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離島発電・壱岐
1.系統図 2.需給量の検討 3.再生可能エネ開発余地 4.本土連系線の(個人的な)検討

基本資料:[0]「壱 岐における再生可能エネルギー 発電設備の連系に関する説明会」2014年8月 九州電力

1.壱岐の系統図


壱岐の発電力(電源設備)

ユニット 出力
(MW)
種別 その他
内燃力発電設備

芦辺発電所  6号 1.5 ディーゼル
7号 3.0
8号 3.0
9号 4.5
10号 4.5
小計 5基 16.5

新壱岐発電所 1号 6.0 ディーゼル
2号 6.0
3号 6.0
4号 6.0
小計 4基 24.0

合計 9基 40.5

蓄電設備

芦辺変電所
4.0リチウムイオン周波数調整用(容量は小さいようだ)・※
容量1.6MWh 2013年3月稼働(ソース:日経XTECH)
※「再生可能エネルギー導入拡大のための大規模蓄電池システム実証試験」で導入


2013年03月25日 15時00分 更新
電力供給サービス:離島に広がる風力発電、送配電の問題を大型蓄電池で解消
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1303/25/news019.html

    太陽光発電に続いて風力発電が全国各地に広がり始めた。ところが問題は風速の変化によって発電量が激しく変動して、企業や家庭に電力を送るための送配電シ ステムを不安定にしてしまうことだ。九州電力は長崎県の壱岐で、大型の蓄電池を使っ て電力の変動を抑制する実証実験を開始した。
    [石田雅也,スマートジャパン]

     離島の電力は基本的に島の中で自給自足しなくてはならない。たいていの島には小規模な発電所があって、ほとんどが火力だが、最近は太陽光や風力も増えて きた。特に風力発電は風の強い場所に適していることから、数多くの島で建設が進んでいる。

     ただし風力発電は風速の変動によって発電量が激しく変動するために、電力を送り出す送配電ネットワークを不安定にしてしまう問題がある。解決策のひとつ は、風力発電所と送配電ネットワークをつなぐ変電所に蓄電池を設置して、電力の変動分を吸収できるようにする方法だ。

     九州電力は日本海に浮かぶ長崎県の壱岐を対象に選び、大型の蓄電池による風力発電の連系拡大に向けた実証実験を開始した。壱岐にはディーゼルエンジンを使った内燃力発電所が2か所(とは註:芦辺16.5MW新壱岐24MW)あるほか、出力1500kW(1.5MW)の「壱岐芦辺風力発電所」が稼働している。

     この3つの発電所から送られてくる電力を、変電所に設置した蓄電池を使って最適な状態に制御する(図1)。風力発電所の近くにある「芦辺変電所」に、4000kW(4MW)までの電力に対応可能な大型のリチウムイオン蓄電池を設置した。蓄電 できる容量は800kWhある(0.8MWh・その後1.8MWhに増強されたらしい)。
     図1 壱岐の電力ネットワーク。出典:九州電力

  …風力発電の出力変動に合わせて電力を蓄電池に充電、あるいは逆に放電することによって、送配電ネットワークに送り出す電力の変化を抑制することが できる(図2)。

    
図2 風力発電の出力変動を蓄電池で制御。出典:九州電力

     壱岐の実証実験では、変動を抑制する最適な制御方法を検証するほか、必要な蓄電池の容量などを確認する。実験期間は2015年3月までを予定している。

     同様の蓄電池を使った実証実験は沖縄電力 が宮古島にある太陽光発電所で実施中だ。…


再生可能エネルギー設備
発電所名・開発者名種別連系系統出力
(kW)
その他・備考
壱岐クリーンエネルギー風力高圧(6kV)2,0002014時点では750kW*2=1500kWだったようだ・試行錯誤した様だ(日経XTECH)
※(株)なかはらと芦辺町が出資する第三セクター
壱岐ソーラーパーク
壱岐開発
PV高圧(6kV)2,088※総事業費:6億5千万円・運開2013年6月・買取単価40円/kWh
※なかはら傘下 ※連系出力1.96MWの表記も
??
PV

1,000
2016年3月末?
??
PV

1,000
2017年春?
??PV低圧2,206

九州電力では、壱岐における再エネの接続可能量(30日等出力制御枠)を太陽光5.9MW、風力1.5MWと算定している。…2016年3月末島内系統に 接続済みの太陽光は、住宅用と事業用低圧案件を含めて約7.76Wとなり、接続可能量である5.9MWを大きく超えた。…2017年春には…島内で稼働す る太陽光の合計容量は8.78MWまで増えた。。(日経BP)

SBエナジーによるVPP(パーチャル・パワー・プラント)の実証実験
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1608/04/news040.html

出典:SBエナジー2016/7

面白い試みだとは云えなかなか大きな節約にはなりそうにないなあ。。。
特に結果も見当たらないようだ。

2.需要量と供給量の検討

このファイルの(参考)壱岐における風力・太陽光発電の影響について(2)あたり。
http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/press/2014/i24izum5ki.pdf


余ってる電気は3hの最高3,000kW位の三角形の面積だから4,500kWh=4.5MWh程度。但し太陽光の7.5MW程との推計される。これは需要が少ない方から30日目ってことに注意。

西仙台変電所など20MWhで100億円(ソース)。5MWhなら規模を小さくした分単価は上がるとしても量産効果も出てる分下がるとして25億円。
安くは無いけどそれ程高い訳でもないやん。25億を25年間使うとして年間1億円分の利潤を出さないとあかんねんけど流石にこの島の系統規模では厳しいか。

今,最低発電量が9,000kWとなってるけど下記の[1]や[2]の様に(2016年の記事)50%が最低負荷率だと18MW(6MWのディーゼル発電機3台分稼働してる)ってとこなんだな。
確かにこれ(+4,000kWの蓄電池)なら日没後にある18,000kWの需要を十分に賄える。詰まり,再エネは全くの補助としていて稼働ゼロでも対処 出来る様にしてるってことなんだな。

[1]壱岐島の電力網に4MWの蓄電池導入風力・太陽光の短期の出力変動に対応
金子 憲治 日経BPクリーンテック研究所2015.12.07
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/415282/120300001/?P=5
>燃料をC重油からA重油に手動で切り替えるという(図6)。部分負荷の限界は定格出力の50%とされ、それに近づくと運転が不安定になる。そこで、潤滑性の良い燃料に変える必要がある。
>再エネの出力変動が秒単位で急峻に変動した場合、自動的に行われるディーゼルエンジンの…機械的な構造上、急激な出力の調整には限界がある。

[2]九州電力、壱岐でも出力制御を指示、メガソーラーと風力が営業運転を中断
2016/05/09 20:05金子 憲治=日経BPクリーンテック研究所
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/news/16/050901967/

>火力発電(ディーゼルエンジン発電機)の最低負荷率50%

ところが2018年の記事だと最小出力が7.5MWに減っている。下げ代が50%以下に増えたのか??それとも15MW(6M2機と3M機1基で)+4MW(蓄電池)で対応することにしたとか?

[3]壱岐のメガソーラーに見る「出力抑制」の実際2017年は合計16回で約400万円の機会損失に
2018/02/13 09:30金子憲治=日経BP総研 クリーンテック研究所
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/feature/15/302960/021200129/

>同島のディーゼル発電設備が安定稼働できる最小出力は7.5MWで…ちなみに、最小出力7.5MWという火力発電の運用パターンに関しては、電力広域的運営推進機関が検証し、「適切」と認められている。

調べてみるとこんな資料が見つかった。6MW*2+3MW*1=15MWの50%という事らしい。
この場合は昼間だけ3MW機を1台止めるらしい。
昼間は休息に太陽光が減っても全部抑えられるっちゅうこんだな。これを見ると3MW機1台起動さすのに2時間ぐらい掛かってる?この階段状ではなく勾配に なってる意味を解釈しかねているけど,起動に掛かる時間とするとこの間を持たせる分だけ蓄電出来るともっと下げ代大きく取れそうな気もする,,
https://www.occto.or.jp/oshirase/sonotaoshirase/2016/files/h28_5_bessi_1-4.pdf


この時は最大でも6MW程度と予測しているけどこの後2017年春には9MW近く(日経BP)迄増えてるので今では9MWを越えてそうである。

長崎県壱岐市が日本初の「気候非常事態宣言」。2050年までにゼロエミッション、再エネ自給率100%目指す
10月 11, 2019
https://ideasforgood.jp/2019/10/11/climate-risk-japan/

海水温の上昇により、魚の住処となる藻場が大幅に減少。2016年には前年比で漁業総生産量が3割減少した。2017年の漁獲量を10年前と比較すると、6割も減少したという。漁業を主な産業とする壱岐市にとっては大打撃だ。
再生可能エネルギーについては、2050年までに100%にする目標だ。現在の再生可能エネルギー自給率は9%。これを2030年には24%、2050年には100%にすることをめざす
再生可能エネルギーによって水から水素を製造。蓄電して水素発電を行う計画

こんな宣言をしたようである。なかなか頼もしい。

3.再生可能エネルギーの余地

とはいえここは本土と連系を推進したいなあ。。水素蓄電は国の補助でもないとなかなか難しそうである。
風力発電とか10基ぐらい建てられないやろか??

可能性はありそうである。

株式会社なかはら
http://www.nakahara-iki.co.jp/wind_power.html


2000kWで年間400万kh/hと云う事は稼働率22.8%。まあまあだな。

https://ikibiki.com/tourism-spot/%E5%A3%B1%E5%B2%90%E8%8A%A6%E8%BE%BA%E9%A2%A8%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80/

壱岐芦辺風力発電所 (いきあしべ ふうりょくはつでんしょ)
島の北部に設置された風力発電用の風車1基。元々、1基あたり発電能力750kWの風車が2基あったが、1基当たり2MW(2,000kW相当)のものに 変わった。壱岐は年中風が多く、農業・漁業の大敵となっているが逆手に活用したクリーンエネルギーとして注目されている。近くには男岳神社があり、境内の 展望台から見える風車も趣がある。

勿論,景観・漁業・渡り鳥に配慮は必要だけど。
まあ20基40MW程度ではペイしないだろうけどここは連系で高コストの内燃機発電を減らせる九電と共同作業で。

66kV2回線海底部53kmの連系線で本土との連系を果たした五島列島は 有川発電所10,800kW,福江発電所21,000kWの合計31.8MWを廃止出来ている。
まあ103MWもあった電力供給力に比べて壱岐の規模は小さいけど,勿論,この後対馬との連系も視野に入っている分けである。
http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/press/2005/h050609-2.pdf

4.壱岐・本土連系線計画(妄想)   

途中の馬渡島には内燃力発電所もないので既に連系線が通ってるらしい[A1]し,その周辺海域では洋上風力の計画もある[A2]ようだ。対岸の玄海原発迄行けば大容量の太い系統がある[A3]。と云う事でこんな感じ[A4]でどうだろう。馬渡島へ今現在どんな形態で連系・電力供給しているかは判らないけど増強でもリプレースでも良い。また海底の連系線1本で繋がってても五島列島の例から見ると長期計画停止して置いて大丈夫のようだ。暇そうな職場だなあ。。

[A1]九州電力の火力発電所 
出典:九電(火発)九電(離島)


[A2] 
再エネ主力発電化推進機構洋上平戸発電合同会社「(仮称)長崎県平戸市沖~馬渡島沖洋
上風力発電事業計画段階環境配慮書」に対する意見について
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/furyoku/furyoku_hirato_madarashima_REM/daijin-iken.pdf

・場 所: 長崎県平戸市的山大島から佐賀県唐津市馬渡島にかけての海域
・原動力の種類 : 風力(洋上)
・出 力 : 最大617,500kW

[A3]九州電力送電罔図 
出典:九電

[A4]壱岐九州連系線妄想