6地域水利への誇り ...犬上川流域 https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/4040474.pdf 最後の水利紛争 昭 和7年の6月から7月にかけて降った大雨によって、一ノ井堰の一部が決壊したため、一ノ井堰の復旧工事が着手されました。一ノ井は、過去の明治・大正にか けて、同様の状況で違法工事を行っており、今回もその兆候が一部で見られたとして、二ノ井側の70人が現場に急行し、河原へ下り、竹槍を振りかざして、石 合戦を展開しました。さらに、土を運搬するトロッコのレールを、川に投げ込んで引き揚げました。他方の一ノ井側も、数百人を集めて工事を続行しました。二 ノ井側も数百人が集結し、再び竹槍を振りかざした石合戦となりました。夜を迎えて警官約200人が出動し、事態の鎮静にあたりました。 …地元と県は争いを根絶するためには、水不足の原因を取り除くほか無いことを確認しました。 ダムと頭首工の建設 昭 和7年にいち早く着工した金屋頭首工は、昭和9年に完成しました。翌10年には幹線水路も完工し、昭和11年に使用が開始されました。犬上川の騒動の直接 の原因となった水配分の問題を解消するため、一ノ井、二ノ井の反別、石高に応じて、用水配分量をおおむね8:2に確定し、その割合に応じて頭首工の左右に 水門を設けました。昭和14年の大干ばつでは、他地区が用水に苦労し、争いも起きていましたが、この地域はそのような争いと無縁であり、以降も水争いが起 きることはありませんでした。 …昭和9年には、当時としては最大の農業用ダムとなる、犬上川ダムの建設に着工しましたが、太平洋戦争に よって進捗が遅れ、完成を見たのは、計画から遅れること9年後の昭和21年でした。その後、末端部分の水路改修や排水路改修、堰の改良が行われ、昭和32 年に全ての事業が完成し、流域の全地域で用水が確保されて、二毛作も可能となりました。 http://www.jsidre.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/07/88-4-19.pdf 「村の堰(金屋頭首工)─滋賀県犬上郡多賀町地先─」(株)三東工業社北川 孝 Water,LandandEnviron.Eng.Apr.2020 金 屋頭首工(表紙写真)は,当初,昭和8年に県営犬上川農業水利改良事業によって施工されたが,その後平成18年に,県営かんがい排水事業により全面改修が 図られた。この基幹水利の抜本的な改良により,地域の水利用の効率化と,近代農業経営の確立に大きく寄与することとなった。… 金屋頭首工 所在地:滋賀県犬上郡多賀町富之尾地先[こ こら・EL129.7m] 当初施工年度: 昭和7〜8年度 改修年度:昭和27年,50年,平成18年 受益面積:723ha 取水量:合計4.90m3/s 左岸 3.407m3/s 右岸 0.683m3/s 頭首工遠景 22.3以下同じ 近景 魚道(右岸側にあった) 左岸用水(こ れ[地理院]) |