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2023.3.12独立

気田(けた)川水系増強検討(豊岡発電所篇)

Ⅰ.現状
気田発電所  気田堰堤 豊岡発電所 豊岡堰堤 
Ⅱ.増強
年間降水量 気田発電所[+5.7MW]  豊岡発電所[+1.9MW] (地域の年間降水量・低稼働率について)
Ⅲ.新規開発
気田川奥地:[仮]門桁川(or 奥気田)発電所[+10.5MW]・ 気田川下流:[仮]気田川発電所[+9.2MW]・気田川秋葉ダム

本稿では現状及び気田発電所の改造案を受け て,気田から門桁迄の間にある豊岡Pの増強策を探ってい く。

年間降水量
気田川は天竜川流域一の多雨地帯のようである。

天竜川水系年平均等雨量線図
流域の年間降水量は、上流域は内陸性気候のため約 1,200~1,800mm と少ないが、支川の源流である中央アルプスや南アルプスでは約 1,400~2,800mm と多く、中流域は山
岳地形のため南からの暖湿気流の上昇により 1,800~2,800mm と多い。下流域は典型的な太平洋側気候のため 1,800~2,000mm となっている。
出典:国 交省河川局



~低設備利用率に就いて~
豊岡発電所・増強(現 況のおさらい)
門桁堰堤によって気田川奥地の水量の多くは水窪発電所へ送られる。これが豊岡発電所が低稼働率の原因に成ってゐると思われる。その下流の面積は極めて小さ かった(17km2程)。
更に門桁以遠は水窪ダムに積極的に貯水しに行きたいというのが拙案である。
門桁以北は水窪P/Sへの供給(というか水窪ダムでの貯留)がメインが効率的であるとすると豊岡P/Sは水窪と被らない新しい水源を求めた方が良さそうで 有る。
豊岡堰堤取水位標高は465m程で ある。上部水槽は EL.450m程。距離によってはもう一寸低くで取水しても大丈夫そう。
現在水量5.009m3/sに対して出力8,100kWであるが,水車の能力は10,000kWある。水量を6.1m3/s位に増やした い。
有効落差が200m超なので,流域面積に対して厚めの水量を積める。6.1m3/s欲しいので45.8km2程流域が欲しい。今は実質的に17km2程し か無いので(門桁以外の場所で)追加で28km2程欲しい。
稼働率と使用水量
年度
2015年
2016年
2017年
稼働率
28.0% 32.2%
24.8%
使用水量
4,620万t
5,080万t
5,950万t


2015年度実績 稼働率:28.0%
出典:静 岡県
2016年実績 稼働率32.2%
出典:静 岡県
2017年 稼働率:24.8%
出典:静 岡県
2009~2017年度 平均設備利用率:21.8%
出典:静岡県
概ね7,000万~1億トン程度のダム通過流量(=堰堤放流量+発電使用水量)の様である。2014年の堰堤放流量0万m3は機械の故障かなんかか? 2011年はとんでもない量が通過してるけど,濁流で指を咥えて流れていくのを見ていただけっぽい。
2015年3月なんかは効率的に(1.4百立米しか放流せずに)4.8百立米使い切って発電しているのに同じく4月や12月は何やってんだ?
めっちゃ発電量少ないのに結構放水しちまっている。。流込式で殆ど溜め込み出来ないから一気に流れる時に流れて後は川が干涸らびてたってことか??

と,そもそも今,門桁取水口にいる1m3/sの水を考える。下流のことも考えるとルートは二通り

水窪ルート:門桁取水堰→水窪発電所[1.887MW発電](取水 位:505m)→佐久間ダム→佐久間発電所[1.144MW発電]→佐久間第二発電所[0.104MW発電]→秋葉ダム→ 秋葉第一発電所[0.45MW]→船明ダム 合計3.585MW
気田ルート:門桁取水堰→豊岡ダム→豊岡発電所[1.62MW発電](取水 位:467.58m)→気 田発電所[0.479MW発電]→(新設発電所?:[0.8MW発電])→秋葉ダム→ 秋葉第一発電所[0.45MW])→船明ダム 合計3.36MW

である。(下で検討する新設発電所を 経由して 秋葉ダム へ流して行くルートを見切りで積むせいもあって)見かけよりは発電力に大差が付いてる訳では無いけど,水窪P取水位と豊岡P取水位の40m近い取 水位の差もあり,こちら(気田川ルート)に勝ち目はないのである。
更に(豊岡低稼働率ではあるのだが)門桁には低稼働率の水窪発電所を活性化できるというメリットがある。また必要な時に必要な電気を起こせるのが重要であ るが,水窪・佐久間・秋葉とダム を連ねる天竜川ルートの有利さは明らかである。
ということて豊岡発電所 は門桁 の水は水窪PS(それは佐久間Dで貯留される)に送るとして(出来れば水窪ダムに水を送って貯留含めトータルで水利用効率を増加させたい),豊岡には別の 水源を開拓したい。

→杉川・小俣川流域から取水して豊岡堰堤からの常時取水に加えて行くのが順当であろう。

また現況で認可最大出力: 8,100kWを5.009m3/s で発電している。水車の能力はなんと余裕たっぷりの 10,000kW。从(したが)って6.184m3/s程度まで増やして良い。門桁上流の各種開発を 考えると豊岡が使えるのは精々1.7m3/sなの で残り4.4m3/s程の水源を開発したい所である。
ということで44km2程探す。
水源が見つからない場合は2台ある水車を1台他所へ転用しても良さそう。その場合最大3.2m3/s・5000kWとなって必要な面積は15km2程度で 良い。以下下で図示。
~石切川~
先ずは気田川支流の石切川系統上流からの取水が考えられよう。

~い案~
10km程度で田 京沢(466m)金 剛沢(476m)洞 木沢(466m)京 丸川(472m)玄 馬沢・杉 川(459m)辺りから取水出来る。
京丸川・洞木沢には410m程の合流点に堤高50m程のダム建設で取水口を纏めたい感じはする。

これは水窪に水を集めようという作戦の桁から水窪 ダムへの導水路を更に京丸・杉川迄伸ばす計画とぶつかる。
新規にダムを造れないなら絶対に水窪ダム迄導水して貯水出来た方が良いが,気田堰堤のダム化が出来るなら貯 水は気田でやった方が豊岡への投資も出来て良さそうである。
杉川は遠いし小 俣川(469m)は一寸ずれるが頑張って集水したい。締めて47.9km2。4.4m3/s程集水するには恰度良い面積なので ある。

一方で洪水時に主に取水する導水路と洪水時には放流する発電取水堰とは取水性能が異なるという側面もある。棲み分けは可能かも知れず,慎重に検討していき たい。22.8末現在では門桁堰堤から水窪ダム導水は断念して代わりに8.8km2分だ け取水して発電したいと思って居る。
残りは39.1km2となって実質的に17km2程し か無い現行の取水量と足すと56.1km2となって門桁方面からの取水は最低限度に出来る。
気田川上流から秋葉ダムへ直送する岩井戸発電所とも両立させられ る可能性も出てくる!?

京丸ダムってのは洞木沢と京丸川の取水を一纏めにしたもののイメージだが不効率なら別々の取水口で十分である。
 



~ろ案~
京丸や杉川迄水窪ダムに導水する場合,水量不足は決定的で,水車1台にして規模縮小し つつ限定的な導水強化も図りたい。
今は殆ど取水してない灰縄沢なんかも小さな沢から取るには貴重な存在となる。水利権を確保して最大使用水量を増やしたい。

予定より水量は足りないが,門桁や京丸での水窪ダム道水が取り溢すやつをこまめに拾って行く所存。
この際,不要になった水車は門桁奥地から水窪ダムへの送水による発電とか気田川上流から秋葉ダムへ直送する発電で使えたりしそう。
とはいえ,態々豊岡発電所に導水管を引いて救済する迄もないかんじである。
ごっそり奪っていく門桁導水案ではなく,上流部を一寸だけ(8.8km2)貰う奥気田発 電所案なら良いかも知れない。39km2程になる。その場合左のい案と基本的に変わらなくなる。

更に下で見る様に気田堰堤を満水位270mで造るなんてことになったらその時は廃止が妥当なのであろう。一 寸勿体ない。
まあこちらはボツだな。。

何を更新したかは不明だが豊岡の現 行施設の運開は1966との事。

気田発電所の気田堰堤での貯水量増加を考えるともう一寸放水量高くした い。上部水槽の標高を高くしつつ放 水位も上げてみたい・・。据え付け直しと か大変そうで可能なの は松尾川方式の後付けかな?数mは放水位上げられ そうで はある。
まあ気田堰堤をハイダムにする為には30m以上嵩上げしたいがまあ大袈裟になるのでその辺は非現実的であろう。。

新最大水量
流域
現行からの変更・その他
い案 ろ案 い案
ろ案
い案 ろ案
玄馬沢・杉川 3.0m3/s(150%)
19.98km2
主力の取水先の一つ
なし・遠 いし水窪へ送る
小 俣川 0.6m3/s

5.45km2 ちょっと遠いが取る
なし・京 丸川サイホン渡河してまで追う面積ではないような。。
京丸川〔京丸ダムで集約したい]
2.0m3/s(83%)
18.00km2 7.07km2 ダム迄造るかどうかは要検討
なし・ダ ム造ってまで追う面積ではないような。。
金剛沢・田京沢
0.4m3/s
3.38km2 なし
大島谷
0.15m3/s(79%)
1.90km2 既 設・0.084m3/s(44.1%)
灰縄沢川 0.60m3/s(99%)
6.07km2 既 設・0.278m3/s(45.7%)
初沢
0.13m3/s(93%)
1.39km2
な し
豊岡堰堤 4.647m3/s
8.3km2 既 設・4.647m3/s
豊岡発電所
7.4m3/s
[10.0MW]
3.00m3/s
[4.4MW]


放水位:233.03m(BC案)
水車:2台
放水位: 233.03m・高水時排水機構設置
水車:2台→1台
気田堰堤




ダム建設(BC案)EL240m
貯留量設 定 EL235m

実は門桁以南という範囲で設定しても他のこちらの新設妄想案の取水口より流域面積広いようだ。主力の取水口としては残る感じである。

以上を纏めると以下の如し。
[A案]豊 岡発電所
出力 認可最大:8,100kW→10,000MW[+1.9MW]
最大使用水量:5.009m3/s→5.7m3/s
有効落差:212.10m (逸失落差:▲22.45m)
水車:横軸ペルトン水車×2台 総出力10000kW
導水路:8.21km(既設)+10.45km(新設)=18.25km(0.54)
流域面積:73.3km2※+47.9km2
放水:気田川(石切川)233.03m
取水:気田川[豊岡堰堤]、大島谷(こ こか)、灰縄沢川467.58m
田 京沢(466m)金 剛沢(476m)洞 木沢(466m)京 丸川(472m)玄 馬沢杉 川[杉川堰堤](459m)

 
[B案] 豊 岡発電所
出力 認可最大:8,100kW→4,900MW[▲3.2MW]→4,400MW[▲3.7MW]
最大使用水量:5.009m3/s→3.0m3/s
有効落差:212.10m (逸失落差:▲22.45m)→177m(35m嵩上げ)
水車:横軸ペルトン水車×2台 総出力10000kW→横軸ペルトン 水車1台(▲1台)5000kW
導水路:8.21km→+2.7km (金剛沢・田京沢迄)
流域面積:73.3km2※
取水:気田川[豊岡堰堤]、大島谷(こ こか)、灰縄沢川467.58m+田 京沢金 剛沢
放水:気田川(石切川)233.03m→268m

現状,流込同然の豊岡堰堤の貯留量である(僅か0.8万m3…)。流域が比較的広いし,10MWの調整力になるし杉 川にもダムが欲しい所である。こ の辺(A)こ の辺(B)。10万トン程あれば5時間程もたす事が出来る。せめてこれくらいは欲しい。
小さくて済むA点で考える。更に京丸川とも比較検討。

杉川案 (A 案)

京丸川案

湛水面積  


流域面積

諸元
[私案] 杉川ダム[場 所
堤頂長:92m
河底標高:456m
満水位:500m
利用水深:20m
湛水面積:8.9ha
流域面積:20.3km2
有効貯水量:170万m3

[私案]京丸川ダム[場 所
堤頂長:70m
河底標高:451m
満水位:500m
利用水深:20m
湛水面積:8.9ha
流域面積:36.4km2(間接流域含む)
有効貯水量:170万m3


なんと有効貯水量が同じに出来た。
となると流域面積を広く取れる京丸案を採用する。
5.7m3/sで取水するとして82時間は持つ。
大きくは無いが,豊岡堰堤と含めて調整力の起点には出来るであろう。…と思ったが豊岡Dの満水位は465m程度,, 満水位500mのダムなんか造ったら豊岡から水が噴出する!?

取水点を更に引き上げるかこちら側の従来導水路はいっそ廃止して一旦は保留にした岩井 戸発電所構想(私案)を実行に移しても良いのかも知れない。重複を気にせず30km2フルで使えれば7.8MW程度にはなる。

豊岡堰堤始め豊岡発電所の気田川取水流域あんま機能してないよね。。(それでも年間3.5千~6千万トン近くは取水している。)
5m3/sの最大使用水量のを100%稼働させた場合に年間の水使用量は1.57億トン程度のようである。