電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.9.18竣工

名張川・木津川・比奈知ダムの電源開発!

名張川上流。青蓮寺湖の隣りにあるのが比奈知(ひなち)という一寸変わった名にし負う比奈知ダムである。ダム湖はひなち湖と平仮名にされてしまって一寸気色悪くなってしまってゐて残念。

比奈知ダム比奈知水力発電所発電所新設検討発電量の平準化・安定化に就いて


比奈知(ひなち)ダム
[水力][便覧][水資源機構]
場所・水系:名張市上比奈知・名張川[地理院]
所有:(独法)水資源機構
歴史:1972計画・1999.3完成
目的:治水・不特定利水・水道・発電
     総貯水容量:2,080万立米
    有効貯水容量:1,840万立米
     洪水調節容量: 900万立米(有効貯水容量の内、6月16日~10月15日)
      堆砂容量: 240万立米
天端標高:307.5m/常時満水位標高:301 m/洪水期制限水位標高:292 m(6月16日~10月15日)/最低水位標高:268.3m/河床標高:242 m
集水面積:75.5km2     湛水面積: 0.82平方キロメートル


比奈知水力発電所
[水力]

事業者:中部電力(株) (~2013.3迄三重県企業庁)
運開:1998.12 
ダム式・調整池式
認可最大出力:1,800kW   常時出力:0kW
発生電力量:8,427 MWh/年
最大使用水量:3.70m3/s
有効落差:60.15m
水車:出力1800kW1台
取水:比奈知ダム(301.00m)
放水:名張川(239.50m)

比奈知ダム発電所
[水力]
事業者:(独法)水資源機構 (改組で2003.9迄水資源開発公団)
運開:1999
ダム式・流込式(河川維持流量式)
認可最大出力:77kW
最大使用水量:0.3m3/s
有効落差:34.20m
取水:比奈知ダム
放水:名張川


https://www.kkr.mlit.go.jp/river/follwup/jouhou/siryo/pdf/090216/hina/hina3.pdf

貯水池運用計画と実績


3.2.2  利水補給計画の概要

(1)  流水の正常な機能の維持
比奈知ダムは、流水の正常な機能の維持のため、かんがい期(4 月 1 日~9 月 30 日)においては、最大 1.37 m3/s を、非かんがい期(10 月1 日~翌年 3 月 31 日)においては 0.50 m3/s を、ダムから放流する。

(2)  水道用水
水 道用水 名張市、京都府及び奈良市の水道用水として、標高 268.3m (とは註:最低標高)以上の容量のうち 7,000千m3を利用し、新たに最大 1.5m3/s の取水を可能にする。なお、名張市の水道用水として最大 0.3m3/s、京都府の水道用水として最大 0.6m3/s 及び奈良市の水道用水として最大 0.6m3/s を供給する。

(3)  発電
発電は、治水・利水に支障を与えない範囲内で、洪水期にあっては 9,400 千 m3、非洪水期にあっては 15,300 千 m3を利用して、三重県企業庁の比奈知発電所において、最大 1,800kW の発電を行う。

 

とのこと。

纏めてみると以下の如し:
4/1~6/156/16~9/3010/1~10/1510/16~3/31
河川維持放流量灌漑期:
4/1~4/15: 0.67m3/s 4/16~4/25:0.73m3/s
4/26~5/5:1.37m3/s   5/6~6/15:1.16m3/s
灌漑期:
6/16~9/15:1.09m3/s
9/16~9/30:0.70m3/s
非灌漑期:0.5m3/s
発電用貯水量非洪水期:1,530万立米洪水期:940万立米非洪水期:1,530万立米
水道用貯水量
水道料水量
有効貯水量の内,700万m3(通年)
名張市:最大0.3m3/s[名張川]・京都府:0.6m3/s[名張川・木津川経由]・奈良市0.6m3/s[名張川経由]

比 奈知ダム発電所0.3m3/sはそのまま名張市水道に利用として配分。残る比奈知発電所利用量分3.70m3/sは現在ぞの侭下流に放流されているが,そ の内少なくとも0.6m3/sはそのまま京都府水道用として木津川に流してしまっても大丈夫である。奈良市分0.6m3/sは木津川ではなく奈良市水道の 取水口のある名張川に流す必要があるが,必要によってはこの分はとは計画による上津ダムの余剰分から名張川に流す発電構想の分の水を流用すれば良いかも知れない。単位時間当たりの量が確保可能となれば,水道利用量は発電利用量の範囲内であるので自由に発電に使って仕舞っても構わないと云うことになる。

発電所新設検討
と云う事で,比奈知ダム直下の発電所で発電が終わった水はそのまま沈砂の済んだ綺麗な水として導水管に流し込み,発電ポイントへと移送することにする。
色々探すに,まあなかなか良い場所がないけど,伊賀神戸南側の木津川へ流し込むのが良さそう。殆ど比奈知第二発電所と云った趣である。

発電用の水を強化する為に小波田川(304m)小波田川支流(303.4m)前深瀬川(303.9m)辺りから比奈知湖へ導水できんちゃうかと思って調べてる内に,阿保発電所の川上ダム建設に伴う廃止に行き当たった。
そちらはダムを2020年現在,建設中の様だ。

川上ダム直下にも阿保発電所の後継発電所が建設されるのであろう。
そして木津川に放水されるものと思われる。前深瀬川から川上ダムへ導水されないなら小波田川(304m)・小波田川支流(303.4m)や前深瀬川(303.9m)から,川上ダムへ導水されるなら小波田川からだけでも比奈知ダムに導水して水量を増やしたいところ。

小波田川からは比奈知発電所で発電後,新設の伊賀神戸発電所(仮称)へ送水する途中に
この辺(239m)取水しても良いかも。と云う事で小波田川では0.3m3/sと控えめな取水として伊賀神戸発電所の最大使用水量が4.0m3/sに増強可能として見る。

(仮称)伊賀神戸発電所
水路式・流込池式
認可最大出力:2,200kW
最大使用水量:4.00m3/s
有効落差:66.5m
取水:木津川[比奈知発電所直下](239.5m)
放水:木津川(173m)

また川上ダム完成後,伊賀神戸発電所の下流で川上ダム放流水と伊賀神戸発電所放流水を纏めて取水して名張川(約9km)迄導水する発電計画を考えてみる。
比奈知ダムの水(4.0m3/s)を名張川に返しつつ,一部上川発電所の水を含む木津川の水(2.0m3/s)を使用して発電するのである。

(仮称)早月橋発電所
水路式・流込池式
認可最大出力:2,100kW
最大使用水量:6.0m3/s
有効落差:44m
取水:木津川[伊賀神戸発電所直下](173m)
放水:名張川(129m)

この場合,上津ダムの水を奈良市水道用に建て替えたりせずに済むというメリットもある。

発電量の平準化・安定化に就いて
さて,安定的な維持水量に関してであるけど以下の様な資料もあった。
https://www.kkr.mlit.go.jp/river/follwup/jouhou/siryo/pdf/090216/hina/hina3.pdf

比奈知ダムの降水量・流入放流量の状況(平成 11[1999] 年)

※301mが非洪水期の満水位,292mが洪水期の満水位でそれを保っているのがよく判る。
これを見ると上記の運用がよく判るが,特に10月中旬の非灌漑期・非洪水期の発電量が非常に心許ない事が判る。ほぼ雨も降らず春に向けて水量を貯めねばならないからである。
もうちと平準化出来ないと厳しいのがよく判る。
水力発電所の稼働率が激減していて,反原発の学者として有名な小山さんか誰かが変な陰謀論を唱えていて検証してみた所, 水力が流込式の変動的ベース電源から調整力電源への移行が大きい様子であったが,どばどば雨が降ってほっといてもガンガン発電出来る場所は粗方開発が済ん で今残って私が一生懸命可能性考えてるのはこの様な(水力発電にとっては)劣悪な環境下の話しという事のようである。これではなかなか水量増やせん。。

今,上では4m3/sを仮定した。4m3/sで発電出来る日数を成るべく増やせるような運用を,と考えると矢張り貯水量を変動させる必要があるだろう。洪水期の貯水量を290~294mへ変動を許すだけでぐっと平準化出来そうであるが如何であろう?
今,比奈知湖の湛水面積は0.82km2である。1km2=1,000,000m2である。今292mから290m迄下げても良いとすると,6/16から引き続き水位を2m下げて発電に回す事が出来る。
2m*820,000m2=1,640,000m3分発電に回せる。最大使用水量を簡略化の為に3.7ms/sではなく4m3/sで計算すると113時間=約4日18時間分の電気というか水を溜められる。更にこれを294m迄貯められるとなると更に余分に4日18時間分の電気を貯められる事になる。大きな山がこの年は3回程あるが上げ下げで結局7回*4.7日=32.9日,一ヶ月以上分追加的にフル発電が可能となる。堤防の整備などと組み合わせて貯水量の上げ下げをもっと増やせばより柔軟性は高まりそうである。
   
勿 論貴重な水を24時間同じ流量で流す必要はなく,例えば朝7時から夜7時迄の12時間でいいとなると流量(m3/s/日)は2m3/sでいい。冬場は 1m3/s程度に見えるが河川維持流量を除けば残りは寄り柔軟に上げ下げ出来るであろう。とは言え冬期の降雨減少の中,来春の潅漑用水を貯めておく必要が あるのでなかなか稼働率をこれ以上引き上げるのは難しいのも事実である。

いずいれにせよ全国の潅漑用・治水用ダムを発電に活用する際には同様の問題が起きることを予め理解して置く必要がありそうだ。