会」を設立、産業創出も推進する。

 9日発表した15年度6月補正予算案に「海エネ産業推進事業」として盛り込んだ。事業期間は18年度まで。15年度は6033万円を計上する。観測機器 の整備で実証企業の負担を軽減し、中小企業を含めて広く誘致を図り、波及効果による地域振興を狙う。実証企業のほか漁業や製造、観光など実証に関わる事業 者数を約4年間で40者にする。

 産業クラスター研究会は、国内有数の研究施設でもある佐賀大学海洋エネルギー研究センター(佐賀県伊万里市)を活用する。実証フィールドの近くに同セン ターを持っている強みを最大化するとともに、造船業者や関連製造業者を組織化することで県内発の技術開発を推進する。金融機関を加えることで、研究体制の 実効性を高める。

 佐賀県の実証フィールドでは三井海洋開発(MODEC)が実験を進めていたが、14年末に実証機が水没し、現在は実験を中断している。

  政府は15日、浮体式洋上風力など海洋再生可能エネルギーの「実証フィールド」について、佐賀県加部島沖など、4県6海域を選定したと発表した。応募 のあった7県11海域ともに気象や海洋の条件、漁業関係者などとの利害調整は評価されたが、具体的な利用事業者の有無が決め手となった。選ばれなかった岩 手県釜石市沖など4県5海域について利用者の参加が確定した時点で、あらためて選定する方針だ。

 実証フィールドは、浮体式洋上風力や波力、潮流発電など、海洋再生可能エネルギーの活用について、実際の海洋で技術実証するため設置する。企業や大学などが開発した機器を持ち込み、耐久性や安全性、低コスト化などを試験する。

 実証フィールドに選定されれば、国や事業者のプロジェクトを誘致しやすくなり、産業誘致など地元振興につながるだけに、地元自治体の期待は大きい。一 方、事業者側にとっては、複雑な利害関係者との調整を自ら行わなくても、地元の窓口が一本化されているため、事業計画が立てやすくなる。
日刊工業新聞2015年06月10日 列島ネット面

佐賀を海洋エネ先進県に「J☆SCRM」
産学官67団体で研究会
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/257573
2015年12月08日 10時16分

 海洋エネルギーの実用化で地方活性化を目指す「佐賀県海洋エネルギー産業クラスター研究会」が7日、発足した。唐津市呼子町の加部島沖が浮体式洋上風力 発電と潮流発電の国の実証フィールドに選定されており、県は研究会を通じて産学官の連携を進め、10年後の2025年を目標に海洋エネルギーの先進県を目 指していく。

 研究会には企業や官公庁、大学・研究機関など67団体が参加。国内唯一の海洋エネルギー研究開発拠点を伊万里市に持つ佐賀大学が中心となり、機械・金属、造船会社、金融機関などが名を連ねる。

 市場調査会社の試算では現在、世界の海洋エネ市場は1兆円ほどだが、2030年には9兆円台に達する。研究会では年2回会合を開き、情報交換を進めるほ か、先進地視察、企業同士のマッチングの機会をつくり、関連産業の集積を図る。海洋エネ技術の実用化と量産化を進め、海洋エネの先進県を目指す。

 唐津市で開かれた設立総会では、山口祥義知事の提案で、会の名称を「佐賀県は産学官でスクラムを組み、海洋エネルギー産業を目指す」との思いを込めて「J☆SCRM(ジェイ・スクラム)」とした。

 実用化を目指す技術開発で地場企業参入の可能性もあり、会長に就任した建設機械製造ワイビーエムの吉田哲雄会長は「佐賀発の新技術を生むチャンス。多くの企業でエネルギー分野へ参入してみようという機運が高まってほしい」と述べた。

 現在、加部島沖で実証実験に取り組んでいるのは三井海洋開発(本社・東京)の1社だけ。同社の発電機は昨年12月に水没。今年5月に引き上げ、原因の究明は終えたが、実験の継続については社内で検討を続けている。

<長崎県>

 2014年01月21日 09時00分 更新
エネルギー列島2013年版(42)長崎:離島に潜在する海洋エネルギー、地熱や太陽光を加えて供給率25%へ
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1401/21/news023.html

およそ1000近い大小の島から成る長崎県では、分散型の電力供給体制を構築することが急がれる。島の周辺には海洋エネルギーが豊富にあり、洋上風力や潮 流発電の開発プロジェクトが進み始めた。九州本島では地熱や太陽光が有望で、多彩な再生可能エネルギーを県全域に拡大していく。
[石田雅也,スマートジャパン]

 長崎県は日本で島の数が一番多く、実に971カ所も点在している。海に囲まれた離島の中で電力源を増やすためには、身近にある再生可能エネルギーの活用 が欠かせない。大小さまざまな島を含めて、県内の全域に太陽光からバイオマスまで新しい発電設備を導入するプロジェクトが広がってきた(図1)。

図1 長崎県の再生可能エネルギー導入状況。出典:長崎県産業労働部

 中でも離島ならではの取り組みとして注目を集めるのが、五島列島を中心にした海洋エネルギーの開発だ。海中を流れる潮のエネルギーによる潮流発電や、陸 上を上回る風速を生かせる洋上の風力発電を実用化するために、産・学・官の連携による実証実験が相次いで始まる(図2)。

図2 海洋再生可能エネルギーの実証候補地。出典:長崎県産業労働部




<口之島>

黒潮の流れ利用「海流発電」、来夏にも実証実験
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/988/a0baa64c31842683d6fc5f3c88b8afd5.html

(読売新聞) 10:37

 黒潮の流れを利用した「海流発電」の実証実験が来夏にも、鹿児島県十島村・口之島の近海で始まる。

 海中のタービンを海流で回転させて発電する仕組みで、実験用装置を製造した重機大手のIHI(本社・東京)によると、海流発電の実証実験は国内初。2020年代の実用化を目指しており(とは註:OEA-Jの目標などはこちら)おり、新たな再生可能エネルギーとして注目を集めそうだ。

 海流発電システムは、同社が11年、東大大学院や東芝などと共同で研究開発に着手した。直径約10メートルのプロペラのついたタービン2基をつないだ装 置(全長約20メートル)をケーブルで海底につなぎ、水深約50メートルの海中に漂わせる。黒潮の流れによって回転したタービンで電気をつくり、ケーブル を通して陸上に送る仕組みだ。