とはずがたり電力総研   離島電力 海洋発電~各論篇~
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海洋発電潮流発電・波力発電・温度差発電
~総論篇~

海洋発電というと先ずは洋上風力発電が想起されるが,その他色々試みられているようである。
電源開発に関して優秀な日本の知性が原子力発電にのみ投下されるという歪な時代がやっと終わったことを好ましく思う。

2014年7月15日に海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定結果についてが発表された。

海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定された海域(6海域)
都道府県海域エネルギーの種類現状
新潟県粟島浦村沖海流(潮流)、波力、浮体式洋上風力
佐賀県唐津市 加部島沖潮流、浮体式洋上風力(三井海洋開発)2014.12.18浮体物沈没。。
長崎県五島市 久賀島沖潮流
五島市 椛島沖浮体式洋上風力(戸田建設)2016.4より近傍海域の崎山沖で営業運転開始
西海市 江島・平島沖潮流
沖縄県久米島町海洋温度差
出典:総合海洋政策本部事務局

毎度のバカの一つ覚えみたいでお恥ずかしい限りであるがここもITメディアから纏まった記事があるのでこれを許に纏めてみる。
2014年04月17日 13時00分
海洋エネルギー:潮・波・海水でも発電、2050年には2200万世帯分にも
2015年01月06日 07時00分
 海流・潮流・波力発電に挑む、海洋エネルギーでコストを20円以下に
各論はこちらに。

2014年04月17日 13時00分 更新
海洋エネルギー:潮・波・海水でも発電、2050年には2200万世帯分にも
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/17/news015.html

欧米の先進国では潮流発電と波力発電の開発プロジェクトが数多く進行中だ。まだ発電規模はさほど大きくないが、2035年には全世界で14GW(ギガワッ ト)の導入量に拡大して、地熱発電の3分の1に達することが見込まれている(図1)とのこと。(とは註:1次資料のIEAの推計基準が欲しい所。まあ内容的には前振りだからざっくりベースの言い値でもいいんだけど・・)

図1 全世界の再生可能エネルギー導入量の予測(単位:GW)。出典:NEDO(IEAの資料をもとにスマートジャパンが作成)

発電種類 実証実験 賦存図
海洋温度差発電 沖縄県久米島 水深700m
50kW 実証実験
沖縄県がIHIプラント建設横河電機,環境ベンチャーのゼネシスに委託
10年前の建設
深さ600mから8.5℃の海洋深層水を1万3000t/日
表層水(水深30m付近)は夏29℃・冬22℃,平均26.5℃
拡大し1~2MW級の商用設備を実用化する予定

 海洋温度差発電を実施するためには、海面に 近い表層水と海中にある深 層水の温度差が20度以上になることが望ましい。
その条件を満たす海域は日本の周辺では太平洋側に広く分布している(図5)。
発電設備を陸上の海岸か、陸地に近い洋上に設置することを考えると、やはり沖縄や南九州の島が適している
(→風力発電の適地が東北・北海道に多いことを考えると地域的補完性が働きそうである。)

図5 海洋温度差発電のポテンシャル分布。出典:NEDO
潮流発電
佐賀県呼子町

風力で1MWの発電をしながら潮流でも50kWの発電をする。

図3 佐賀県呼子町の沖合に設置する予定の潮流+風力発電設備の外観。出典:三井海洋開発

→長崎県五島列島・静岡県御前崎などに有望な候補地有り

潮流発電になると、日本の近くでは候補 地が特定の海域に限られる。
潮の流れが速い場所は陸地にはさまれた海峡に多い(図6)。
特に本州と四国・九州に囲まれた瀬戸内海に十分な潮流エネルギーが存在する
その他、九州西部の長崎県の半島や離島の周辺にも有望な海域が見られる。

図6 潮流エネルギーのポテンシャル分布。出典:NEDO
波力発電 新潟県粟島や静岡県御前崎で実施予定 日本近海のエネルギーの分布状況を解析したデータはなく、今後の調査が 待たれる所。

国内の海洋エネルギーの導入可能量を予測したデータとしては、OEA-J(海洋エネルギー資源利用推進機構:ウェブサイトによると工学系研究者と重工メーカーの団体の様だが2008年に発表したものがある。それによ ると、2050年までに潮流と波力が年間に200億kWhずつ、海洋温度差発電は2倍の400億kWhの発電量になる(図4)。
<想定或いは期待発電量・同発電規模>

2020年迄
2030年迄
2050年迄
潮流
4億kWh/年
130MW
20億kWh/年
760MW
200億kWh/年
7,600MW
波力
2億kWh/年
51MW
7.5億khW/年
554MW
200億kWh/年
7,350MW
温度差
2.5TWh/年
510MW
12.5TWh/年
2550MW
40TWh/年
8150MW
1TW=1,000GW=1,000,000(百万)kW=0.01億kW
温度差だけオーダーが小さい様だ。

図4 国内における海洋エネルギーの導入ロードマップ。
出典:NEDO(海洋エネルギー資源利用推進機構の資料をもとに
ITメディアが作成したものを更にとはずがたりが整理)
 
<規模別>

発電機規
模別内訳
2020年迄
2030年迄
2050年迄
潮流
1MW
5MW
10MW
(100基)
( 6基)

(310基)
(50基)
(20基)
(600基)
(200基)
(600基)
波力 0.1MW
0.5MW
1.0MW
2.0MW
(450基)
(10基)
(1基)
(2000基)
(600基)
(50基)
(2基)
(3000基)
(4500基)
(3800基)
(500基)
温度差
1MW
5MW
10MW
50MW
100MW
60基
40基
25基

100基
40基
25基
40基


40基
55基
50基


とはずがたりコメ:
まあ例によって利潤機会欲しいメーカーと研究費確保しか考えてない工学研究者の取り合わせだからなー
適当な根拠引っ張っ てきて数字でっちあげた以上のものではないんだろうけど。。
けどこういう強引さがないと強大な原子力村の前に立ち向かって行けないんだろうな。。


 3つを合わせると800億kWhになり、一般家庭で2200万世帯分の電力に相当する。OEA-Jの予測は発電設備の規模と設置数を仮定して算出したも ので、最も有望な海洋温度差発電は2050年までに50~100MW級の設備が100カ所以上に拡大することを見込んでいる。

 発電効率を表す設備利用率(発電能力に対する年間の発電量)の点では、潮流が洋上風力と同等の30%、波力が海岸からの距離によって25~40%に対し て、海洋温度差は56%と最も高い。発電方式が地熱と同様の仕組みで、しかも海洋深層水を使って年間を通して安定して発電できることが効率の良さをもたら す。

100MW級で火力発電並みのコストに

 日本の将来の電力源として期待がかかる海洋エネルギーだが、普及に向けた最大の課題は発電コストにある。海外で先行事例がある潮流・波力発電の場合、発 電コストのうち装置が占める割合は50%以下で、それよりも設置や運転・保守にかかるコストが大きい(図7)。洋上風力にも共通する課題だが、設備を海底 に固定したり海面に浮かべたりすることによる。

図7 潮流・波力発電のコストの内訳。出典:NEDO(Carbon Trustの資料をもとに作成)

 これに対して海洋温度差発電のコストは規模が大きくなるほど安くなっていく見通しだ。商用化を目前にした1MW級の発電設備では、1kWhの電力を作る コストは40~60円前後と太陽光発電よりも高い。それが10MW級になると20円前後まで下がって、他の再生可能エネルギーと同等の水準になる。さらに 100MW級まで規模が拡大すれば、火力発電並みの10円程度を実現できる(図8)

2015年01月06日 07時00分 更新
海流・潮流・波力発電に挑む、海洋エネルギーでコストを20円以下に
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1501/06/news013.html

日本が世界に先がけて取り組む海洋エネルギーの分野で4つの研究開発プロジェクトが始まる。2016年以降の実用化を目指す水中浮遊式の海流発電システム をはじめ、2020年代に発電コストを1kWhあたり20円以下に低減させる潮流発電や波力発電の技術開発を国の支援で推進していく。
[石田雅也,スマートジャパン]

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2011年度から続けている海洋エネルギーの技術開発プロジェクトに4つのテーマを加える。日本の近海に豊富に存在する海洋エネルギーを生かして、2016年以降に発電コストを1kWhあたり40円以下に、さらに2020年代には現在の太陽光発電よりも安い20円以下に低減することを目指す(コストに関してはこの辺も参照)。

 4つのテーマのうち2つは実用化を目前にした発電技術で、2015年度から2017年度にかけて実海域で実証研究に取り組む計画だ。まず1つ目は黒潮な どを利用した海流発電システムである。2枚の羽根を備えた双発式の発電設備を海底から係留して、水平方向の海流エネルギーを電力に変換する(図1)。


図1 水平浮体方式の海流発電システム。出典:IHI、東芝
 水平浮体方式の海流発電システムはIHIと東芝が2011年度から研究開発を進めてきたもので、2017年度までに実証機を製造して日本近海で試験を開 始する予定だ。双発式のタービンを含めて浮体部分をIHIが製造して、発電機や変圧器を東芝が製造する。海流は季節や天候の影響を受けにくいことから、未 来の安定した電力源として期待がかかる。

 2つ目の海洋エネルギーは長崎県の西海市(さいかいし)で取り組んでいる潮流発電である。地元の企業や自治体が中心になって小型の潮流発電システムを実 用化するのが目標だ。すでに試作機を開発済みだが、新たに発電能力が50kWのシステムをNEDOのプロジェクトの中で製作する。

 発電コストを低減するために、潮流による低回転でも効率よく発電できるシステムを開発する。1つ目の海流発電システムとともに、2016年以降の早い時期に1kWhあたりの発電コストを40円以下に抑えることが目標になる。

 さらに2020年代には海洋エネルギーの発電コストを20円以下に低減させて、電力の小売価格を下回る水準を目指す。そうした次世代の海洋エネルギーの 研究開発プロジェクトも2つのテーマで開始する。1つは海峡などに見られる速い潮流のエネルギーを利用した発電技術で、橋脚のような海中にある構造物に多 数の発電設備を取り付ける方式だ(図3)。

図3 橋脚や港湾構造部を利用した潮流発電システム。出典:中国電力
 中国電力が中心になって瀬戸内海を対象に実証研究を進めていく。2016年度までに発電システムのスケールモデル(縮尺模型)を試作して、性能や信頼性 を検証する。合わせて瀬戸内海で潮流発電の適地を選定したうえで、発電量や発電コストを試算して2017年度中に事業性を評価する予定になっている。

 もう1つの次世代プロジェクトは波力を利用する発電システムの研究開発だ。波のうねりによる海面の上下運動のエネルギーを生かして発電する方式 である 。東京大学が開発した技術をもとに、岩手県の太平洋沿岸に位置する釜石・大槌(おおつち)地域で実用化を目指して開発を推進していく。

 海洋エネルギーによる発電方法を低コストで実現できれば、日本の未来に向けてクリーンな電力源を拡大する有力な手段になる。これまでにNEDOは13の テーマで海洋エネルギーの研究開発に着手して、海流・潮流・波力のほかに、洋上風力や海洋温度差を利用した発電技術の実用化に取り組んでいる。