電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.9.-運開

奈半利川(と安田川)の水力発電

1.概況 2.沿川風景 3.開発 3-1.上流 3-2.下流 3-3.安田川

1.概況
魚梁瀬を起点として145.1MWを叩き出す奈半利川。嘗ては四国を斜めに横断して今治から兎島(大久野島)を経由して竹原に上陸(中四幹線), 九州・松浦に至る電発の西日本の巨大な連系ネットワークの東端を形成していた。今では中四幹線は東西ネットワークとしては役目を終えてしまったが,奈半利 の電源地帯としての重要性は聊かも変わっていない。寧ろ脱炭酸ガスと脱原発の二兎を睨んで重要性は高まっているとすら云えるであろう。
さて開発余地はあるのであろうか?早速見て行く。

出典:四 国電力(187kV以上系統空容量マップ)
設置者名 発電所名 最大出力
常時出力
MW
立地県名 ダム名
区分
総貯水
容量
m^3
有効貯水
容量
m^3
水系名 河川名 流域面積
km2
使用水量
m2/s
有効落差
m
ダム高
m
使用開始年月 その他
電 源開発(株) 長山 37.0
11.4
高知 平鍋ダム
ダム水路式
調整池式
424万
98万
奈半利川 奈半利川 233.40 40.00 107.86 38.00 1960年7月
水 力,com
二又 72.1
15.4
久木(くき)ダム ダム水路式
調整池式
294万
134万
147.00 45.00 188.90 28.00 1963年1月
水 力.com
魚梁瀬 36.0
4.2
魚梁瀬(やなせ)ダム
ダム式
貯水池式
1億462.5万 7,250万 117.10 50.00 85.10 115.00 1965年6月
水 力.com
電発計
4 地点(四国)



出典:奈半利川淡水漁業協同組合


2,沿川風景

先ずは沿川風景をリサーチ:

~奈半利川~

魚梁瀬(やなせ)ダム[便覧][DB
河川     奈半利川水系(2級河川)奈半利川
目的/型式     P/ロックフィル
堤高/堤頂長/堤体積     115m/202m/2800千m3
流域面積/湛水面積     117.1km2 ( 直接:100.7km2 間接:16.4km2[安田川水系(栃谷川→安田川→長滝川→他→中ノ川川)→魚梁瀬ダム]) /291ha
総貯水容量/有効貯水容量     104625千m3/72500千m3
ダム事業者     電源開発(株)
着手/竣工     1962/1970
 (貯水池) 最高水位     (m)       440.00
  (貯水池) 最低水位     (m)       405.00
  (貯水池) 利用水深     (m)       35.00
  環境対策等施設             選択取水

電源開発(株) 魚梁瀬発電所[水力] [DB
運開:1965.6.19
ダム式・貯水池式
認可最大出力:36,000kW      常時出力: 4,200kW[11.7%]
最大使用水量:50.00m3/s
有効落差:85.10m
水車:立軸(可変翼?)斜流水車 出力43600kW×1台
流域面積:117,1km2
取水:(安田川水系(栃谷川→安田川→長滝川→他→中ノ川川)→)奈半利川[魚梁瀬ダム] 計6箇所 440.00m
放水:奈半利川341.00m

揚水できひんの?と思ってたけど,水力さんによると
>手前の放水口の様子及び水利から察するに、揚水式発電にも対応可能な様に思われます。
なんて書いてある!

久木(くき)ダム[便覧
河川     奈半利川水系奈半利川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長     28m/94.5m
流域面積/湛水面積     147km2 ( 直接:104.3km2 間接:42.7km2(←小川から給水できるのか?!→調べてみると小川だけでは23.6km2程度である。月谷なんかもっと狭いだろう に。。安田川16.4km2も含むとして40km2。月谷川から4km2程度か) ) /29ha
総貯水容量/有効貯水容量     2940千m3/1340千m3
ダム事業者     電源開発(株)
着手/竣工     /1963

あからさまな魚梁瀬発電所の逆調整池である。有効貯水量は134万m3。50m3/sの水を7h26m受けられる。


<大谷>
取水口があっても良さそうなけど,[高 知県]の月谷第一取水ダム,月谷第二ダムという表現,(大谷川への言及は無し),取水口4箇所が全て判明していること等から此処にあっても良さそ うだけど無いようである。
上流は砂 防堰堤だらけで,地盤が弱いとか土石流のリスクが高いとかそんな理由もあって取水施設は設けられてないのかも。



<月谷川>

月谷第一取水堰堤[高 知県
月谷第二取水堰堤[高 知県

地 理院には全く描かれてない七 曲がりの林道が走り回っている。
此処[G 空撮]になにやらある…地理院だとこ の辺(A)か?第二はこ の辺に小さいのがあるのかも知れぬ。



(A)で取水するとすると1.9km2程度。第二もその程度だと久木ダムの間接流域の42.7km2がだいたい埋まる。



~小川川~

尾河取水堰堤[高 知県][地 理院][す とびゅう(利水標!)
取水量:7.5m3/sか?
流域:23.6km2
取水:小川川EL.351m
送水:二又発電所(魚梁瀬ダムには送れないかな?)

 


電源開発(株) 二又発電所[水力] [DB
高知県安芸郡北川村二タ又 ←地名は二 タ又と書くらしい。二は「に」とも読めるしタは「ゆう・せき」とも読めて解りにくいし,漢字カタカナ交じりの3文字地名は恰好も悪いので発電所は すっきり二又にしたのであろう。
運開:1963.1.28
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:72,100kW      常時出力:15,400kW[21.4%] 
最大使用水量:45.00m3/s
有効落差:188.90m
水車:立軸フランシス水車×2台 総出力82400kW
導水路:総延長8214.6m
放水路:延長563.7m
流域面積:147.0平方キロメートル
取水:奈半利川[久木ダム]・月谷第一堰堤・月谷第二堰堤・小川川 346.00m
放水:奈半利川[平鍋ダム] 144.00m


平鍋ダム[便覧
河川     奈半利川水系奈半利川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長     38m/124m
流域面積/湛水面積     233.4km2 ( 直接:217km2 間接:16.4km2 ) /35ha
総貯水容量/有効貯水容量     4240千m3/980千m3
ダム事業者     電源開発(株)
着手/竣工     /1960



電源開発(株) 長山発電所[水力
運開:1960.7.1
認可最大出力:37,000kW      常時出力:11,400kW[30.8%]
最大使用水量:40.00m3/s
有効落差:107.86m
取水:奈半利川[平鍋ダム]147.00m
放水:奈半利川26.90m

奈半利堰[多 分ここ



田野堰[多 分ここ]…魚道修繕の記 事を発見  


3.開発

3-1.上流
魚梁瀬ダムの満水位は440mである。これに向けて200m程の落差で取ってみる。調べて見ると奈半利川が西又谷と東又谷に岐れるのが636mである。こ の辺から行く。


[私案]奥奈半利川発電所or奥魚梁瀬発電所
出力:5,100kW[+5.1MW]
水量:3.2m3/s
落差:190m
流域:24.1km
導水:本導水路[奈半利川(西又谷・東又谷)~魚梁瀬ダム]8.2km・支水路[本導水路~東川]3.1km 合計11.3km 
取水:奈 半利川(西又谷・東又谷)中 ノ川汗 谷藤 巻谷東 川 636m
放水:奈半利川[魚梁瀬ダム]440m

3-2.下流

長山発電所放流地点で使えるのは26.90mと40.00m3/sである。もう十分下流だし,奈半 利堰・田野堰での取水も有りそうだし,アユの事も考える必要がある。

発電所と取水・放水はこんな感じ。長山P/S直下では長山の放流水は勿論,奈半利川本流の集水と近くで合流する西谷川の水を使える。左岸には野川も     ある。

取水:26m
放水:5m
高低差18mと云った所→なんか低落差に強い水車を使おう。

次は水量である。集水面積を調べる。

西谷川:23.9km2 2.4m3/s


奈半利川本流28.8km2 2.9m3/s

野川 18.5km2 1.8m3/s


以上で水量:40+2.4+2.9+1.8=47.1m3/sとなるが増えた分は下流の取水やアユの為にそのまま放流することにする。

[私案]奈半利発電所
出力:6,300kW[+6.3MW]
水量:40m3/s
落差:18m

うん,こっちの方が断然良いし発電量も多い♪

3-3.安田川
因みに最上流で魚梁瀬ダムに採水されてしまうお隣安田川であるが,此処で序でに検討してみる。

馬路村中 心部で取水。250m地点
流域は魚梁瀬に導水される地域は抜いて以下の如くなる。36.2km2。3.6m3/sは取れるかな。魚梁瀬導水の残りも0.4m3/s位は期待しても良 いのではないか?

放水:43.6m  此処らで250m級の山がなくなるので,,

[私案]安田第一発電所
出力:5,700kW[+5.7MW]
水量:4.0m3/s
落差:172m
導水路:6.3km (0.90)
取水:安田川(馬路)250m
放水:安 田川(船倉)74m

こんな感じになる。

船倉で再び取水して発電するが途中の28.2km2から2.8m3/s程は追加出来そう。
7.2km程下ると西 島9.7mである

[私案]安田第一発電所
出力:3,300kW[+3.3MW]
水量:6.8m3/s
落差:60m
導水路:7.2km (0.45)
取水:安 田川(船倉)74m
放水:安 田川(西島)9.7m